概要
CV:菅生隆之
メルロマルク国の国教である三勇教の教皇(画像左上の白い服の人物)。
原作と漫画版では名前が設定されておらず「(三勇教の)教皇」と呼ばれていたが、アニメ版と書籍版設定資料集で名前が設定された。
web及び書籍では尚文がドラゴンゾンビ戦で受けたラフタリアの呪いを治癒するための聖水を求めて教会を訪れた際に初登場したが、アニメ版では槍の勇者・北村元康との決闘の際に立ち合い人として先行登場している。
温和そうな雰囲気と眼鏡をかけた姿が特徴的で、信者達からの信頼も厚い人物。
ただしそれは、教会の権威と威信の為なら何ぴとの命をも蔑ろにしてのけ、それを「すべては神のお導きです」と言い切って憚らない狂信者の本性を、仮面のような笑みで押し隠した表向きの姿にすぎない。
三勇教の教義から盾の勇者を「悪魔」と考えており、尚文を「盾の悪魔」と呼んでいる。
四聖勇者を召喚するための聖遺物をフォーブレイから秘密裏にすり替えて盗み出させ、メルロマルクで四聖独占召喚が行われる原因となった人物の一人でもある。
盾の勇者の成り上がり
ラフタリアが盾の勇者・岩谷尚文の憤怒の盾のスキルに巻き込まれて重度の呪いを受けた際に聖水を教会で購入しようとした際に初登場。
低品質の粗悪品を尚文に売りつけようとしたシスターを叱責し「相手が盾の勇者であろうと公平に接する人物」と尚文からも第一印象は悪くない様子で見られていた。
しかし実際のところ公平に接していたのはこの時点では尚文が勇者の中では最も弱いと認識していたため、まだ余裕があったからである。
教義に則り三勇者に盾の悪魔を殺させようと、信者や三勇教側の隠密部隊「影」を使って盾の勇者の悪評を広めようとしたり、国と結託しギルドやマルティを通して三勇者に尚文に悪印象を持つような情報を送るなど工作を行っていたが、
尚文は反感を持たれる盾の勇者としての正体を隠して勇者でないと育てられないフィロリアルクイーンであるフィーロがトレードマークの「神鳥の聖人」として活動していたため、あまり意味がなかった。
しかも利用しようとしていた三勇者の民衆の間での評判が、ゲーム感覚だった彼らが知らずに起こした騒動などが悪評として広まってしまい(元康:バイオプラントが暴走 錬:倒したドラゴンの死体から疫病発生と生態系破壊 樹:弓の勇者であることを隠して活動していたことで『波の時以外何もしてない』と思われる)、逆にそれらの尻拭いを尚文が行ってきた結果、人々の三勇教への信仰は揺らぎ、反して盾の評価は上がってゆくという事態に陥る。
その状況に業を煮やし、遂にメルティ=メルロマルクの暗殺未遂とその罪状を尚文に吹っ掛けるという直接的な工作に移り、尚文と元康、樹、錬が対立する状況を作った。
しかし尚文を仕留めきれず、逆に錬と樹が国と教会を疑って調べだしたため、遂に信仰対象であるはずの三勇者すらも偽の勇者として抹殺し、真の勇者を召喚しようと(更には次期女王候補二人をもついでに殺し、教会の擁立する者を王位に据えようと)目論む。
調査中の錬と樹を別の場所に呼び出したところで儀式魔法「裁き」で爆撃、更に国境を越えようとしていた尚文を影に見つけさせ、それを元康とマルティ=メルロマルクに教えて足止めさせたところを全員まとめて葬ろうと再び「裁き」による爆撃を行うも、フィーロが察知したこと尚文の防御力で失敗。尚文と元康たちと対峙する。
この際、三勇者が起こした問題で民衆の信仰が揺らいだのを罪として突きつけている。もっとも、彼らを自分たちに都合よく利用しようと情報を操作していた三勇教が言えた義理ではないが。樹の件では、三勇教の金づるである悪徳貴族を国からの依頼で成敗して回ったことまでも挙げている。
(とはいえ勇者は期待に応えて当たり前、自分たちに都合が悪ければ不信感を強く持たれるというのはこの世界の民衆に広まっている勇者信仰に多く見られる傾向でもある。
元康はレルノ村を魔物化した植物に侵蝕させたという失敗ばかりが広まって、飢饉に苦しんでいたことや村人側も危険な伝承が伝わっていたにもかかわらず安易に使用したことは無視されていたり、
錬が倒して放置したドラゴンの亡骸から発生した疫病がミルソ村に蔓延したが、亡骸の処理を引き受けて産業として金儲けに利用した村側の自業自得はまるで伝わっていなかったり。
三人とも敗北や失敗はあれど世界や人々のためにも動いていたにもかかわらず、後の霊亀との戦いの後では偽勇者とすら言われだしてしまったため、尚文も「俺も下手な事をして信頼を失うと逆戻りって訳か。気を付けるとしよう」と教訓にしている)
信者たちの集団儀式魔法による支援・防御・攻撃に加え、四聖武器の模造品の力で尚文と元康を窮地に追いやり、救援に駆けつけた錬と樹を加えた四聖が協力してなお圧倒するが、尚文が憤怒の盾をグロウアップさせたことでラースシールドとなり、四聖勇者全員とその仲間達による連携、最期はメルロマルク女王の氷魔法による足止めが入ったことで、尚文のブルートオプファー(書籍版ではブラッドサクリファイス)で全身をグチャグチャに噛み砕かれて死亡した。
書籍版
書籍版では聖水購入後に「神の慈悲に感謝してくださいね」と恩着せがましい態度をとった事で尚文から不快感をもたれた(漫画・アニメ版でも同様)。
また、アニメ版では元康との決闘で尚文を見たことがあるため、教会で会った際に「まさか盾でありながらあそこまでの奮闘をするとは」と嫌味を交えて褒めていた。
また、元康に錬と樹が尚文に殺されたと吹き込ませ、web版より元康の攻撃を苛烈にさせるという工作も行っている。
討伐軍をスキルで返り討ちにした頃にはすっかり模造品武器の威力に溺れ
「勇者など不要! 私こそが神なのです!」と嘯いてさえいた(漫画版でも同様)。
web版に比べて信者たちの厄介さの描写も追加され、尚文たちを苦戦させた。
ちなみに上記の台詞と非常に似通ったことを、後に卑劣漢のライオン獣人・ジャラリスが胡散臭い獣化薬を服用した際に言っている。
(真)槍の勇者のやり直し
最初の世界での三勇教の蛮行を覚えていた元康にして「クソ宗教」として敵視・最優先抹殺対象と見做されており、出てくる場面では大概ロクな目に合わず殺されている。
シルトヴェルト編では戦争の際に四聖武器の模造品を用いて元康に攻撃を仕掛けるが、本家と模造品の格の差を思い知らされ、ブリューナクXに消し炭にされて死亡。きたねえ花火だ
メルロマルク編では元康の唯一の弱点とも言えるフィロリアルの卵を人質……ならぬ卵質に取り、龍刻の砂時計を使って元康のレベルをリセットすることに成功したが、勇者武器の強化方法の一つである資質向上によって素の戦闘能力を上げまくった元康に信者共々返り討ちにあい死亡。
ちなみにこの人質作戦はクズとの会食時に彼が適当に零してただけの策を独断で採用・実行したものだった事が真・やり直しのシルドフリーデン編で判明し、同編ではタクト=アルサホルン=フォブレイが元康への報復行為の一環として実行に移した。
フォーブレイ編ではメルロマルクから逃亡するついでに元康のリベレイション・ファイアストームXで教会諸共消し炭にされて表舞台に登場する事なく死亡。
しかし三勇教そのものは滅びておらず、程なくして新しい教皇が就任、同時期に殺されたクズの代わりに影武者と三勇教の傀儡である女王の親戚が王位に就いて国を乗っ取った事で後に恐ろしい事態を招く結果となった。
ゼルトブル編後編では元康の立ち回りで三勇教の実態を早期に把握した女王から厳重注意を受けたにもかかわらず聞き入れる事なく(会談に赴いた錬と樹からも同じ事を言われたが聞き流した)、メルロマルクとそれに与した四聖勇者を亡き者にするために尚文の村とメルロマルク城へ攻め込む。
が、アトラとフォウルとの出会いにより改心し杖の勇者として復活したクズを自分達の味方と勘違いし、悟られないよう味方を装っていたクズの放った魔法によって信者ごと殺害される。
真・槍の勇者のやり直しでもやはり同じような目に遭っている。
真チュートリアル編ではタクトと結託、メルロマルクで起こった波で出待ちして尚文達を殺しにかかるが、元康に一瞬で消し飛ばされた。
シルトヴェルト編アフター→シルトフリーデン編では樹同様に死亡済のため一切登場しない。
伝承のフィロリアル編では最初の世界と同タイミングで再登場を果たすが、元康の嗾けたフィロリアル達のせいで見事なまでにぶっ壊れた上に強化共有によって超強化された錬と樹に信者達を壊滅させられ、元康が放ったレインボーブラスト(フレアブリューナク)で木端微塵に消し飛ばされた。
盾の勇者の成り上がりでは四聖勇者全員を追い詰めるほどの強敵であったのにもかかわらず、槍の勇者のやり直しでは登場から程なく(それも軽い感じで)殺されているため、彼もまたタクト同様に「やり直しになってから雑魚化したキャラ」である。
四聖武器の模造品
今は失われた技術によって作られた四聖武器のコピー。剣・槍・盾・弓に変化させ、そのスキルや加護を再現出来る。
元々は四聖教に保管されていたが、数百年前に何者かによって盗み出されたとされる。
あくまでコピーでしかなく、本来の四聖武器の力の四分の一ほど出せればいい方であると記録されているが、盾の勇者の成り上がり本編での決戦時では四聖勇者が強化方法の共有を行っていなかったため、圧倒した。
各スキルの高い威力に加えて、結界が展開されているため教皇自体の防御力も高くなり、ラフタリアやフィーロは元より三勇者の集中攻撃を受けてなお、信者たちの回復がある状態では倒しきれないほどの防御力を持つ。
しかしその代償として燃費が恐ろしく悪く、一振りするのに信者数百人の一ヶ月分の魔力を使う。そのため、数百年前から来る聖戦に向けて三勇教の信者たちが魔力を注ぎ続けていた。
盾にも変化させることが可能なのだが、三勇教の教義から盾を嫌っているために変化させることは無く、尚文のブルートオプファー(ブラッドサクリファイス)を受けた際にも盾に変化させずにスキルで破壊しようと(書籍・漫画では直前まで使用していた弓をそのまま用い、アニメでは槍)藻掻いて死亡した。女王からは盾に変化させなかったことを愚かとコメントされた。
後に同武器がフィロリアルの聖域で発見され、尚文達がウェポンコピーしてみると他の武器への変化能力のない『古代シリーズ』としてあまりパッとしない武器となってコピーされた。
さらに過去の世界では当時の鞭の勇者だったホルン=アンスレイアが改造し燃費を良くしたものをエクレール=セーアエット達が装備、過去の波での戦闘で用いられた。
web書籍漫画ではあくまで必要なのはスキルを放つ時のチャージの時間だけで戦闘時に魔力を注ぐ必要はないのだが、アニメ版では使用する際に信者の魔力が必要な設定に変更されている。
スキル
使用した中の代表的な物をあげていく。
ブリューナク
強力なビームを放つ槍の上級スキル。
後に元康も習得しているが盾の勇者の成り上がり本編で教皇と戦った時はまだ未習得だったため驚愕させた。
web版ではスキルを放つ前のチャージの余波だけでシールドプリズンを破壊し尚文を驚愕させた。更には三勇者の最も攻撃力の高いスキルである雷鳴剣、イナズマスピアー、サンダーシュートへの迎撃に放たれ、一時拮抗するものの最終的に三勇者のスキルを押し切った上に、威力を削られていたにもかかわらず憤怒の盾で防いだ尚文にも大きなダメージを与えるほどの威力を見せた。
書籍版では拡散する形での範囲攻撃が可能なことが判明し、攻撃方向を絞って護りやすくするために全員が一箇所に集まった上で相殺を狙い、尚文に最後の守りを任せるという三勇者の作戦が取られた。三勇者の流星シリーズのスキルやフィーロとメルティ、三勇者の仲間による魔法と衝突し、結果はweb版と同様に押し切って尚文に大きなダメージを与えた。
漫画版では討伐軍を吹き飛ばす際に使用された。
アニメ版ではメルティから魔法扱いされた上に、尚文一人で余裕で防げるなど原作とは比べ物にならないほど貧弱な攻撃になっている。
大風車
武器をバトンのように回転させる槍のスキルで防御に使える。
放たれる寸前だったブリューナクを止めるために錬と樹が奇襲で放ったハンドレッドソードと流星弓をまとめて防いだ。
アースイグニッション
web版の盾の勇者本編では使用されず、書籍及び槍の勇者のやり直しで登場した槍のスキル。名前は槍の勇者のやり直しで判明した。
槍を地面に突き立てると地割れが発生し、マグマが吹き出して攻撃する。
これ一撃で討伐軍がほとんどふっ飛ばされてしまう威力を持つが、槍の勇者のやり直しでは尚文が既に強化方法の共有済みだったため防がれた。
漫画版ではブリューナクがこのスキルの代わりに使用されて討伐軍が吹っ飛んだ。
天地逆転の構え(無我の境地)
槍を回転させて構える槍のスキル。元康は未使用(構えでスキルに気づいていたため少なくとも知識にはある模様)。
詳細不明だが敵の攻撃を弾き光による痛みを与えるカウンタースキル。
フィーロの攻撃は直接攻撃のためか弾かれなかったが、直接攻撃に参加していない尚文も痛みは受けていた。
フェニックスブレイド
不死鳥を象った炎を放つ剣のスキル。錬は未使用(同じく火の鳥を形作る鳳凰烈風剣は錬も使用する)。
ブリューナクを辛うじて凌いだ四聖勇者とその仲間たちに止めをさそうと裁きと同時攻撃で放とうとしていたため、尚文はブリューナクより上位のスキルと分析している。
しかしグロウアップしたラースシールドの専用効果である「憤怒の衣(中)」であるラースファイアとは相性が最悪で吸収されてしまった。
ハイドアロー
多数の残像を生み出す弓のスキル。樹は未使用(尚文にスキルの効果を教えて気を付けるように助言しているため少なくとも知識にはある模様)。
四聖勇者たちによって裁きを防がれ、結界も砕かれ、カウンタースキルも使わされ追い詰められた教皇が撹乱目的で使用した。これを用いながら同時に最も強力な単体攻撃で尚文を仕留めようとしたが、到着した女王のアイシクル・プリズンによって実体のある本人だけが足元が凍り見破られてしまった。
書籍版では幻影を他者に被せて目標を誤認させるミラージュアローになっており、信者たちを教皇の姿に変化させるも女王のアイシクル・プリズンによって幻影が剥がされた。
アニメ版では大聖堂に取って代わられた。
魔法
集団儀式高等魔法
三勇教の信者たちが大規模な人数で詠唱して放つ魔法。
『裁き』『城壁』『聖域』等が本編で登場。
裁き
三勇教信者たちが放つ集団儀式魔法。光の柱のような高出力の雷を上空から放つ。
作中では頻繁に使用されており、初登場は錬と樹に向けてだったが影たちによって回避。
尚文と元康に放った際にはシールドプリズン、エアストシールド、セカンドシールド、そして憤怒の盾を用いたことで防がれる。
三度目に放った際には尚文のラースシールド一つで防がれている。
教皇が死亡後もタクトの取り巻きが使用したり等と出番は多い。
城壁
結界を信者たちの魔力で作り出す魔法。
web版では名称不明だったが、書籍版で集団高等浄化魔法であることが判明した。
フィーロの「はいくいっく」や三勇者の流星シリーズではびくともせず、尚文のセルフカースバーニングや錬や樹の威力の高い雷系スキル、ラースシールドの専用効果で強化されたフィーロでやっと砕ける強固さを持つ。
アニメ版では元康の流星槍やバーストフレアランス等をたった一枚で完璧に受け止めていたのにもかかわらず樹の流星弓単品でも三枚程割られている。
その後には援護魔法をかけたとは言えど元康のエアストジャベリンで四枚も割られている。脆いんだか硬いんだかハッキリしない。
聖域
聖なる空間を作り出し、呪いを無効化する。
回復を遅延させる目的で放たれた尚文のセルフカースバーニングの呪いも即座に無効化されたため、その効果は絶大。
大聖堂
アニメ版のみに登場。相手を巨大な結界のようなもので包み、内部では無数の教皇の姿が万華鏡の如く映し出される。
魔力を少しずつ天井の光まで溜め、そこから大技を放つことが出来る。
全開になった攻撃は裁きと同等の威力らしい。
また、カテゴリは防御魔法の様で、聖域の効果を持っている上に外からの攻撃をほぼ通さないらしい。
しかし女王の放ったアイシクル・プリズンは普通に大聖堂を貫通して教皇を凍らせている。