概要
城に仕える宮廷音楽家で、今作のディズニーヴィランズ。
『美女と野獣』で城にかけられた魔法によりパイプオルガンの姿になっている。元はマエストロ(=宮廷音楽家)のパイプオルガン奏者であった。
配下に、魔女にかつてピッコロに変えられたピッコロ奏者のファイフがいる。
パイプオルガンのパイプが空洞であることを反映してか、いくつもの数のパイプのてっぺんに飾りとしてついた顔は目、口が黒い空洞になっており、事実上幽閉された部屋が終始薄暗いのもあって非常に不気味である。また、顔のシルエットも併せて見ると見ようによっては巨大なファラオなどにも見えなくもない。
野獣の使用人達の中では唯一人間に戻ることを望んでおらず、魔法をかけられた現状を喜んでいる使用人。彼曰く「人間とはくだらないもの」、愛というものなどは「偽りの希望」と心底軽蔑した思考を持っている。
他人の心に寄り添うような甘い喋り方を見せて巧みに相手をその気にさせるなど話術にも長けているが、一方で気に入らない相手や事態に対しては下記の能力を合わせ高圧的に接したりする。
パイプオルガンの全長からくる威圧感も相まって、ファイフぐらいの小さな者なら竦み上がってしまうほど。
王子か魔女の仕業かは不明(単に重量から動くと倒れてしまい危険のための可能性もある)だが、頑丈な鎖で壁に固定され身動きが取れず、ファイフを自らの代わりに手下として暗躍させる(顔や上半身は他の者同様自由に動く)。
それでも巨体からくる力からか鎖がついた根本の壁にはヒビが入っていたが、やはり根本ごと引っこ抜けるまでには至らず、唯一人間に戻りたくない彼もこれには相当ストレスを感じていた様子。
能力
自らパイプオルガンとして音を出すことができ(この際鍵盤がひとりでに動く)音量や音圧を自由自在に調整可能。
この為、威力によっては窓ガラスを割ったりファイフ程度なら吹き飛ばせるくらいの生易しいものから、城の別棟ヒビを入れて崩壊までさせられるとその巨体に相応しい、なおかつかつての演奏経験も併せたであろう変幻自在な演奏を見せる。
さらに経緯は不明だが音楽の魔法も習得しており、パイプから妖しげな緑色の音楽のエネルギーを五線譜や音符に変えて飛ばして相手に攻撃したり、捕縛するといったこの手の音楽系の能力者らしい能力を持つ。
ちなみに五線譜など以外にも様々なイメージ映像や幻影に変化させられる他、周囲の収納箱を開けて楽譜を取り出すなどこれの応用かは不明だが念力も披露している。
経緯
前述の通り宮廷に使える作詞作曲家 兼 パイプオルガン奏者であり音楽家としては優れた才能を誇っていたが、陰気な価値観のため作る曲も暗い曲になりがちだったため、王子に快く思われていなかった。
しかし、王子が野獣にされた後に自分を頼ってくれるようになったのをいいことに、王子の孤独な心に付け込み「王子の味方は自分だけ」と吹き込んで信頼を得ていた。そういう事があってかベルのことを「平穏に水を指した(要約)」と毛嫌いしており、野獣とベルの仲を引き裂こうと考える。
というのも二人が愛し合うということは城に掛けられた呪いが解ける=全員人間に戻るということであり、フォルテは「人間に戻ったらまた以前のように注目されなくなる」と自らの才能に視線が向けられなくなることを恐れたのだ。
二人が愛し合うきっかけの一つになるかもしれない「クリスマスパーティー」をベルが城の使用人達と一生懸命準備する傍ら「王子達はクリスマスの夜に野獣となったためクリスマスがトラウマである」事を利用し彼らの愛を実らせぬよう、ファイフに報酬として「自らが作った曲の中のピッコロのソロパートの楽譜」をチラつかせ、彼越しにパーティを破綻させようと企む。
そして自らの言葉巧みな話し方でベルを危険な「黒い森」に行かせ失踪を企み、野獣が連れ戻しつつも「城から出ない約束を破った」としてベルを牢獄に入れた事で、一度は「クリスマスパーティーの中止」までに漕ぎ着ける。
さらに念には念をとバラを壊させようと野獣に吹き込むが、彼がふとクリスマスプレゼントとしてベルが書いた本を見つけ読んだことで気持ちが揺らいでしまったと同時に、ベルが今まで声を掛けていた使用人達が奮起した上野獣が彼女の気持ちを汲み取り「クリスマスパーティーを皆でやろう」と思い直したことで結局は計画が失敗。
最早恐れていた未来は避けられぬと自棄を起こして暴走を初め、自分の音で城を崩壊させ王子を殺そうと暴走。ファイフにちらつかせた報酬も文字通り白紙にし破るが、それで迷いが消えた彼とも敵対する。
そして使用人一同、ベル、野獣が部屋に乗り込んできたことで直接対決に発展。
最大の音量音圧と音楽の魔法で野獣を圧倒するが、離反したファイフの指摘で鍵盤台が操作されていることで音が出ていることを明かされ、野獣に怪力で鍵盤台をぶっこ抜かれて壊されたことで力を失ってしまう。
…直後、暴れ過ぎたせいで「支えの鎖」が繋がっていた壁が完全に壊れ、その勢いでバランスを崩した彼の巨体は顔から豪快に倒れ込み、自らの重さに押し潰される形で不協和音を上げながら大破。
魔法が解ける前に「物」として死んでしまう最期を迎えた。
それでも野獣が悲しそうに彼の名を呼んでいた事から、陰気な性格なだけで優れた音楽家の才能は間違いなくあったこと、邪険に扱われていたとはいえ情が皆無ではなかったであろうことがうかがえる。
後に全員が人間に戻った際、後継者のマエストロにはファイフが選ばれた。
余談
名前の由来は恐らくフォルテッシモ。
作中で(魔女を除いて)唯一魔法を扱うキャラクターである。
ディズニー初のフルCGキャラクターであり、よくも悪くも浮いてしまっていることを指摘する声やその顔がトラウマになっている視聴者も少なくない(特に最期はドアップで顔が迫ってくるので余計に)。
ファンからは「キャラが濃すぎて話の内容が持ってかれた」とまで言われるほどの強烈なインパクトを残し、劇中の言動から「ヤンデレ」「粘着系」「湿度が高いパイプオルガン」などと呼ばれている。湿気が天敵な楽器がこのように呼ばれるのはどんな皮肉だろうか。
また、最期に関して「彼の思考から考えるとある意味彼にとって一番望んだ終わり方では?」という声も上がっている。
そもそも彼がこのような計画を企てたのは「呪いが解けて自分の才能が見向きもされなくなること」への阻止であり、ある種の孤独への恐怖ともとれる。故に陰気な性格ではあれど根っからの悪人とは言い難く、単純なヴィランズで片付けられないという声も(性格がややアレだったのが難だが)。他のディズニー作品でも最終的に死亡した悪役は少なからずいるが、フォルテのように主人公サイドに死を悼まれる悪役はディズニーでは珍しい部類である。
もしもベルを信じていたなら、彼女の優しさに触れていれば、改心した王子から扱いも良くしてもらい陽の光の元でファイフとまた演奏ができたかもしれない。
関連イラスト
関連タグ
美女と野獣(ディズニー) 美女と野獣_ベルの素敵なプレゼント ディズニーヴィランズ 音楽家/マエストロ パイプオルガン/鍵盤台
ヤンデレ:見方によってはほぼこれ。
悲しき悪役:そういった見方もできなくはない。
類似のディズニーヴィランズ
- クロード・フロロー:ヤンデレポジション設定が共通する。
- ガストン(ディズニー):美女と野獣シリーズの本編におけるヴィランであり、こちらも2人の仲を引き裂こうとしたのが共通する。ただし、こちらは野獣よりベルとの絡みが多い点が異なる。
- エルネスト・デラクルス:こちらはミュージシャンだが、音楽の才能があるのが共通する。ただし、デラクルスは、相棒を毒殺して曲を盗んだので正体を知るまではミュージシャンではない。