概要
フランス北東部の地域で、現代ではブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏の西部を指す。 かつての古都ディジョンを都とするブルゴーニュ公国を前身とする。
ブルゴーニュとはゲルマン人の一派ブルグント族に由来する名で、ドイツ語ではブルグントと呼ぶ。
ブルゴーニュ地方はローヌ川沿いの街道でイタリアと、また北はフランドル・ネーデルラントに繋がる交通の要衝であった(饗庭孝男他『フランスの中心 ブルゴーニュ 歴史と文化』)。ブルグント族は南方でイタリア文化を取り入れたブルグント王国として栄え、この地域を領土に加えた後にフランク王国に敗れて併合される。
カペー朝フランス王国の時代に、この地にブルゴーニュ公爵領が封建される。ブルゴーニュ公は王権を支える有力貴族となった。百年戦争でも王位の行方を左右する最有力諸侯として君臨し、フランス王が勝利した後は自立性を高めて「ブルゴーニュ公国」としてフランドル、ネーデルラント、ルクセンブルクなどに領土を広げる。しかしスイス軍との戦争で最後の公王が敗死し、国土の大部分はフランス王が制圧した。フランドル地方以北の領土はハプスブルク家が継承し、後のベルギーやオランダなどの母体となる。
ブルゴーニュ公国は全盛期にはフランス王国を凌いで全ヨーロッパの文化の中心にもなった(饗庭孝男他、同書)。画家にはヤン・ファン・エイクらが集い、作曲家にもギヨーム・デュファイらがいてブルゴーニュ楽派と呼ばれた。この文化的伝統はフランスばかりかベルギーやオランダの現代にも引き継がれている。
現在のブルゴーニュはワインの名産地であり、赤白の高級ワイン生産地の座をボルドーと争う。その伝統的な栽培地の仕組みは世界遺産『ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ』に指定されている。また、美食の地としても知られ、マスタード、エスカルゴ、牛肉なども名産品である。