概要
CV:稲田徹
原作:暁なつめ、作画:まったくモー助・夢唄による漫画『けものみち』を原作とするTVアニメ『旗揚!けものみち』に登場するオリジナルキャラクター。原作には今現在のところ登場していない。
主人公・柴田源蔵こと“ケモナーマスク”が宿敵と認めるプロレスラー。通称「MAO(マオ)」。
柔道選手からプロレスラーに転じた経歴を持つ。クセのあるワインレッドの短髪に太い眉毛、下睫毛の伸びたツリ目に青い瞳、ギザ歯が特徴の青年。その攻撃的な外見に違わず言動も非常に横柄で、相手に対して「コノヤロー!」など怒声や拳を浴びせることもしばしば。体重178ポンド(約81kg)と、体格ではケモナーマスク(198ポンド/約90kg)より一回り小柄だが、その実力は高く、所属団体の面々によると「MAOとまともに相手が出来るのはケモナーマスクしかいない」とまで評されている。
作中での動向
ケモナーマスクとは、これまで幾度となく対戦するも一度として勝利できずにおり、第1話冒頭でおこなわれた「世界タイトルマッチ」で今度こそ倒そうと意気込んでいた。試合では、おたがい華麗な妙技の応酬で会場をヒートアップさせるも、突如としてケモナーマスクが光とともに異世界に誘われ姿を消してしまい、未消化のまま試合を終えることになる。
当然、MAOはこの出来事に怒り狂い、後日開かれた記者会見においては「奴は試合を放棄して逃げ出した」「レスラーの風上にも置けないチキンナゲット」と徹底的に罵倒し、どこかで中継を観ているであろうケモナーマスク(当然、彼は異世界にいるため知る由もない)に向けて挑発するメッセージを叩きつけた…しかし、その目には涙を浮かべており、それを隠すように静かに会見場を後にした。
以降のMAOは深刻な「ケモナーマスクロス」に追い込まれ、団体の出頭要請も試合のマッチングもすべて断り自宅に引きこもり、ケモナーマスクの雑誌やポスター、果ては彼の入場テーマをリピート再生しながら咽び泣く日々を送る。医師から「ケモナーマスクのことを一旦忘れ、別の趣味をやってはどうか」と勧められ編み物などを初めてみるも、結局彼のことを思い起こしてしまい(編んだマフラーらしきものにケモナーマスクの顔を編み込んでいた)長続きしなかった。…ヒロインかな?
そんなある日、不意にリングスーツを纏って鏡を見つめていたMAOの周囲を怪しい瘴気が取り囲み、気が付くと異世界を支配する魔王直属の臣下である四大公爵家の娘イオアナの下に転移していた。イオアナは、敵対するエドガルド王国が召喚した勇者打倒のため(および自身のライバルであるリンダブレアの鼻を明かすため)に、彼らと同じく異世界の強者を求めて召喚の儀を執り行っていた。彼女に名前を訊かれ「MAO…だ」と答えた結果、魔族たちから「異世界の魔王」と勘違いされることになる。
現状も掴めぬまま早速イオアナから勇者討伐の任を伝えられるとともに、彼女の従者ローゼを通して勇者の人相書き(手配書)を渡されるが、MAOはその人相書きがケモナーマスクであると認識すると、彼と再戦する機会に心躍らせ、不敵な高笑いを上げる。以降はイオアナの下で勇者を倒すための準備を始めた。
イオアナから、源蔵が優秀な仲間を集いパーティを組んでいることを想定し、こちらも対抗するべく魔獣たちを従えようと提案される。外界に出たMAOは、人間の町に赴く道中、犬猿雉それぞれの獣人たちを圧倒的な力量差で屈服させ、またたく間に軍団を形成する。その活躍ぶりにはイオアナも満足げであったが、何処となく源蔵の愛犬・ひろゆきに似た魔獣に懐かれたMAOは、引きつった表情で青ざめてみせる。
その勢いのまま、今度は以前源蔵が一騎打ちの末に和解したオークたちが暮らす集落を強襲し、ケモナーマスクの居所を吐かせようとする。ここでもたった一人でオークたちを打ちのめし、その際に放ったバックドロップに、オークの一人が「源蔵さんと似た技だ」と漏らしたことで彼がここに来ていることを確信、居所を聞き出そうとする。オークキングはじめ、源蔵を慕うオークたちはこれを拒否し、源蔵のことを決してしゃべることなくMAOに打ち倒された。
結局、オークキングも口を割ることはなくその場を退いたが、部下が前日開催された城下町の闘技大会のポスターを見ながらはしゃいでおり、気になったイオアナたちはそれを没収。そこに描かれていたイラスト(カーミラにジャーマンスープレックスをかける源蔵の姿)を確認したMAOはとうとう源蔵の居場所を突き止め、その後、ひろゆきを取り巻く一連の騒動で外出中の源蔵たちの家を占拠して待ち伏せ、ついに源蔵との再会を果たす。
源蔵からの軽い挨拶や、リンダブレアに因縁をぶつけようとするイオアナを尻目に、先の世界タイトルマッチで果たせなかった決着を今度こそつけようと要求。それを、何処からともなく現れて聞いていた銀行員のクラウスの提案で、両軍による闘技大会を開催することが提案され、MAOと源蔵はこれを承諾。両陣営から選手を選抜して5番勝負を執り行い先に3回勝ち星をとったほうの勝利というルールが布かれ、最後の大一番にMAOと源蔵によるシングルマッチがセッティングされた。
いよいよ開催された魔王軍VS勇者源蔵チームによる闘技大会は、以前よりも大幅にグレードアップした巨大な闘技場でおこなわれ、両チーム選手たちの健闘により試合は互いに2対2と勝ち星が並び、源蔵とMAOの戦いで勝敗が決するという熱い展開に運ばれた。
いざ行われた両雄の試合では、当初MAOは過去の試合でいつも先手をとろうとして敗れていたことから慎重に徹していたが、これは源蔵の思い描く「プロレス」の姿ではないと咎められてしまう。以降は共に技の応酬をおこないながらこれまでの経緯を語り合い、MAOも源蔵が「自分との勝負から逃げた」という誤解を払拭して和解。以降は復讐ではなく、会場を熱くさせるプロレスを源蔵もといケモナーマスクと共に楽しんだ。
途中、彼のセコンドについていたひろゆきに動揺したり(実はMAOは小さな動物が苦手という変わった気質の持ち主だった)、それを気遣ってひろゆきを連れ去ろうとしたイオアナに源蔵が怒って場外へ飛び出したり、さらにそれを追っていったMAO、彼らの追走に巻き込まれたエドガー一味や観客たちによる乱闘騒ぎなどの些細(?)なトラブルもありつつ試合は続行される。
20カウント前にリングに戻った二人は勝負を再会。
先手に出たMAOによる必殺技のキャノンボール450°(ダイビングボディプレス)が極まるも、体制を整えて立ち上がったケモナーマスクからの反撃を受け、最後はケモナーマスクによる懇親のケモナージャーマンでホールドされ敗北した。
すべてを出し切ったMAOは、源蔵の強さは「守るべきもの」があるからだとして敗北を認め、源蔵もまた、MAOと全力でぶつかったことでプロレスの良さを再確認し、互いに力強く手を取り合った。試合後は、魔王軍・勇者チームの面々も加わった大宴会が開かれ、種族を問わず交友を深めた。
後日、MAOは源蔵といつか再び「プロレス」をする約束を交わし、旅立っていった。
余談
モデルについて
MAOのモデルは、本作に制作協力しているDDTプロレスリング所属のプロレスラー・MAOこと井上麻生である。公式チャンネルではMAO本人による本作のMAOの記者会見シーンが再現されてたりする。上述の試合で披露されたキャノンボール450°もMAO選手の得意技に由来する。
11月10日に東京・池袋で開催された“AGF2019”の主催者企画として、本作とDDTによるコラボレーションマッチが行われ、MAO選手はここで坂口征夫とタッグを組み、ケモナーマスク&上野勇希コンビと対戦した。後述されるゲストの稲田徹氏の生アフレコも相まってアニメさながらの大激闘を繰り広げ、最後は坂口選手のフォローもあって見事に逆転勝利をおさめたが、MAO選手は直接フィニッシュを極められなかったことを惜しみ、ケモナーマスクから「今度はシングル(1VS1)で戦いたい」という申し出もあり、DDTで再戦することが約束された。
声優について
担当声優である稲田徹氏は、過去に同じ原作者のアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』でもアニメオリジナルキャラクターの荒くれ者を演じていた。
また稲田氏は、予てよりプロレスの大ファンであり、自身もかつてはレスラー志望であったが怪我でその道を断念した経歴を持つ。作中のMAOの台詞にはプロレスネタが数多く盛り込まれていたが、実はその殆どが稲田氏によるアドリブであったとのこと。
上述のAGFでのイベントではスペシャルゲストとして登場し、スーパー・ササダンゴ・マシンと共にプロレスの初心者向け解説や試合中のMAO選手の生アテレコを行っている。更にはリングのコーナーポストに上るという稲田氏の長年の夢が叶う事にもなるなど、とても有意義な時間を過ごせた様で、本作に感謝の言葉を残している。
なお、稲田氏は前述のイベントの際に自身の代表的な役でもある「地獄の番犬」をモデルにしたマスクを持参している。