概要
『ドラゴンクエストⅤ』に登場した女性。金髪のロングヘアが特徴。
青年期・前半
元は、「光の教団」と呼ばれる宗教団体に所属する謙虚な女性信徒で、兄のヨシュアと共に教団に拾われた恩義からその信徒になっていた。特に美しい容姿であったマリアの方は、教祖であるイブールの侍女という役職を得ていた事からも、イブールにとって相当のお気に入りであった模様。
しかし、マリアは拾われた事に感謝はしても、教団の方針そのものにはついていけなかったらしく、完全に教義に心酔してはいなかった。
そんな中、イブールが大事にしていたとされる皿を割ってしまったという些細な理由から、教祖の侍女から一転して奴隷の身に落とされる事になってしまうのだが、いきなり奴隷としての重労働など出来るはずもなく、奴隷の監視役であるムチおとこの足に岩を落としてしまったのを理由にムチ打ちの刑を受ける事になり、それを見かねた主人公とヘンリーの二人に助けられる。
なお、『小説 ドラゴンクエストⅤ』では信徒から奴隷にまで落ちた経緯についてより具体的に描かれ、神殿で働かされている奴隷達の姿を目の当たりにした事で教団に疑問を抱く様になり、更には姉妹同然に慕っていた女性信徒の裏切りで式典用の皿を割ってしまった結果、奴隷に身を落とした事になっている。また、兄のヨシュアとは幼少期から教団に入るまでの間生き別れの状態であったとされており、奴隷に身を落とした後に囚われていた水牢の牢番で、兵士になっていた彼と偶然再会するに至っている。
また、ニンテンドーDS版では奴隷になった経緯やムチおとこにムチ打ちを受けていた理由についても設定変更が行われ、子供の奴隷を庇いイブールの不況を買った事から奴隷に身を落としムチおとこの足に泥を溢した事でムチ打ちの刑を受けていた等、割と納得のいくものに落ち着いている。
マリアや主人公、ヘンリーによって起きた騒動の後、教団が大神殿を完成させた後に奴隷達を皆殺しにする噂を聞いてしまっていたヨシュアは、マリアを救った主人公とヘンリー二人の勇敢さに希望を見出し、奴隷の死体を流す用水路を利用する形で脱出させる事を計画。主人公、ヘンリーと共に樽の中に入れられたマリアは、海に流される形で何とか生きながらえる事になり、その後は流れ着いた先にあった修道院に拾われ、洗礼を受けてシスターとなる。
それからしばらくして、主人公とヘンリーの二人がラインハットに平和を取り戻すべく、ラーのかがみが眠る「神の塔」へ向かう事になり、塔へ入るには「清き乙女の力」が必要になると聞くと、自ら志願する形で同行する事になるが、戦闘にまでは参加しない。また、その後修道院に戻らずラインハットへ向かうと、マリアもそのまま同行する事になり、ラインハットでのニセたいこう騒動が終結した後、主人公と別れる事になる。
その後は一度修道院に戻っていたのだが、兼ねてより自身に気があったヘンリーが白馬に乗って現れプロポーズされる事になり、それを受け入れたマリアは彼と結婚しラインハットへ移住する事になった。
青年期・後半
主人公が行方不明になった後から数年が経過した後、ヘンリーとの間に息子・コリンズを出産。一児の母親となり、平穏な生活を送っている。
しかし、教団に逆らう形で自身や主人公達を救った兄・ヨシュアについては、過酷な末路を迎えた事が後に明かされる事になった。
主人公が数年の時を経て光の教団の大神殿へと戻り、因縁の敵であるイブールの元へと向かう中、数体の白骨死体の放置されていた牢屋の様な場所へと辿り着く。
そして、その中の一体の白骨死体の傍の壁には、あるメッセージが残されていた…。
「マリア……
兄さんは もう だめだ……
せめて…… せめて おまえだけは
しあわせに なってくれ……」
そう、「マリア」という名前の人物に宛てられたメッセージの傍に横たわっていた白骨死体こそ、マリアや主人公達を逃がした後、イブールの怒りを買って捕らわれてしまった末に獄死してしまったヨシュアの無残に変わり果てた姿であった…。
奴隷としてある意味特別な存在であったマリアの失踪は、やはり教団に隠し通す事は出来なかった様で、彼女の実の兄であるヨシュアに真っ先に疑いが掛かってしまうのもやはり避けられなかった。
反逆者として投獄され、おそらくはろくに食事も与えられないまま死に行く身となっていたヨシュアは、たとえマリア本人が見る事が無くても、自らの思いを何らかの形で残さずにいられなかった様で、最後の力を振り絞ってマリア宛にこの文字を残したのは想像に難くない…。
エンディングにて、主人公の口から兄の死や壁のメッセージを聞かされたと思われるマリアは、もはや兄と生きて再会する事は叶わない事を以前から覚悟していたようで、冷静にそれを受け止めている。そして、そんな兄の決意と覚悟があったからこそ、生き延びた主人公達によって世界が平和になった事も理解していたマリアは、この世を去ったヨシュアもきっと浮かばれたと信じるのだった。
全てが終わったその後、大神殿の牢に残されたヨシュアの亡骸が、妹のマリアやヘンリーによって葬られる事を望まずにはいられない…。
彼が残した遺言通りに、妹のマリアは愛する夫と息子に恵まれ、確かに幸せな人生を送れていることがせめてもの救いであろう。