概要
ZAC2230年、ZOITEC社と敵対していたZi-ARMS社が最終兵器として造り上げていたデスザウラーの強化型。
『三匹の虎伝説』におけるZOITEC社とZi-ARMS社の抗争の原因であり、同編のラスボスである。
デスザウラーMk-IIと同じようにアイアンコングPKのハイマニューバーブースターパックや武装が装備されているが、最大の特徴は加重力衝撃テイルの付け根に増設された強化版の荷電粒子供給ファンである。
強化された荷電粒子供給ファンによって荷電粒子砲を放射しながら同時に次の荷電粒子エネルギーを取り込むことが可能になり、理論上ではあるが荷電粒子砲を無限に吐き続けられるという凶悪な機体となった。
しかし、この時代では中央大陸時代からの宿敵マッドサンダーの反荷電粒子シールドやゴジュラスギガのハイパーEシールドなど、大口径荷電粒子砲を防御できる高出力シールドをもつゾイドが存在し、これでも不安要素を拭うことは出来なかった。
この時代はマッドサンダーは絶滅したと思しく、ゴジュラスギガも生存しているか不明ではあるものの、上記2機種はデスザウラーにとって天敵と言えるため仮想的と定めて警戒していたと推測される。
より強力かつ完全な力を求めるZi-ARMS社は、ZOITEC社の社長から古代虎のゾイドコアの制御技術を盗み、凄まじいパワーを持つ3つの古代虎のコア全てをメガデスザウラーに組み込むことで、さらに破壊力を増した荷電粒子砲を無限に吐き続けられる「完全体」の完成を目論んだ。
劇中の活躍
ZOITEC社に対して軍事行動を起こしたZi-ARMS社の最終兵器として登場。
ホエールキング上で繰り広げられたブラストルタイガーとレイズタイガーの戦闘が、互いにゾイドコアの高温によって機体が赤熱し行動不能となったタイミングで乱入し、レイズタイガーを捕獲しようとした。そこにZOITEC社の援軍としてワイツタイガーが到着、Zi-ARMS社にとって残り2つのコアを入手できるチャンスが訪れた。
・・・筈だった・・・
3体の虎型ゾイドが揃ったことで3つの古代虎のゾイドコアが共鳴、ブラストルタイガーまでもが自身に牙を剥き、3体の虎型ゾイドの圧倒的な力になすすべもなく、ブラストルタイガーのサーミックバーストで装甲が融けたところにレイズタイガーの牙によってとどめを刺された。その際、悪あがきとばかりにホエールキングを荷電粒子砲で破壊、同機もろとも消滅。Zi-ARMS社の目論見はご破算に終わった。
この3大古代虎とメガデスザウラーの激突によって、ゾイドバトルストーリーを描いた公式ファンブックEXは展開を終了しており、ある意味ではバトルストーリーの最後を締めくくるボスゾイドと言える存在である。
海外版のゾイドフューザーズの資料集によると、「USZ-032メガデスザウラー」という名称で2003年7月にキット化する予定があったということだが、こちらは未発売のままで終わっている。
メガザウラー
よく似た特徴を持つ類似機として、GCソフト『ZOIDS VS.』シリーズに登場する「メガザウラー」が存在する。
見た目はネオゼネバス仕様のセイスモサウルスと同じ白い装甲と赤いフレームのデスザウラーで、尾の付け根部分に強制服従回路(別名、拘束装甲)という特殊な装置が取り付けられている。(ちょうどメガデスザウラーに据えられた追加荷電粒子吸入ファンと同じ形である)。
キメラブロックスのテクノロジーを応用した改造機で、体内に複数埋め込まれた人工ゾイドコアとの合成拒絶反応をエネルギーとして取り出している。しかし人による制御は限界を超えてしまったため強制服従回路が取り付けられ、ひとたび起動すれば、新陳代謝として荷電粒子ビームを放出し続けながら活動しなくてはならない。
メガデスザウラーとは根本的に設定が異なるが、「別のコアを複数組み込まれる」「延々と荷電粒子砲を吐き続ける」という部分で共通点がある。
- 『ZOIDS VS. II』
攻略本にも登場しない隠し機体として登場、隠しコマンドの入力で登場させることができる。
同作のブラッディデスザウラーを上回るステータスを持ち、前述の設定を反映させてか、荷電粒子砲を歩きながらチャージ時間なしで連続発射するという能力を有している(武器のセッティングとしては、普通の荷電粒子砲(BC-ECP CANNON)とは別にメガザウラー専用の荷電粒子砲(MEGA DS FPS)を装備する)。
…が、実はメガザウラー専用の荷電粒子砲以外にも歩きながら荷電粒子砲を使う裏技が存在する。
- 『ZOIDS VS. III』
ストーリーモードのラスボスとして登場。
こちらでは白虎型のゾイドコアを吸収し、3体の古代虎機体のゾイドコア共振のエネルギーによってデスザウラーから進化するという、バトルストーリーのメガデスザウラー(完全体)にやや近づいた設定となっている。ルートによってはメガデスザウラー同様にホエールキングもろとも墜落するが、こちらはその衝撃に耐え抜き、制御を離れて暴走する。メガザウラーが暴れ続けた場合、惑星Ziが生き物の住めない星になる可能性もあったという。
ストーリーモードをSランクでクリアすると、VSモードで使えるゾイドの一体として追加される。
余談
ヘリック共和国最強の精鋭部隊である閃光師団がブラッディデーモンの姿を目の当たりにしただけで恐れをなしたように、共和国兵士にとってデスザウラーはトラウマそのものである。しかし、皮肉にもデスザウラー側も正面切って撃破されるトラウマに苦しめられていたようで、マッドサンダーやゴジュラスギガを如何にして接近前に葬るかに注力した結果本機のコンセプトにこぎ着けている。
バトルストーリーの描写では、通常のデスザウラーの荷電粒子砲でもゴジュラスギガのハイパーEシールドを3発で、マッドサンダーの反荷電粒子シールドを20秒連続照射で破っており、無限に照射可能となったメガデスザウラーであれば、スペック上はこれらのシールドを突破することは難しくないはずである。
それにもかかわらず仮想敵としてのマッドサンダーやゴジュラスギガの存在が無視できなかったのは、「もし格闘戦を許したら敗北する」という不安点が無限照射だけでは払拭できなかったということであり、「デスザウラー長距離砲タイプ」として格闘戦そのものを避けたセイスモサウルスの存在からも、やはり通常型のデスザウラーではマッドサンダーやゴジュラスギガに格闘戦に持ち込まれると非常に厳しいのだろうと考察されている。
一方で戦後から約100年、ロールアウトから実に約200年もの月日が流れた時代においても最終兵器のベースとして用いられた事実は、デスザウラーの基礎スペックの高さを改めて示してもいる。特にZi-ARMS社が規格外の出力を持つ伝説の古代虎たちをも本機のパワーアップ用の材料と扱っていること、古代虎に迫るスペックを持つデカルトドラゴンを新規開発した上でメガデスザウラーを最終兵器に据えていることは、本機の戦闘能力が(少なくとも通常制御下のスペックでは)最新鋭機である彼らより優先するに足る、未来の水準でも極めて高いものだった証左といえる。
また、荷電粒子砲の威力でデスザウラーを上回るセイスモサウルスが「最強の荷電粒子砲」をコンセプトとした兵器のベースに選ばれなかったことにも何らかの理由がうかがえる。ゲーム作品「ゾイドサーガフューザーズ」でZi-ARMS社はアルファ・リヒターにセイスモサウルスのデータを提供しており、開発データが失われていたわけでもない。デスザウラーに何らかの性能的な優位性があったのか、荷電粒子砲の無限照射という拡張にセイスモサウルスが適していなかったのか、いずれにしてもセイスモサウルスではなくデスザウラーを選ぶ何らかの理由があったと思われる。
知名度こそ低いものの、本機はゾイドの性能や力関係を考察する上で非常に重要なポジションにあるといえる。