概要
ZAC2230年の東方大陸において、ゾイドブロックスを開発した企業「ZOITEC」と双璧をなし、覇権を争っている軍事企業。
元々はヘリック共和国派であったZOITEC社の中から、一部のネオゼネバス帝国派が独立して生まれた企業であるとされている。その一方で、中央大陸大戦が本格化したZAC2103年にブロックスの運用方針からZOITEC社と交渉決裂したネオゼネバス帝国に使者を送り、戦闘に特化したキメラブロックスの量産と提供を持ち掛けていることから、既にこの時代にはZOITECと双璧を成す企業として成立していたようである。
その企業体質は過激を通り越して『テロリズム』の領域に踏み込んでおり、ZOITEC社が伝説と呼ばれる古代虎型ゾイドの制御技術を確立したと知るや、その技術を手に入れるために戦闘ゾイドを送り込んでZOITEC社長を力尽くで誘拐するという事件を起こしている。これに対抗してZOITEC側も開発したばかりの古代虎型ゾイドを出撃させ、企業抗争として大規模なゾイド戦が繰り広げられる事態となった。
また、ゲーム『ZOIDS VS. III』では究極の破壊兵器と呼ばれるメガザウラーの完成を目指し、必要な戦闘データの収集のためだけに闇のゾイドバトルを主催した上で主人公とライバルを罠にはめて憎み合わせ、その真実を知ったライバルの妹を無理やり記憶喪失させるなど、完璧に悪の組織としか言いようがない所業を行っている。他にもゲーム『ZOIDS SAGA FUZORS』ではアニメ「ゾイドフューザーズ」のラスボスであるアルファ・リヒターにセイスモサウルスのデータを提供しており、「帝国と共和国の大戦」という時代が終わって以降のゾイドワールドにおける諸悪の根源のような立ち位置となっている。
技術力そのものは確かであり、中央大陸大戦時代のZAC2103年ごろには大量のキメラブロックスを生産してネオゼネバス帝国の軍事力を一気に拡大させ、ZAC2230年には古代虎型ゾイドを含む複数の高性能ゾイド、そしてデスザウラーをベースとした最終兵器を生み出している。
開発ゾイド一覧
通常ゾイド
ブロックスゾイド
- 無人キメラ
- 有人キメラ
- 通常ブロックス
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ZOITECとの根深い関係
公式ファンブック5巻ではZi-ARMS社が中央大陸大戦時代からZOITECと双璧を成す規模で存在していることになり、これまでのZOITECからネオゼネバス帝国派が分離して誕生したという設定から大きく変更されている。また、そのZi-ARMS社がキメラブロックスの開発企業となったことで、従来の「ネオゼネバス帝国がZOITEC社に対して恫喝的な無人戦闘用ブロックスの開発を要求したことでキメラが誕生した」というキメラブロックスの出自も根本的に変わっている。この2点は、従来のバトルストーリーから多数の変更が加えられた公式ファンブック5巻の中でも矛盾を伴うほどの大きな変更となっている。
しかし、実は公式ファンブック5巻では、ZOITEC社とZi-ARMS社周りはかなり不穏な要素が匂わされている。ネオゼネバス帝国はZi-ARMS社の使者と相対し、キメラブロックスの提供と量産という提案を狂喜して受け入れたが、実はZi-ARMSという社名もZOITECと双璧を成す企業であるというのも使者がネオゼネバス帝国側に語った自称でしかなく、本当に東方大陸にZi-ARMS社という企業が実在するのかは誰も確かめていないのである(本国の防衛で手いっぱいのネオゼネバス帝国は東方大陸への出兵を断念しているほか、キメラブロックスも通常のブロックスも東方大陸で量産されて中央大陸に輸出されている)。
そして、そのZi-ARMS社を名乗る使者が現れてキメラの提供を申し出たのはネオゼネバス帝国とZOITEC社の交渉が決裂した僅か数日後であり、なおかつこの接触と同じ頃に先の交渉決裂で東方大陸に帰ったはずのZOITEC社の使者はヘリック共和国軍の方に接触し、ブロックスの提供を申し出ているなど、敵対している企業同士にしては異様なほど足並みを揃えている描写がある。
他にもZOITEC社の使者が「我らも一枚岩ではない」と意味深な言葉を語ってZi-ARMS社の来訪を予言したことや、ブロックスの平和利用を願うが故に帝国と決裂したはずのZOITEC社が共和国に戦力としてブロックス提供を行ったこと、Zi-ARMS社の支援のみを受けているはずのネオゼネバス帝国がキメラでないジェットファルコンを開発していたことなど、どこかZOITEC社とZi-ARMS社が敵対しているようで呼応して動いているかのように描かれている。
別媒体ではあるが、ホビージャパンで連載されていたタカラトミー監修のジオラマストーリー「ZOIDS BATTLE ANGLE」では三匹の虎伝説編の少し後の時代におけるZOITEC社とZi-ARMS社が描かれている。その中での会話で、「ZOITEC社とZi-ARMS社は暗黙の了解として、片方が飛躍的な技術を得たら敵対側にも同等の技術がもたらされるという関係を何年も続けてきた」と語られ、ZOITEC社とZi-ARMS社が抗争や技術の奪い合いをしているのは両企業の技術力が等しく発展していくためのある種の技術提携であったことが仄めかされている。
そうであれば、敵対するヘリック共和国とネオゼネバス帝国それぞれに『ZOITEC』と『Zi-ARMS』という同じブロックス技術を持つ東方大陸の企業が味方し、両軍がブロックスを主力として大戦争を繰り広げることで、結果としてゾイドブロックスが急速に進化していったことそのものが、もしかすると…。