バイオゾイド
ばいおぞいど
ディガルド武国の台頭を支える軍事力であり、その技術はソラシティから伝わったとされる。
まるで恐竜の全身骨格がそのまま動いているような極めて異質な形態が特徴で、今までのゾイドと違って内部フレーム以外は機械的な要素を感じさせない斬新過ぎるデザインとなっている。
※ただし、ゾイドの出自を考えればこの姿は先祖返りともいえる。
空中都市ソラシティに住まうソラノヒトからもたらされた技術がふんだんに応用されており、通常のゾイドとの最大の違いは全身が特殊な流体金属製の装甲「ヘルアーマー」で覆われていることである。
厳密に世界観を共有しているかは不明だが、『ゾイドジェネシス』や『ゾイドジェネレイションズ』などに通じる設定を持ち、数千年前以上の前日譚とも言える『ZOIDS BATTLE ANGLE』では、ZOITEC社が発掘した古代ゾイドのコアをベースに実験機「フランク」を生み出し、その後、Zi-ARMS社がフランク・クローンを作り出したとされている。
- つまり、この時点で古代からの発掘機であり(『ゾイドジェネシス』の通常のゾイドと真逆の立場になっている)、共和国系列の企業によって生み出されたとも言える。
- もっとも、ZOITEC社はエナジーファルコンの開発を進めていたこともあり、共和国側として扱われることも多いが、実際は帝国とも協力関係にあったこともある。
ヘルファイヤー
バイオゾイドの代表的な火器。超高熱のナパーム弾を口から発射し、その威力は同じバイオゾイドにも有効な程である。ロン・マンガンは「コア圧縮ナパーム」と表現している。
アニメではヘルファイヤーを装備している機種がキット版よりも大幅に増えていたり、他のゾイドにも言えるが、キット版にない武装を装備していることも目立つ。ヘルファイヤーは、ナパーム弾や火球砲としてだけでなく、通常の火炎放射器としても使用できる。また、ガトリング砲の様に連射したり、クラスター爆弾の様に拡散して広範囲に降り注ぐというバージョンもある。
- 『FIELD OF REBELLION』におけるコマンドウルフの専用のガトリング砲である「ヘルファイア」とは異なる武装である。
バイオラプターグイは、対照的に冷凍武器を装備しており、数少ない冷凍系の武装を持つゾイドでもある。
バイオ粒子砲
バイオティラノと関連種のマザーバイオ、バイオヴォルケーノに装備された、この世界観における最強クラスの武装。対象を原子レベルにまで分解するとされる。
過去のシリーズにおける荷電粒子砲、プラズマ粒子砲、フォトン粒子砲、タキオン粒子砲、重力粒子砲に該当するが、こちらでは荷電粒子などを外部から吸収する描写もなく、そもそも「バイオ粒子」が何なのかすら不明である。
しかし、威力は強烈であり、とくにバイオティラノのものは「神の雷」と呼ばれ、着弾点に球状の重力場を生成するほどである。
そのため、これもまたソラノヒトに由来する超技術だと思われる。
また、とあるゲーム作品では「ゲヘナフレアー」という名称で先行登場していた。
ヘルアーマー
バイオゾイド最大の特徴の一つであり、戦闘力の根幹を為す機構の一つである。特殊な流体金属で構成されている。
これにより、実体弾やビーム兵器等の既存の兵器をかなりの割合で無効化してしまい、最下級のバイオラプターですらビームトータスのビーム砲を至近距離から喰らっても全くの無傷な程。
- 本作で敵対したムラサメライガーのカウルブレードをはじめ、実弾やエネルギー弾を弾いたり逸らすなどの機構を持つ装甲を持つゾイドは過去のシリーズにも何度も見られたが、実弾とエネルギー弾の両方に耐性を持ち、基本装備としているのはバイオゾイドが初めてである。
正面対決で有効なダメージを与えられるのはリーオ(メタルZi)製の武器による攻撃か、ヘルアーマーで覆われていない口腔や関節を攻撃するぐらいとされ、デュアルスナイパーライフルを装備したケーニッヒウルフを操るダンブルなどの狙撃の名手とコンセプトに合った武装を持つゾイド以外は、リーオ製の武器が無いゾイドによる撃破は非常に困難と言われている。リーオが非常に限られていることもあり、バンブリアン(および『ゾイドジェネレイションズ』におけるガンズレイザー)以外は弾丸としてリーオを採用できる場面は戦争後期になるまで訪れなかった。
しかし、実弾兵器やビーム兵器に対して完全無欠というわけではなく、デッドリーコングのパンチやエレファンダーによる踏みつけ、果ては大きな落石といった大質量の攻撃でも撃破されている。これらの質量攻撃はヘルアーマーの破壊ではなく、その攻撃から発生する衝撃で内部の機械を破壊する事が目的と考えられ、現実でもプレートアーマーのような重装甲の鎧を装着している相手に対し、下手に斬りつけるよりも鎧に剣を叩きつけて撲殺を狙う戦法が取られる事は少なくない。また、一部のセイバータイガーが格闘攻撃で撃破する場面もあった。
- 『ゾイドジェネシス』の時代には、デッドリーコングとギルドラゴンを除き、従来の大型ゾイドは全く登場しないので、ゴジュラスやマッドサンダーなどの大型ゾイドによる格闘攻撃や、(バイオ粒子砲で破壊されている事例も見られるので)ジェノザウラーなどの荷電粒子砲などの超兵器ならば倒せるのではないかという意見もファンの間で交わされている。
他にも、ヘルアーマーの防御力を貫通する非常に強力な火器などは稀にだが存在する。
- ブラストルタイガーの「サーミックバースト」や、同じバイオゾイドの「ヘルファイアー」により機構の内部が溶解する。
- 上記の通り、バイオ粒子砲はバイオゾイドに対しても効果がある。
- ソードウルフクラッシャーのバイオクラッシャーから放つ衝撃波はバイオゾイドを両断する。
- ソラシティ所属のデカルトドラゴンやザバットから放たれる光線でも撃破されている。
また、ムゲンライガーのグラビティーキャノンやソードウルフのエレクトロンハイパーキャノンなど、強力な銃器を使えば、撃破できずとも幹部クラスのバイオゾイドを怯ませる事もできる。
なお、流体金属を利用するゾイドの例に、やはり未来の技術で製造されたディアブロタイガーがいて、バイオゾイドとは別のベクトルでの超技術となっている。
難点
代償として通常のゾイドがコアさえ無事ならばある程度自己修復が可能なのに対し、バイオゾイドは自己修復機能は殆ど無いため、受けたダメージは施設で修理する他無く、本体の寿命も短いとされている(そもそも大方のリアルロボットはそのような機能も攻撃の無効化をできる機体の方が稀有で他のゾイドよりも戦闘マシーンじみた印象である)。
また、ヘルアーマーや機体コンセプトとの相性が悪いためか、外付けの武装を装備している事例が(バイオラプターグイが爆弾を搭載する以外は)存在しない。そのため、通常の火器やミサイルやレーザーブレードなどを装備している事例はなく、火器としては口の中に装備する「ヘルファイヤー」などの武装がかなりの割合を占める。
- 上記の通り、バイオラプターグイが爆撃機として運用された他、『ZOIDS BATTLE ANGLE』では実験機の「フランク」が外付けの火器を運用している。しかし、あくまでも実験機であるため、正式な運用がされたわけではない。
更に材料と設備があれば大量に製造できるが、パイロットが特殊なパイロットスーツを着用し機体と繋がって操縦するというシステムの問題上、適合率が極めて低く、それ故に生身のパイロットが不足していた。この欠点を補うべく造られたのが「ナンバー」と呼ばれる機械兵士で、それにより大多数のバイオラプターを配備しては短期間による他国への侵略を拡大できるようになった。
- あくまでもアニメ版の設定であり、キットではただ通常のパイロットスーツを着た兵士が乗るだけである。
しかし、実はナンバーはある非人道的行為で作り出された悪魔の道具であり、この非人道的な事実が後にディガルドと袂を分かったザイリンを通じて明らかにされた為、これを知った多くのディガルドの将兵らが離反し、討伐軍と合流する事態となった。
こちらでは、人間が操縦する兵器ではなく、「マザーバイオ」によって半永久的に生み出され続ける存在として描かれている。
独自の知能と意思を持って活動し、果ては他のゾイドを捕食して進化する魔物のような生命体として描写されていたが、同時に、人類との生命体としての交流やテレパシーに近い意思の疎通も可能である。それゆえに、最終的にはマザーバイオを含め和解する個体も見られた。
また、アフターエピソードの『ゾイドサーガオンライン』では人間の言葉を話せる個体も出現した。
本作オリジナルのバイオゾイドとして、スピノサウルス型のバイオスピノ、死神バイオ、バイオドロマエオサウルスなども登場した。
雑兵。武力侵攻のためディカルト武国が人為的に生み出したヴェロキラプトル型バイオゾイド。このゾイドですらいわゆる高性能の量産型でありそこそこのスペックを持つが、バイオゾイドの中では最弱である。
ミクロラプトル型の飛行ゾイドでバイオラプターの進化系。こちらも生産性重視の雑兵だが、数の暴力でソラシティを陥落させており、ディガルド武国のソラシティへの謀反とソラノヒトの没落を象徴している。
メガラプトル型。最初期に登場した「本物の」バイオゾイドである(バイオラプター等はメガラプトルのコアを元に生み出されたクローン)。終盤では量産型も登場している。
バイオメガラプトルの進化系。より強固な「クリムゾンヘルアーマー」と対象を分子レベルにまで崩壊させる「バイオ粒子砲」を手に入れた。
トリケラトプス型。攻撃的なバイオゾイドの中でも珍しい、防御型のバイオゾイド。頭のシールドからバリアを発生させつつ突撃する戦法を得意とする。こちらもバイオメガラプトル同様量産化されている。
プテラノドン型。極限まで軽量化されたヘルアーマーと、鋭いブレードを持つ。
ケントロサウルス型。より高硬度精製されたヘルアーマーの剣を複数武装する。こちらもバイオメガラプトル同様量産化されている。
ティラノサウルス型。バイオゾイドの頂点に君臨する唯一絶対の最強の王。腹部には接近した敵を破壊する肋骨状の「リブ・デスサイズ」を忍ばせ、口腔内には最高威力のバイオ粒子砲を隠し持つ。マザーバイオは亜種及び上位種の様な存在である。
唯一の哺乳類型バイオゾイド。『ゾイドサーガDS』にて登場。
バイオディプロドクス
ディプロドクス型。商品化は実現しなかったが、ラフ画が『電撃ホビーマガジン』に掲載されている。
『ゾイドジェネレイションズ』におけるバイオゾイドの「母」。
ダークスパイナーと非常に近い生態を持つ大型のバイオゾイド。
主人公らを倒すためにマザーバイオが作り上げた”最強の刺客”。
片腕の爪は異様に長く毒をもつ。終盤では飛行能力も獲得した。
バイオドロマエオサウルス
バイオメガラプトルの近縁種。名前がダサくて語感も悪い。当時の研究によりメガラプトルと体系が異なると判明したため改名されたと思われる。(それなら大型で文字数も同じラプトルであるユタラプトルでよかったのでは・・・)
フランク
『ZOIDS BATTLE ANGLE』に登場。バイオメガラプトルの先祖とも言える。また、ライバル会社によってフランク・クローンも製造されている。
その他
コロコロコミック掲載のストーリーでは、究極のバイオゾイドとしてバイオドラゴンが登場している。バイオ粒子砲の威力が5倍にアップグレードされている。
コンセプトアートが残されているモチーフとしては、カルノタウルス型なども知られる。
従来のポップアップキットのようなモーター・ゼンマイによる歩行ギミックを持たず、既に完成されたフレームに軟質素材で作られた装甲(バイオラプター&グイの装甲はプラパーツ)を取り付けていく簡易組み立てタイプのキットで、バイオラプター&グイを除いて歩行ギミックの代わりにゾイドコアの発光と数パターンの鳴き声発声ギミックを搭載している。
更に一部の箇所にボールジョイントを採用したフレーム各部の関節によって様々なポージングを取らせることが可能で、そのデザインはさながら恐竜の骨格をモデルにした骨格模型と言える。
しかしながら、特徴的なヘルアーマーは加工はおろか塗装すら困難な軟質素材で再現されており、従来のカスタマイズパーツやブロックスのパーツとも互換性がないため、ゾイドの醍醐味のひとつであるカスタマイズの敷居が高くなってしまい、模型誌でも細々と作例が紹介されるに留まった。
“ゾイドとしての評価は”かなり厳しいと言わざるを得ない。
骨格標本のような姿はそれ単体で見ればかっこいいという声も決して少なくはないものの、ゾイドらしさを放棄していると見なされ、ゾイドとしてのデザインは高いとは言えない。
悪役然とした面構えで恐竜や古代爬虫類ばかりがこのバイオゾイドとして出てきたため、恐竜型ゾイドファンからは非常に受けも悪かった。
また、玩具としても塗装や改造はかなり難しく、初期のキットは間接も緩い上、歩くことも自在にポーズさせることも出来ず、合体ギミックもないためブロックスから退化していると酷評された。
更に設定面でも、従来のゾイドを否定しているとしか思えない無敵に近い装甲も批判の声が大きかった。もっといえば、無敵の流体金属装甲は話の都合で案外簡単に突破される事もあり、その辺りの場当たり感も話の完成度を求めるファンからは厳しく批判された。
とはいえ、実は金属的な外骨格を持つ生命体のゾイドという設定を考えれば先祖返りともいえるデザインでもあり、後半味方になるバイオヴォルケーノは尖りながらも魅力的なデザインであることも相まって人気のゾイドとなり、バイオゾイドとしては非常に売れた。
バイオゾイドのデザインは意欲的な挑戦でファンの求めるゾイドらしさをメーカー側に強く印象付けた側面もあり、ゾイドに与えた正の側面は大きいともいえる。
- 設定の都合上とはいえ、かつての恐竜型ゾイドがアバンタイトル以外でアニメに登場する機会を失い(というか絶滅している可能性もある)、現生動物(主に哺乳類)VS絶滅動物(主に恐竜)の構図にした事で動物=善、恐竜=悪というイメージが定着してしまったのも旧来のファンからは賛否両論となった。(加えて現生動物の中に恐竜から進化した鳥が居るため裏切り者っぽく見えてしまうのも痛い)
- 一応、アニメゾイドでは主人公がライオン型ゾイドに搭乗し、味方もオオカミ型などの哺乳類型ゾイドを好み、ラスボスを含めたヴィランの大半(ザイリンやベガ・オブスキュラのように根っからの悪人でない者もいる)は恐竜型ゾイドに搭乗する傾向があるのであながち『ゾイド-ZOIDS-』の時点でその構図は多少なりとも定着している。また、『ゾイドジェネシス』を意識している部分があるネオブロックスシリーズも、やはりこの構図を受け継いでいる。
- 劇中では、味方としてデカルトドラゴンが登場したが、デスレイザーとパラブレードには分離しなかった。また、ムラサメライガーと合体する設定を持つサウロナイツは未登場である。
- ただし、『ゾイドジェネレイションズ』においては、デスレイザーなどの恐竜型ゾイドは味方側として登場し、『ZOIDS BATTLE ANGLE』でも凱龍輝が主役機のパートがある。
- ゲームシリーズではルージ達がバイオゾイド以外の恐竜型ゾイドと遭遇しても特殊なリアクションはしない。
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第一話「月下の黒獅子」
ゾイド40周年を記念に 今はなき電撃ホビー(言い方)に投稿したキャラクターで小説を書こうと思い立ちました。 ゾイドジェネレイションズの世界を元にしています。3,299文字pixiv小説作品