概要
オープンワールドRPG「原神」のフォンテーヌに住んでいる水棲獣人の一族。初登場は実装直前の予告動画。
人間の子供くらいの背丈で、頭の触角とミトン状の手、そして背の小さな翼が特徴的。直接的な戦闘能力は皆無で訓練を受けてもチンピラを一対一で抑え込む程度が精々であるものの、鋭敏かつ特殊な感覚を持ち身のこなしにも優れ水中活動も可能。上着を着る習慣はあるが、ズボンを穿く習慣はない。
その寿命はかるく数百年を超えるらしく、気質は見た目通りの純粋無垢な者ばかり。ただ人間社会に関わってスレる個体もいない訳ではない。
なお、見えづらいだけで口もちゃんと存在している。
元は人知れずベリル地区の辺境「エリナス」の地下深くに住んでいたが、前述の通り捜査官としてお誂え向きの能力を持つためか、ヌヴィレットによって人間社会へと連れ出され、召し抱えられた経緯を持つ。
現在はヌヴィレット直属の捜査部隊「マレショーセ・ファントム」のほとんどが彼女らで占められており、ゲーム内においてフォンテーヌ廷などの「人間の領域」に常駐するメリュジーヌは大抵この「法の番人」か「巡水船のガイド」のどちらかである。
また、フォンテーヌに存在するメリュジーヌたちは全て女性である。
物語中の主なメリュジーヌたち
※ここでは主に何らかの役割を持つ、いわゆる「モブではない」個体を中心に記述する。
メロピデ要塞で看護師長を務めている、作中で最も人間に近い見た目をしたメリュジーヌ。
- アイベル&エルファネ
巡水船のガイドを務めるメリュジーヌ。なお、ガイドは行きも帰りもフルボイスである。
アイベル(左)が、ロマリタイムハーバー/フォンテーヌ廷を結ぶ「クレメンタイン線」担当。新人で失敗も多いが熱意に満ちている。
エルファネ(右)が、エリニュス島/フォンテーヌ廷を結ぶ「ナヴィア線」担当。ベテランでガイドとしてやるべきことは必要十分にこなしているが、相当にスレているのが言葉の端々から垣間見える。
どちらも元・マレショーセ・ファントム所属だが、エルファネはアイベルが巡水船のガイドに配属されることになった際に「アイベルがやめるならここにいる理由はない」(意訳)としてマレショーセ・ファントムを辞職し巡水船のガイドに再就職した。
そのためガイドとしてはアイベルの方が先輩だが、アイベルは今でもエルファネを「先輩」と呼び慕っている。
連続世界任務「古き色合い」のキーキャラクターで、いわゆる画家のメリュジーヌ。
本人はいたって純粋だが、その絵は色々な意味で怪しく、村や一族の中でも浮いている存在。
- パシーフ
連続世界任務「エリニュスのはぐれ精霊」のキーキャラクターで、エリニュス島に住まうメリュジーヌ。
片言の人間語を喋り、肯定の意を「パシーフ」、否定の意を「メリュジーヌ」と語る。人間語は「あの客」と名乗る人間から教わったという。何故かヴィシャップと仲の良いことはわかるが結局正体は作中では直接は明かされなかった。
なお、「あの客」とは日本語で考えると意味不明だが中国語(原語)では「那位来客(Nà wèi láikè)」。メリュジーヌやフォンテーヌを気にかけており、かつこの発音に似た名前を持つ人物といえば…
また、パシーフは英語字幕では「Pahsiv」であり逆から読むと…
- トゥローザ
連続世界任務「問題メリュジーヌと解決ロボ」のキーキャラクターで、マレショーセ・ファントムのエージェント。
仮にも捜査部隊の一員としてはあまりに短絡的な思考と無駄に溢れる行動力を持っているが、どうやらこれには訳があるようで……
余談
- 元ネタはフランスの伝承に語られる半妖精メリュジーヌ。普段は美女の姿だが、週に一度だけ蛇の下半身と竜の翼を持つ妖精の姿に変じてしまう呪いを負っており、原神におけるメリュジーヌの「小さな翼を持つ獣人」という姿の一部はここから取られていると思われる。
- また、動画の街並みとも合わせて、フォンテーヌのメインモチーフがフランスであることが改めてはっきりとすることになった。
- その小さい体躯ゆえに人間の大人が扱うこと前提で作られたモノのほとんどをまともに扱えないなど、人間社会で暮らすには何かと苦労が多い模様。しかし「マレショーセ・ファントム」に入る事は彼女たちの憧れの一つとなっている。
- スメールの秘境に立ち寄ったある者曰く、彼女らが通ったあとには海と海藻の匂いが残るという。
- 視覚を始めとした感覚器の違いか、人間とは見聞きするものの捉え方が違うようで、しばしば名状しがたい独特の物体を生み出したり、人間基準で言うならぶっとんだ感性の物言いをして旅人を困惑させる。
- シグウィン実装直前のWebイベントでメリュジーヌ達から見たフォンテーヌの情景が描かれたが、そこで公開されたのは黄色と桃色みがかった光の射す空に珊瑚のように色鮮やかなフォンテーヌ廷の街並み。そりゃあ人間とほぼほぼ話が合わないのも無理からぬ話である。
- 幸いにも味覚は人類と共通する部分がそれなりにあるようで、料理においては「食べてさえしまえば」美味しいものも少なくない。……輪郭の曖昧な見た目と本能が拒否する刺激臭を乗り越えればの話だが。
- 特にメリュシー村の住人に顕著なのだが、モラを使う習慣が基本的に無い(というか、モラに感覚的に価値を見出していない)ため、メリュジーヌと取引しようとする商人は苦労が多いようだ。
- エリナスに出没する正体不明の不気味な生命体「ブリーチャープリムス」にも忌避感を抱かず、無害で可愛いと思っている個体も多いようだ。というのも、不思議なことにブリーチャープリムスはメリュジーヌにだけは決して敵対行動をとらず、危機から助ける事さえある模様。
- 悪人につけ入る隙を与えないために、メリュジーヌは自己判断で人間に施しを与えてはならないと定められている。これを知るものは少ないが、彼女達から見返り無しの「贈り物」があったなら、それは上長の許可や指示があったことに他ならない。
- その生態には謎が多いが、個体間の繁殖で生まれるわけではないようで、「しるし」と呼ばれるその個体を象徴する道具と一緒に、彼女たちが「血肉」と呼ぶエリナスの地から生まれ落ちる模様。
- フォンテーヌ固有の水棲生物である原海アベラントと違い、フォンテーヌでしか生きられないという訳では無い。ナタに出かけているメリュジーヌもいる。
- 彼女たちの故郷・メリュシー村にはおとぎ話がある。
- 「エリナス」がこの地に来た時、民に「何か出来ることはないか?」と聞いた。民は非力なメリュジーヌを憂いて「メリュジーヌの家になってあげて下さい」と頼んだ。その望み通りに「エリナス」はとある島に横たわり、そのまま数百年の時が流れていったという。
- ……そのおとぎ話がただの作り話ではないことを裏付けるかのように、メリュシー村のある地域はエリナスと呼ばれ、もはや地形と一体化した巨獣の遺骸が島の半分近くを包むように横たわっている。いずれその「おとぎ話の裏の真実」に触れる機会も訪れるかもしれない。
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==ここより先、世界任務「古き色合い」以降のネタバレ注意!==
- 深淵の巨獣「エリナス」
おとぎ話で語られる「エリナス」とは、かつてこの地に現れた深淵の巨獣の名である。
何者かによってこの地に呼び出された巨獣は、テイワットの美しさに感動するも、元からこの地で生きる命が自分の存在に恐れ慄くさまを見て、世界は自分を受け入れてはくれないのだろうと悟る。そしてこの地の命と争いが避けられなくなったなら、その末の滅びを受け入れようと決めた。
巨獣が島で倒れ伏し幾星霜。遺骸は骨と化し、臓器は洞窟へと変じ、血は鉱石として凝り固まり、魂は深き眠りに沈んでいったが、巨獣でも予想できなかった事が起きた。
エリナスの活性化を目論んでいた「水仙十字結社」と、それを阻止しようとする「マレショーセ・ファントム」がエリナスの地下で激しい抗争をした際、傷付いた巨獣の肉片から新たな命が生まれ落ち、体内に村を作り、この世界の命として生活を始めたのだ。それこそがメリュジーヌ一族である。
巨獣にとってはこれほど嬉しい事はなかった。時折その魂が微睡みから覚める時、巨獣はそれを見守り、やはり自らの細胞から生まれたブリーチャープリムスで干渉し、助けることもした(メリュジーヌがブリーチャープリムスを敵対視しないのは「同じ親から生まれた子供」であることを本能的に分かっているからと思われる)。
時々自分を復活させようと企む者が干渉してきた事もあったが、そんなことをしたら自分の亡骸に住まうメリュジーヌ達の暮らしをまるごと奪ってしまう。復活させようとする者の意図に従う気は巨獣にははじめから無かった。
在り様は忌まわしくも優しき心を持った巨獣は、今日も娘たちの平穏を夢に見ながら、水の国の片隅で眠り続けている。
==以下、さらにヌヴィレットの伝説任務のネタバレを含む==
- 苦難の過去
今でこそ、マスコット的存在としてフォンテーヌ中で愛される存在のメリュジーヌだが、約400年前にヌヴィレットと共に人間社会に出てきた当初は、その可愛らしくも人間とかけ離れた姿から、今とは逆に「得体のしれない化け物」扱いされ、市民たちから煙たがられていたことが、ヌヴィレットの伝説任務で判明している。
これは後ろ盾であるヌヴィレット自身、新参者として旧貴族などの保守派に敵視されていたことも大きかった模様。
当時、ヌヴィレットの部下だったメリュジーヌ「カロレ」はそれでも人間たちに溶け込もうと必死に働いていたが、人間たちには拒絶されてばかり。相棒である人間「ヴォートラン」にも「もう村に帰るべきだ」と何度も諭されるがそれでも諦めなかった。
そんな時、ヌヴィレットに敵わず武力排除を諦めた保守派が、カロレに罪を擦り付けようと殺人事件を起こす。そして暴動へと拡大し、一触即発となったその場を収めるために、彼女は自害してしまい、ヴォートランは彼女を守れなかったことにショックを受ける。彼はカロレに幼くして死亡した妹の姿を重ねており、人を疑う事を知らない純粋な彼女に危険な目にあってほしくない為「帰れ」と言い続けていたのだ。
そして、ヴォートランは辞職し、独断で事件の犯人を粛正。ヌヴィレットに裁かれ監獄「メロピデ要塞」に送られ、そこで一生を終えた。
しかし現在、メリュジーヌの役人「キアラ」に脅迫状が送られるという事件が発生した時は、ナヴィア達「棘薔薇の会(スピナ・ディ・ロースラ)」が協力してくれただけでなく、噂を聞き付けた多くの市民がメリュジーヌを守ろうと立ち上がってくれた。特に、当事者であるキアラには50人もの市民が彼女に張り付いて護衛していたらしい。
そしてヴォートランもヌヴィレットを恨んでおらず、むしろヌヴィレットの公平さを民衆に認めさせるために裁判時に一芝居を演じ、そしてメロピデ要塞で自警団体「助け合いの会」を設立し、要塞内の治安に貢献していたのをのちに知る事となった。
人間とメリュジーヌが共に生きる光景。それは、嘗てカロレとヴォートラン達が願っていた世界であり、その意志を受け継いだ優しい水龍王の努力は見事実を結んだのである。