争いの規律は生きとし生けるものの中に刻まれ、敗者は戦火の灰に、勝者は再び燃え盛る。
戦争の神がこの秘密を旅人に教えたのは、相応の理由があるからだ。
概要
オープンワールドゲーム「原神」に登場する国家。
魔神任務(メインストーリー)第五章「灼烈の反魂の詩」の舞台。
炎神ハボリムの領域。テイワット西部に属する国で、スメールの雨林から見て砂漠の反対側に位置する。
2024年8月28日のver5.0アップデートで実装。前情報は七国の中で最も少なく、実装までにこの国を出身とする者が他国ではNPC含めゲーム内に全く登場しなかったのも、情勢の不透明さに拍車をかけていた。
モチーフはアステカを中心に据えた、「精霊・自然信仰」文明の存在する南北アメリカ・アフリカ・オセアニア。
国土は良質な温泉が湧き出る火山地帯。四角く切り立った雄大な峡谷の上や狭間に、スメールとは方向性の違う熱帯草原の豊かな生態系が育まれ、液体燃素(マグマ)流れる地下層がこれらの命と自然を支えている。
しかしそれ故か気温が相当に高い気候であり、ナタで生まれ育った者以外が適応し長居する事は難しいのだとか。
象徴となる言葉は「戦争」。その物騒な単語に違わず「終わりなき戦争」で国土は延々と戦火に包まれているとされるが、これらはナタを脅かす侵略者達に立ち向かう「護国の戦い」や、各部族がその力を磨くため競い合う「切磋琢磨」という意味合いが強い。
事前情報番組でもナタにおける「戦争」とは、世間一般の戦争とは違うと明確に言われている。
また「龍の国」という別名でも呼ばれ、現代の璃月や稲妻では魔物として扱われている龍族だが、この国では独自の進化・発展を遂げ、人間達の良き隣人として共存している。
ただその分、絶対的な暴君として振る舞った龍王ら古龍の記録も多く残っており、今の人竜が彼らを歓迎する事はないだろうと関係者が言及している。
加えて、生と死の狭間とされる異界『夜神の国』との繋がりを持ち、そこに眠る守護者『大霊』はナタの人々に加護を与え、特に見所のある人間には『古名』という継承式の称号を授ける習わしが昔より続いてきた。
情勢
代表的な政策としては、国を挙げての競技大会兼武闘大会『帰火聖夜の巡礼』の存在。国内の若者ほぼ全員が参加するこの大会に勝ち抜く事は、ナタ人にとって大きな名誉とされている。
開催頻度は割と多く、チームでお題をクリアする予選と、1対1の戦いで順位を決める本戦の二段階に分かれ、スコア上位五名が入賞者として勝利を炎神に捧げる儀式でもある。
豊富な燃素や自然を有するナタの地だが、一方で他国のように安定した地脈は有しておらず、古龍が滅んだ後縄張りにする魔神もいない"人間の地"でもあった。
テイワット侵略を目論むアビスの軍勢にとって、そんなナタは何としても喰らっておきたい場所であり、遥か古代から現在に至るまで絶える事のない執拗な侵略を仕掛け、住民にも国土にも深刻な被害を及ぼしてきた。
まさしく「戦争の国」であり、特に500年前の世界大戦で受けた爪痕は深く、このままでは未来は無いと判断した当時の炎神は、対抗するべく様々な政策を考案。
『帰火聖夜の巡礼』もその一つで、戦場に立つ勇士を選定するという意味合いが強く、チーム戦で仲間との協調性を、個人戦で個々の武力を養う算段である。加えてナタ人の選手同士がぶつかり合う事で生まれるエネルギー『角逐の焔』は闘技場の聖火に集められてくべられ、国を蝕むアビスの力を抑えている(この為ナタ人以外の参加は厳禁)。
そして各回の入賞者は『夜巡者の戦争』という、夜神の国に赴きそこに巣くったアビスを掃討する任務を与えられる。
戦死も茶飯事という危険な遠征だが、"夜神の国の死"はすぐには現実の死に反映されず、チームが全滅せず一人でも帰還できれば『古名』を受け継いだ勇士に限り、炎神が現世へ連れ戻す限定的な蘇生が可能となっている。
逆にチームが全滅すれば誰も蘇れず、各人の古名も破壊され、二度と次代には継承されなくなってしまう。
総じて国民の安寧を預かる重責だが、それ故ナタの民はこの役目を栄誉に思い、同胞を見下し勝者を妬むような輩は相応しくないと白い目で見られる等、過酷であるがゆえの健全な価値観が形成されている。
こうした背景と愛国心ゆえ、彼らは自分達が土地を離れて活動するという文化・認識がなく、他国でナタ人を見かけないのもこのため。
とはいえ住民達の気質は決して閉鎖的ではなく、むしろカラっとした気風のよい国民性で、外人にも友好的。稲妻のように鎖国している訳でも無いので、気候の問題を除けば普通に出入国可能で、国内には観光客の姿がちらほら見受けられる。
だが、この国を蝕む問題は想像以上に進行しているようだ。このままでは一年と保たずに滅びる、という炎神の言葉の真意と元凶は何処にあるのか…。
部族
ナタには中心都市と呼べる場所が無い(強いて挙げるなら聖火競技場だろうが、都市とは言い難い)。その代わりに、それぞれ特色が異なる六つの部族が存在し、各々の里を作り上げている。
- こだまの子(こだまのこ)・ナナツカヤン
カチーナやシロネンが属する、峡谷地域に住まう岩竜の部族。現族長はパカル。
テペトル竜と協力した採掘産業が盛んで、宝石や鉱石の加工技術が発達し、集落の周りには発掘の過程で見つかった不思議で雄大な景観が数多く点在している。
そのため部族は大地への感謝の気持ち、そして歴史を遺すという意味合いで壁画を描く風習があり、一部の壁画に聖霊が宿る事がある。
またブレイクダンスも有名で、住民達によるダンスバトルは大いに賑わいを見せる。
- 流泉の衆(りゅうせんのしゅう)・メツトリ
ムアラニが属する、湾岸地域に住まう水竜の部族。現族長はアミナ。
南国リゾートそのものな文化と気風で、人々はコホラ竜と大好きな音楽や温泉を嗜みながらマイペースに過ごしている。
立地上釣りやマリンスポーツが盛んな他、液体燃素(マグマ)の上を移動できる独自の技術を持ち、昔から土地勘に長け案内人を務める者が多い。
- 懸木の民(かがりぎのたみ)・ウィッツトラン
キィニチが属する、断崖地域に住まう草竜の部族。現族長はワイナ。
出身者は器用な身のこなしが自慢で、情報や荷物を届ける伝達師や、依頼の問題を解決する狩人、冒険者にスポーツ選手といった、身軽さを活かす職に就いている者が大半。
彼らはエクストリームスポーツを愛しており、日々ユムカ竜と共に複雑な山を跳び回っている。
- 花翼の集(かよくのつどい)・トラロカン
チャスカやイファが属する、高山地域に住まう風竜の部族。現族長はムトタ。
クク竜とともに空を駆ける騎士が重用されており、スカイダイビングのような飛行技術訓練が発達している。戦闘能力はあるが飛行適性がない者は出奔して、他部族の地で戦士として名を上げる事が多いらしい。
- 豊穣の邦(ほうじょうのくに)
イアンサが属する、火山地域に住まう雷竜の部族。
火山に近い領地は名前の通りに農業に適した肥沃な大地であり、ライノ竜と協力し豊富かつ多彩な作物をナタ中に送り出している。また、マーシャルアーツが盛んであり、部族の者も筋骨隆々とした戦士が多いようだ。
- 謎煙の主(めいえんのあるじ)・ミクトラン
シトラリやオロルンが属する、森林地域に住まう氷竜の部族。
イクトミ竜と共存し、ナタの伝承を記録のための織物「ウォーベン」に紡ぎ上げる。優秀な学者や祭司を数多く輩出しており、部族単位で見た場合夜神の国との交信に最も長けている。反面、その性質故か良く言えば詩的、悪く言えば難解な言い回しを好む傾向にあり、他部族からは「変人」という評価を受けている。
独自システム
燃素
ナタの国中に様々な形で遍在する、炎元素より原始的な炎のエネルギー。インフラを担い国民の精神的な支えにもなっている他、燃素を用いた様々なギミックが存在する。
ナタ国内ではチームで共有する「燃素ゲージ」が展開され、後述する竜の特殊能力や夜魂の加護の運用に燃素を使用する。燃素を持ったギミックや特産品への干渉、およびワープポイントや七天神像への接触で補充可能。
竜憑依
人と竜が共存する国を謳うだけあり、国内に生息する各元素の力を宿した竜種と一体化し、直に操作・移動ができる。
設置されている各竜の刻印か、あるいはフィールド上にいる竜に憑依を使用することで発動できる。また竜はエネミーとしても扱われ、撃破した場合はその場に刻印が残り、憑依した自身の竜が倒されても同様。
- 【岩】テペトル竜:地中に潜って移動でき、そのまま崖登りやドリルジャンプも可能。
- 【水】コホラ竜:水中はおろか液体燃素や空中を流れる燃素流「スピリットウェイ」の中も高速で遊泳できる。
- 【草】ユムカ竜:頬袋に溜め込んだ「フレイムグレネードの繊維」を使い空中移動を行うほか、様々なオブジェクトを口に含んで移動できる。
- 【風】クク竜:大空を飛び回り、燃素を使って高速の滑空や上昇も可能。
- 【氷】イクトミ竜:普段は見えない隠されたものを感知でき、壁画から得た情報に応じてオブジェクトを生成できる。
なお殆どの性能は各部族のキャラと共通している。プレイアブルの方を使うと通常移動力・戦闘力で利便性が増し、限定的だがナタ以外でも能力が使えるという塩梅になっている。
また、憑依中は竜の言葉が分かるようになり、逆に人間側の言葉が分からなくなる。
夜魂の加護
ナタのプレイアブルキャラが纏うオーラのようなもので、発動中は身体の各所に刻まれた紋様が発光する。神の目使いがさらに儀式を行うことで獲得する力らしい。
元素スキル等の戦闘天賦の使用や、特定の状況での交代「夜魂トランス」などをキーとして起動し、同時に「夜魂値」を扱う専用ゲージを展開、夜魂値に依存しつつ戦闘力や移動力を上昇させる。
前述の燃素を消費し継続時間を無理矢理引き延ばす効果なども持つが、これは当然ナタ国内専用。そのため他国に出ると大幅にパワーダウンする。フォンテーヌキャラのアルケー同様「国内では便利だが無くとも何とかなり、国外ではそれなりの使い勝手に収まる」能力といえよう。
また、ナタのキャラがチームに居る時に誰でも良いので元素ダメージを発生させると、一定間隔で弾けるようなエフェクトと共に「夜魂バースト」が発生する(クールタイムはチーム内のナタキャラの人数が多いほど短くなる)。これ自体は何の効果も持たないが、一部天賦や聖遺物の効果を発動させるキーとして機能する。
部族見聞
各部族の里の記念碑である黒曜石のトーテムポール付近で受注可能。
これまでの国の評判任務、該当する部族のキャラの伝説任務、および世界任務が一体となっている。
国内地域
- 万火のほとぎ
- テケメカンの谷
- 「こだまの子」
- トヤック源泉地
- 「流泉の衆」
- コアテペック山
- 「懸木の民」
- テスカテペトン山脈
- 「謎煙の主」
- クァワカン断崖
- 「花翼の集」
- オシカ・ナタ
所属人物
聖火競技場
こだまの子
流泉の衆
懸木の民
花翼の集
豊穣の邦
謎煙の主
その他
- 「ちび」(仮名)
- 夜神/cv:まちだ侑子
余談
- 長らく最も原始的な国と思われていたが、千織が「ファッションの最先端の国」と称していた通り、住民達の格好や文化はむしろこれまでの国で一番「現代的な意匠」が強い。
- 流泉の衆に至ってはポップ・ミュージックが定着しており、歌を収録・保存する「レコード」と、レコードを屋外に携帯しながらも再生できる「レコードプレーヤー」が発明されている。
- モンド解放の英雄と語られるヴァネッサも、ここを起源とした赤毛の戦闘民族「ムラタ人」の出身である。ただし千年前には流浪の民となっていた事から、現代に残っているのか定かではなく、Ver5.0時点でその名は全く確認できない。
- 500年前には身長推定10mの巨人族が存在していた模様で、劇中では流泉の衆の英雄トゥパックが確認されている。
- 他のテイワット各国とは違い、七天神像にアクセスするだけでは旅人が炎元素を共鳴して得ることは出来ない。どうやらこの土地の事情が絡んでいる模様。
- 音楽はモチーフの通り、中南米の民族楽器を使いつつスワヒリ語の歌が入っている。しかも今までのようなボス戦ではなく、通常のフィールドや戦闘でかかる音楽でも歌が入る辺りに「ここまでの国とは違う何か」を感じた旅人も少なからず居たとか。
- ナタ(Natlan)という国名はアステカの言葉であるナワトル語で「Naが多い地(-tlan)」という意味となる。Naが何を意味するかは考察勢の間でもはっきりとした答えは出ていない(2024年7月現在)。
- 発表キャラ全員の名前は古代・神話由来の明確な元ネタが存在するという、何気に凄い事になっている。詳しくは各キャラの記事まで。なお、部族名はアステカ神話における世界の階層の名、古名はスワヒリ語から取られている模様。
- なお、このナタ実装のアップデートからPS4等の旧スペック機では、プレイの快適さの維持のために映像処理にリミッターがかけられている(環境演出やモブNPCのテクスチャが少し簡易化されている)。
- 基本データ量も本体ストレージ128GBではほぼ運用不可能な領域になってきており、アップデートの度に要求容量は増えるがクオリティを維持しながら削れる容量には限界があるという、オンライン×オープンワールドというゲームジャンル上の構造限界がここに来て目に見える形で表出して来たといえよう。
- 幸いリリース初期と比較してハードの選択肢は増えたので、限界を感じ始めた初期からの旅人は買い替え貯金を検討しても良いかもしれない。