概要
漢字で書くと『薬缶吊る』。薬缶鶴ではない。
薬缶の姿をした妖怪。器物の姿をしているが、器物が化けたという類の伝承は確認できない為、器物の姿を持ちながら付喪神ではない妖怪というややこしいヤツ。
夜中に森の中を歩いていると突然これがぶら下がってくるとされ、ヤカンヅルに出会うと病気になってしまうという説話もある。といっても、出現する場所が決まっている為に避けて通る事が出来るらしいが。なんで森を歩いていると薬缶がぶら下がってくるのかについては突っ込まないように。中国の書「捜神記」の説話に関連があるという説もあるが、実際のところは不明。
また、児童向け書籍ではヤカンヅルという名前通り、中には水が入っているとされ、男が「水が欲しい、喉が渇いた」というとヤカンヅルが現れて、口を付けて中の水を飲んでみると、甘い味がしたという。突然木からぶら下がってくるヤカンヅルより、こんな得体の知れない妖怪に口を付けられる男の方が怖いような…。
ゲゲゲの鬼太郎では
伝承通りの薬缶の姿ではなく、(原作漫画を含めた)アニメ2期から4期に掛けてカバの体にラッパ状の口を生やした粘土細工みたいな外見をしており、悪魔ブエルを退治する切り札として登場している。封印から解放されると周囲にある物全てを吸い込もうとする恐ろしい能力を持っており体内は異空間のようになっている。野槌と能力が被っている気がするがこまけぇこたぁいいんだよ!!
ただし野槌と違って話し合いが出来ないもんだから(3期と4期では野槌も暴走している)ブエルを飲み込んだ後も限りなく吸い込もうとするので、原作では鬼太郎親子が責任を取って、あえて飲み込まれて内部から操作して安全な場所に移動させてから退治することとなった。飲み込まれた鬼太郎が脱出するのに7年の歳月を要したことから日本妖怪では最強クラスの戦闘力なのではと推測するファンも。
アニメでは話の流れの都合上、すぐに戻ってこられる方法が存在し、ヤカンヅルの腹の中でブエルと戦うようになっている。原作では人間を食べてしまったが、2期と4期は人間の町に出る前に鬼太郎が飲み込まれて天岩戸に帰っていった。3期では飲み込んだものを一旦雲の中の異空間に送り込み、ブエルによって悪魔にされた人々やブエルを飲み込んだ後もヤカンヅルに食べられた人々は、鬼太郎がブエルを倒したことで全員生還できた(3期は仲間妖怪たちが風船を飲み込ませて運搬して、ヤカンヅルを天岩戸に封印した)。
ちなみに封印されていた場所が天岩戸だったので、封印した人物は恐らく天照大神などの神々と思われる。
5期では伝承通りの姿で登場し、劇場版では妖怪四十七士の長野県代表として鬼太郎に力を貸した。薬缶のような硬そうな見た目に反して、身体は柔らかいようだ。
なお、水木しげる御大は妖怪図鑑にて伝承通りの薬缶姿のヤカンヅルも描いている。