『レリックアーマーLEGACIAM』
1987年11月28日に発売されたOVA作品。
アニメーターの北爪宏幸が主催したアトリエ戯雅が制作、株式会社ネットワークフロンティア事業部(現・バンダイビジュアル)より発売された。
元々は前後編で企画されたが、諸般の事情により後編は制作されなかった。
同じ世界観・設定を共有するスピンオフ小説が模型情報に連載、1989年7月に連載分をまとめたものがバンダイ文庫から「塔の戦士 耐熱装甲レガシアム」のタイトルで発売された(著者は遠藤明範、キャラデザインと挿絵を北爪が担当)。
ブーム最中だったため、ケイブンシャからゲームブック「耐熱装甲レガシアム」が発売されている。こちらも上記スピンオフ小説をもとにしており、小説同様に男性主人公である。
ストーリー
惑星リバティア。
かつてこの惑星を訪れた人間たちは、惑星管理システムの『塔』を建て、環境を操作。リバティアに移住し定着していた。
しかしある時、『塔』が暴走。リバティアは荒涼とした、住みにくい環境になってしまった。
それから長い時間が経過。リバティアのとある田園には、アルシアという女の子が生活していた。
アルシアの祖父エルゼフは『塔』の研究者で、『レガシアム』という着ぐるみ(ロボットアーマー)を所有。レガシアムは女の子用らしく、アルシアをパイロットとして調整が進んでいた。
ある日、エルゼフとレガシアムを狙う政府側の人間がアルシアの家を襲撃、アルシアはレガシアムを装着したままエルゼフの命令で逃走した。しかしエルゼフは捕まり、レガシアムは途中で燃料が切れ、行きだおれてしまう。そこへ騒ぎを聞きつけた友人のドロシーとブリックが通りかかり、アルシアを町の知り合いゼノとサハロのもとへと連れて行く。
合流したアルシア達は、救出したエルゼフから塔とレガシアムにまつわる秘密を知り、塔へと旅立つことにした。
メカとしてのレガシアム
アルシア・グレイスの祖父エルゼフが見つけた着ぐるみ=パワードスーツ。女性用だったようで、アルシアをパイロットとして調整していた。
腕から光線の刃「カッター」を伸ばし、武器とする。背中にはバーニアが内蔵されているが、連続噴射しての飛行や浮遊は出来ず、主にジャンプの際に噴射して補助する。
腕は、搭乗者の腕を内蔵する部分と、それに連動して動く(レガシアム自身の)機械腕とが付いている(「アップルシード」に登場した、ランドメイドに近い)。
なお、「レリック」とは「遺物」の意味。レガシアム自体は元は『塔』の破壊を試みた先発隊が開発中の機体で、先に旅立った者達の遺物らしい。
また、劇中にはレガシアムと同様の着ぐるみ「バシアム」も複数が登場する。
バシアムは男性用らしく、レガシアムと基本的な構造は同じだが、若干大柄。デザインもやや角張っており、どこか女性的・少女的なレガシアムと異なる。
また、バシアムに搭載されている装備も、それぞれの機体で異なっている(ゼノのバシアムには、自動でエネルギーパックを交換する装置が搭載されている)。
登場人物
- アルシア・グレイス
CV:岩間えり子
- ゼノ・モゼスティ
CV:田中秀幸
- サハロ
CV:矢尾一樹
- ドロシー・トワイフ
CV:神代智恵
- ブリック・トワイフ
CV:松井菜桜子
- エルゼフ・グレイス
CV:永井一郎
- フェルミス・リーク
CV:勝生真沙子
- ダーツ・アイラー
CV:鈴置洋孝
スタッフ
原作・監督 - 北爪宏幸
脚本 - 遠藤明範
キャラクターデザイン - 北爪宏幸、山下明彦、山形厚史
メカニックデザイン - 北爪宏幸、ふじたゆきひさ、安藤達也
絵コンテ - 望月智充、北爪宏幸、高山秀樹
演出 - 高山秀樹
メカニック作画監督 - 大森英敏
作画監督 - 山下明彦、大森英敏、北爪宏幸
SF考証 - 永瀬唯
美術監督 - 佐々木洋、菊地正典
美術監督補佐 - 串田達也
撮影監督 - 森田俊昭
音響監督・録音演出 - 斯波重治
音楽 - 矢野立美
プロデューサー - 高梨実、みつもりゆう子
制作 - アトリエ戯雅
製作 - ネットワーク、ムービック
その他
上述されたように、OVAは前後編を想定されていたようで、アルシアが仲間たちとともに「塔」に向かうところで終わっており、後編は作られていない。そのため、中途半端な時点で止まってしまっている。
当時、OVA専門アニメ雑誌「アニメV」では、「美少女とロボットが登場する」という共通項から、本作とともに、同時期に販売されたOVA「破邪大星ダンガイオー」「GoodMorningアルテア」と比較する人気投票の誌上企画が行われていた。
三作中、ダンガイオーが大人気で常に一位をキープ。本作はアルテアと二位争いする事に(当初は二位、後に三位に)。