トワイライトQ
とわいらいときゅー
アメリカのSFドラマ『トワイライトゾーン』や『アウターリミッツ』、日本の『ウルトラQ』のような奇妙な物語を描いたオムニバスアニメーションで、全6話を予定していたが2話まで制作されたところで終了となった。
しかし、本作での人脈や第2話で押井守によって試みられた独自の演出は『機動警察パトレイバー』に結びついた。
監督:望月智充
原案:伊藤和典
キャラクターデザイン:高田明美
あらすじ
高校生である真弓(CV:兵藤まこ)はとある島でダイビング中に、海底に沈んでいたカメラを見つけて拾うが、中のフィルムを現像すると、見知らぬ男と腕を組んで笑う自分の姿が映っていた。
しかし、そんな写真を撮られた覚えは全く無く、さらにそのカメラはまだ発売されていない形式のもので、目の前で忽然と消えてしまう。
真弓は再び島に訪れ、謎を調べようとするが自身も消えてしまい…
余談
『魔法の天使クリィミーマミ』と同じスタッフが担当し制作も同じく亜細亜堂が行っている。
ヒロインの真弓はダイビング好きな活発な少女なのだから、肌を日焼けしたものにする案が色指定の一瀬美代子氏から出たが、デザインの高田明美氏が難色を示したので実現しなかった。
本作は意図して全カットがFixで演出されている。
※メイン画像
監督・脚本:押井守
キャラクターデザイン:近藤勝也
あらすじ
東京上空で旅客機の失踪事件が相次ぐある暑い夏の日、私立探偵である男(CV:瀬川哲也)はボロアパートで暮らす親子(少女 CV:兵藤まこ)の調査を依頼される。
調査を進めていくうちに、その親子の生活が実に奇妙であることに気付いていき…
余談
制作はスタジオディーンで、背景は写真を加工したものである。全体的に止め絵による演出が多いが、その分プロローグや細かい部分のアニメートに力が入れられている。
押井の実父は本当に私立探偵であり、押井本人も離婚した最初の妻との間に幼い娘がいた。それが反映された本作は『天使のたまご』とは別のベクトルで非常に作家性が出ている作品であると言われる。
元は押井が企画していた100分程の長編を圧縮したもので、詰め込みすぎたのでナレーションで繋ぐ構成となった。
父親のデザインは、押井の師匠であるアニメ監督鳥海永行がモデルで、押井が推していた少女よりも人気キャラであり、後に見てくれていたのか本人から肖像権がどうとか言われたそうである。
作画監督の大塚伸治は『トーキング・ヘッド』の幻のアニメーター大塚のモデルになったが、引きこもりであった映画の大塚とは反対で非常にまじめで勤勉であったと押井は評している。
押井は後にTV版『パトレイバー』で「地下迷宮物件」というエピソードの脚本を書いている。
『迷宮物語』という似た名前のアニメーション映画が同時期にマッドハウスによって制作されており、当初は押井もオファーを受けていたと言われるが内容は無関係である。 詳細は →ラビリンス・ラビリントス
未制作に終わったエピソードには河森正治が担当したものや、いのまたむつみが作画監督のものが予定されていたと言われる。
また、押井による「スクランブル1987」「最後の立喰い -LAST TACHIGUI HERO-」というエピソードも予定されており、絵コンテ等が公開されている。
プロデューサーの鵜之澤伸は、2作で立ち消えになったのは単に売り上げが悪かったためではなく、バンダイビジュアルの若手社員からこの企画自体に不満がでていたためであったと回顧している。
音楽の川井憲次は低予算のビデオ作品なので、自宅で録音すること前提でギャラを決めたのだが、主題歌の作詞と歌手へのギャラを考えていなかったために(主題歌の言い出しっぺは自分であったとは言え)、そこから差し引いた結果、手取りがほとんど残らなかった悲劇であったと語る。