概要
画面端から、あるいは画面内を徐々に、別の映像に切り替える技法である。転じて、画面の隅に小窓で映像を表示させること、またこの小窓を指す(コーナーワイプ)。
バラエティ番組・ワイドショーにおいては、VTRを流している最中にそれを観ているスタジオの様子を伝えるために用いられる。
ニュース番組においては、中継先とスタジオの表示や、次に伝えるニュースの表示に用いられることもある。
発明された経緯と現状
コスト削減の一環でVTRオンエア中心の番組作りが増えタレントの出演時間が激減したため なんとか以前並の出演時間を求めるタレントサイドから要請に応えるために編み出されたものでワイドショーでの初使用は 諸説あるが「世界丸見えテレビ特装部」でVTR使用中することがないタレント陣の有効活用策として採用されたものが初であるとされ、その後タレントの出演枠としても使えて便利であることから他局でも真似をし始め広まったもの。
ただし、採用当初は制作サイドにも演出の一環で番組のテンポや時間配分のバランスを考えて過剰にならないよう配慮もあったうえ、視聴者も演出の一環であると理解され視聴者の反発が少なかったが、タレントや芸能プロダクション側の出演機会増加の要請の更なる強まりもあったうえ視聴者の感情を誘導するツールとしても有効であることから VTR中のワイプの常時表示が常態化したうえ次第にその表現は過剰になっていく。より多くのタレントを捩じ込もうとして顔の切り替え頻度はドンドン激しくなり、タレントをより目立たせようとサイズもより大型化、しまいには、本来の主役のVTR映像を覆い隠すほどの大サイズで激しく存在感を主張する放送も出てきたため 現在は「出しゃばりすぎ」「チラチラして集中できない」「過剰演出である」などワイプを嫌う視聴者が徐々に増え、あまりのワイプの氾濫にワイプを出さない番組が逆に評価されることも多い。
業界と視聴者のそれぞれの評価
業界内での評価だが 演者であるタレントサイドでは 肯定派と否定派両方おり意見が分かれているが、放送局などの制作サイドでは 視聴者には好評であると判断しており 視聴者に否定的人がいるとは全く思っておらず視聴者との認識の乖離が激しい(近年ワイプが減るどころかドンドン増え表現がより過激になっているのは受け入れられているからもっと派手にしても大丈夫という勘違いからのようである)
発明者の現状に対する苦言
なお、現在多用されるワイプの用法の発案者で元日本テレビのプロデューサーである吉川氏はワイプについて取材された際「あれは私の“罪”ですね」と語り 現在の本来の目的からかけ離れた濫用についてあまりよく思っていない見解を示している。これは、現在の 「山場の場面で重点的に強調」し「オーバーアクション気味な反応で視聴者を動かす」用法が 発明当初のワイプでの演者の反応は「できる限り反応しなないことで視聴者をなるべく刺激しない」ようにしたうえ「山場となる場面では絶対出さない」ようにもしたものとは完全に真逆で本来想定された用法からはかけ離れた、送り手側の押し付けの要素が強くなってしまっているため。
関連イラスト
関連タグ
名探偵コナン:クライマックスに江戸川コナンが麻酔銃で毛利小五郎を眠らせて事件を解決した回で、後日談、または目覚めた後にボケをかます小五郎に対しワイプで突っ込みを入れる姿は作中のお約束となっている。
令和 NHK 放送事故:元号発表の際NHKだけがワイプでその場の手話通訳を映していた。そして、元号が発表され官房長官が額縁を掲げたときワイプと額縁が被った(普通にコーナーワイプで映したら手話が見づらいという配慮と思われるが、会見が始まりワイプが映された時点で違和感があるほど大きかった)。
ひな壇芸人 ワイプと同様に放送局と視聴者で評価が分かれている演出