最も残虐な悪が誕生する
解説
スパイダーマンのヴィランであり、またダークヒーローでもあるヴェノムを主人公にした映画。
北米では2018年10月5日公開。日本では同年11月2日公開。
従来の実写スパイダーマンシリーズや、MCUのいずれとも世界観を共有しない独立作品として製作・公開された。
現在、『ヴェノム』はソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)に属するとされる。
『アメイジング・スパイダーマン』シリーズで予定されていた単独映画企画が復活したもの。
マーベル・スタジオ主導の元でスパイダーマンの新たな実写シリーズの製作が決定し、2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にもスパイダーマンが先行登場するなど、実写版再始動へ向けての機運が高まってきたことが影響したものと思われる。
主演は、『バットマン』の『ダークナイト』シリーズでベインを演じたトム・ハーディ、監督は、『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー。
ハーディ氏は、ベインを演じる際に肉体改造を行った程のプロ意識の持ち主で、更にスパイダーマンのヴィランの中でもヴェノムが好きであると公言している事から、早くからヴェノム役としての活躍が期待されていた。
シンビオートの日本語吹替えは、『アメイジング・スパイダーマン2』でエレクトロ役を担当した中村獅童氏が担当。日本版主題歌はUVERworldの「Good&Evil」が使用された。
『ダークナイト』シリーズに引けをとらない陰鬱な雰囲気の予告編とは裏腹に、エディとシンビオートがコミカルな掛け合いを繰り広げるなど比較的砕けた雰囲気のバディアクションに仕上がっており、レーティングも全年齢対象。最初こそシンビオートの存在に戸惑いを隠せないエディであったものの、様々な経緯を経て次第にシンビオートとの一種の「繋がり」を築いていき、最終的には互いの合意でヴィランであるライオットと激突を繰り広げる等、「ヴェノムの誕生と自分なりの正義で行動するストーリー」として描かれている。本作におけるヴェノムはシンビオートの「負け犬」であり、底なしの食欲を誇り敵対する人間を食いちぎろうとする一方で、あの手この手で宿主のエディを守ったり元恋人と仲直りさせたりする人間臭い部分も存在している。また、寄生虫呼ばわりされると怒る。
サム・ライミ版『3』と違ってより原作のヴェノムにかなり近い描写になっており、お馴染みの決め台詞である“We are VENOM.”(「俺たちはヴェノムだ。」)もしっかり再現されている。しかしその一方で、スパイダーマンが劇中に全く登場せず、ヴェノムの誕生にも絡まないという非常に大胆な改変がなされてもいる(ただ、次回作のポストクレジットシーンではファンのこうした疑念に対するアンサーともとれるシーンがある)。
マーク・ウェブ版が、制作陣が思っていたより成功しなかった事を受けて独自のシリーズ展開は諦め、MCUの人気が伸びる一方のディズニー=マーベルスタジオと組んで新たなスパイダーマンシリーズを立ち上げたばかりという状況のソニーが、敢えてMCUとは距離を置いて再び独自にアメコミ映画を作るという無茶な構図に、公開前は冷ややかな意見もあった。実際、公開後も批評家からの評価は散々であった。
しかし、大方の予想を裏切って本作は世界累計興収8億ドルを超える大ヒットを記録。『3』と異なってヴェノムらしさはちゃんと描かれていた為に、高い観客支持を獲得した。
この成功を受けてソニーは、今作を起点として、MCUとは別の独自ユニバース「スパイダーマン・ユニバース(仮称)」を立ち上げ、モービウスやブラックキャット、シルバーセーブル、シルクといったキャラクター達の単独映画企画があったが諸々の事情で立ち消えとなった。
映画のラストでは、あの人物の投獄されている姿が描かれ、2021年に続編となる『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が公開され、制作中の『スパイダーマン:スパイダーバース』の予告編も公開された。
ストーリー
エディ・ブロックは、かつては敏腕記者として鳴らしており、恋人のアン・ウェイングともうまくやっていたが、どんな企業にも臆さず正面から切り込む強引な手法が災いし、ライフ財団の圧力によって仕事を失ってしまう。
そんな彼は、財団の非人道的な実験に心を痛めた科学者ドーラ・スカースの手引きで財団の研究施設に侵入するが、シンビオートのヴェノムに寄生されてしまう。
ヴェノムは本能のままに、人を食らおうとし、エディは頭を抱える。
そして、ヴェノムとともに地球に訪れた別のシンビオートも、行動を開始していた…
キャラクター
関連動画
予告編
吹替版主題歌
吹替版主題歌にはUVERworldの『GOOD and EVIL』が起用されている。
余談
本作公開後に日本でリリースされたホラー映画『EVIL エヴィル(原題:discarnate)』のDVDジャケット(レンタル版)がヴェノムのパロディとも言えるデザインになっている。
ちなみにあちらのキャッチコピーが「最も危険な『悪』が覚醒する。」
関連タグ
ヴェノム(映画)→ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ→ヴェノム:ザ・ラストダンス