“私は医師であり、怪物だ”
概要
ソニー・ピクチャーズが展開するスパイダーマンに関連したキャラクターが登場する実写作品群「スパイダーマン・ユニバース(SSU)」の3作目となる映画。
コミックにおけるヴィラン「モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア」が主人公で、実写映画には(『ブレイド』の未公開シーンを除けば)初登場となる。
主演は『スーサイド・スクワッド』のジョーカー役で話題となったジャレッド・レト。
本来は『ヴェノム』に続くSSUの2作目として2020年7月31日に全米公開予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響等で延期を繰り返し、最終的に『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』を挟んで2022年4月1日となった。日米同時公開。
あらすじ
天才医師マイケル・モービウス。彼は幼いころから血液の難病を患っていた。
同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロの為にも、一日も早く、治療法を見つけ出したいという強い思いからマイケルは実験的な治療を自らに施す。
それはコウモリの血清を投与するという危険すぎる治療法だった。彼の身体は激変する――
(公式より抜粋)
キャラクター
括弧内は演 / 吹き替え。
本作の主人公。ノーベル生理学・医学賞受賞(ただし受賞対象の人工血液は血清実験の副産物であり賞は貰えないと式当日に受賞を拒否)の経験を持つ天才医師。生まれつきの血液系疾患を抱えているため、違法に吸血コウモリの血清を利用した治療を試みる。治療には成功したものの、徐々に彼の体に異変が起き始める。
本名はルシアン。“マイロ”はモービウスが初めて出会った時につけたあだ名(幼少期の彼は病院で隣になる子供全員をマイロと呼んでいた)で、同じ血液系疾患に苦しんでいた当時からの親友。資産家で、モービウスの研究を資金面で援助する。
- マルティーヌ・バンクロフト(アドリア・アルホナ / 小林ゆう)
モービウスの同僚の聡明な女性医師。違法と知りつつもコウモリ血清の実験に協力する。
- エミール・ニコラス(ジャレッド・ハリス / 佐々木勝彦)
モービウスの助言者で、少年時代の彼やマイロを自身が運営する施設に引き取り、面倒を見てきた医者。
本作では姓が"Nicholas"だがコミックでは「ニコルズ(Nikos)」で、モービウスと同年代の大学の親友。
- サイモン・ストラウド(タイリース・ギブソン / 楠大典)
FBI捜査官。軍人時代にモービウスの作った人工血液に助けられた過去を持つ。
- アルベルト・“アル”・ロドリゲス(アル・マドリガル / 牛山茂)
FBI捜査官。ストラウドと共にモービウスを追う。
- エイドリアン・トゥームス / ヴァルチャー(マイケル・キートン / 大川透)
別世界から突然転送された武器商人。モービウスにコンタクトをとりある提案を持ち掛ける。
余談
吹替声優陣
モービウスをメインヒーローの1人・キャプテン・アメリカを長年務めた中村悠一、その少年期を『ブラック・ウィドウ』およびドラマ『ホークアイ』でエレーナ役の田村睦心、彼の親友・マイロを『エターナルズ』でキンゴ役の杉田智和、というようにMCUとの兼ね役が発表当初話題になった。
また中村・杉田両氏の仲を知るファンや、ヒロインの声優も含めて特にあるジャンプ漫画のアニメ版のファンにとっては嬉しいキャスティングになったなんて声も。
どの世界線か
予告編が発表された直後は、映像内の
というSSU同士の繋がりを示唆する描写の一方で、
- ビルの壁に描かれたスパイダーマン
- スーツはサム・ライミ版のデザインだが、上から"Murderer"「人殺し」と書かれている
- (MCUにも)登場していないオズコープ社の社屋
という要素や、SSUの次作(予定)『クレイヴン・ザ・ハンター』の舞台がMCUの世界という情報から、本作の舞台が『ヴェノム』『LTBC』と同じ世界とは断定できなかった。
しかし公開直前になって、監督から同じ世界と明言された。
また同時にヴァルチャーについても「MCU版と同一人物」とされ、さらに制作側から
と言及されたことから、彼ら以外にも(スパイダーマンにとっての)ヴィランが登場すると一部では予想されていた。
そして最初の予告編が発表されてから約2年2か月(制作決定からは実に4年弱)、ようやく公開された本編には…
オズコープ社も壁に描かれたスパイダーマンも無かった。
そう、いわゆるフェイクだったのである。
※監督曰く、自身はフェイク予告に関与していないとのことで、ソニーの独断と思われる。
これがマイナスとして働いたかは不明だが、公開当初の批評はやや辛口気味。同時期に配信されたMCUのダークヒーローのドラマと比較されてしまったことも大きいとみられている。
ただしアクション、特にこれまでのヴァンパイア(吸血鬼)ものとは全く異なる超音波や飛行の描写については高評価を得ている模様。
ヴァルチャーについては大方の予想通りあの出来事に巻き込まれる形で登場。
こちらも予告編にあったシーンは無く、ポストクレジット以降のみの出演だが、今後の展開を示唆する重要な活躍をしている。
評価
公開第1週で全米1位・興収3910万ドルを記録、日本でも洋画カテゴリーで第1位となり、全世界での興行収入は8400万ドル(約103億1000万円)を記録した。
ただし、関連作品である『ノー・ウェイ・ホーム』や『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』より低い結果となった。
レビューも芳しくなく、Rotten Tomatoesでは17%、IGNでは10点満点中の5となっている。