概要
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の登場人物の一人・源頼朝の殺し文句で、初出は第4回「矢のゆくえ」。
第3回にて、北条家の面々と共に平家打倒を期して挙兵を決意した頼朝であったが、その意気込みに反して兵の集まりは悪く、早くも心が折れそうになってしまう。その結果、
「兵が少な過ぎないか」と吐露し、
「何ゆえ坂東の田舎者に頭を下げねばならぬのじゃ」と不満を口にしてしまう。
まるで不平を隠そうともしない頼朝の姿を見た北条義時は
「そのお考え、一日も早くお捨てになられた方がよろしいかと存じます。確かにわれらは坂東の田舎者。しかしながら、今はその坂東の田舎者の力を合わせねばならぬときでございます。彼らあっての佐殿。それをお忘れなきよう」と凄みを利かせる。
この義時の言葉に考えを改めた頼朝は、訪ねてきた武士を一人一人抱き寄せては、
「よぉ来てくれた」「一番頼りにしているのは実はおまえなのだ」「力を貸してくれ」
畳みかけるようにおだてつづけるのだった。
由来
番組公式サイトなどでも解説されているように、この頼朝の殺し文句にはちゃんとした由来が存在する。
関連する記述は、歴史書『吾妻鏡』のうち治承4年(1180年)8月6日の条にて確認できる。これによれば作中でも描かれた挙兵の日時を決める占いの後、頼朝は工藤茂光・土肥実平・岡崎義実など(※)、特に忠誠を誓っていた武士らを順に部屋へ呼んで戦の方法を教えた。そしてその際に頼朝は「お前を一番当てにしている」と念押しして、彼らを奮起させたとある。同書ではそれに続けて、本当の密事は北条時政以外には知らせていない旨も書き記されていたりもする。
※作中でこの様子が描かれたのは土肥と岡崎の2人のみ。またこれ以外にも同様のやり取りがあった武士として
の名が挙げられている