第30話「全成の確率」
比企能員が乳母を務める源頼家が権力を持つことによって、権力が比企一族に集中することを恐れた北条時政・りく夫妻は、僧であり自分の娘婿でもある阿野全成に、源頼家に対する呪詛を掛けるように(半ば圧力をかける形で)依頼する。だが、その後思い直した全成により呪詛の為に作った人形が全て回収された…ように思われたが、なんと普段十三人衆が集まる部屋の床下に一体残っていた。
それに気付いたのは頼家の命によりもうすぐ鎌倉を去る平知康。発見の経緯は、北条時連を「あんたに教えることは、もうない! 鎌倉殿にいらんと言われたのだ。(京に)帰るしかなかろう。最後に1つ、いいことを教えてやる。おまえの名、今すぐ改めよ。時連の『連』は、銭の穴を貫いて束ねる『連』を思わせ、非常に品が悪い。向こうで活躍するのを、夢見ておるのだろ。他の者たちの蹴鞠には邪念が見えたが、そなたの球筋だけは常に真っすぐであった」と褒めた際に、喜んだ時連が「師匠!」と叫んで蹴った鞠が知康の後頭部に直撃、倒れ込んだ彼の視界に偶然人形が入ってしまう…という最悪のピタゴラスイッチとも言えるものであった。
改名した時連
知康のアドバイスを受け、頼家から「時房」の名前を与えられた彼は、義時に「大人しくしておけ(要約)」と言われたので自宅で双六をしていた時政に改名を報告する。
時房「実は私、名前を変えました」
時政「えっ?」
時房「鎌倉殿より『時房』という名を頂きました」
りく「トキューサ?」
時房「『時房』にございます」
りく「大事な名前を何だと思っているのです」
時政「いいじゃねぇか。わしも気に入ってなかったんだ」
時房「そうなんですか」
時政「『連』の字は三浦からもらったんだが、『連』って何だよ~おまえ。ハッハッハ」
時房「早く言ってほしかった」
時政「トキューサ。いいと思うよぉ。どんな字、書くんだ」
時房「(やや食い気味に)『時房』です」
時政「だから、字はどう書くんだって」
時房「字は時…(指で書く)」
りくが「トキューサ?」と聞き間違えた瞬間、黒い背景に白い字で「トキューサ」とテロップが入り、視聴者は腹筋を試されることとなった。そういえばこういう事が前にもあったような…。
また、このセリフに関して、SNS上では「トキューサw」「トキューサに声出して笑いました」や、この回があの人が悲劇の最期を遂げるというシリアスさ全開の話であったため、「トキューサ以外地獄だった」との声も上がった。
また、「『トキューサ』という言葉には大した意味がないはずなのにわざわざテロップになっているということは、何かの伏線ではないか」との声も上がった。
オンエア終了後…
第30回の放送が終わった後、北条時房役の瀬戸康史が自身のTwitterにてどうも、トキューサです。笑と投稿し、北条時政役の坂東彌十郎が「いいと思うよ」と返すという微笑ましいやり取りも見られた。
この日、Twitterのトレンドに「トキューサ」が載るという現象が起こった。
第43回「資格と死角」
30話以降、徐々に政子や実衣などの北条家女性陣に「トキューサ」と呼ばれるようになった時房。
この回では時房が政子に付き添って京まで来ていたのだが、この時慈円から「鎌倉で蹴鞠の名手とされている人がいる」という噂を聞きつけた後鳥羽上皇が身分を隠して時房の元にやってきて、二人で蹴鞠を始める。
時房は自分の元に現れた彼がまさか上皇であるとは知らず、タメ口を聞いた上に肩を小突いてしまう。咄嗟に上皇の家臣に取り押さえられるが、上皇は時房を面白いと思ったようで、この後も二人で蹴鞠をして親交を深めていた。
が、この時、時房自身の発音が悪いこともあって上皇からも「トキューサ」と間違って覚えられてしまい、更に自分でも「はい!トキューサです!」と名乗ってしまった。
これにより、視聴者の間では「トキューサがとうとう京の公式に笑」「上皇からも間違えられるトキューサ」とネタにされた。
余談
トキューサのかまど
2022年12月12日午後3時からEテレで放映された「グレーテルのかまど スピンオフドラマII パティシエ・ヘンゼル クリスマスの魔法」に「鎌倉殿の13人」で実衣を演じた宮澤エマがゴースト・ソニア役でゲスト出演したためネット上でこう呼ばれた