\\カチーン//
「えーっ、この中にお金入れるの!?」
概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。
登場エピソードはTC40巻収録「人間貯金箱製造機」。
その名の通り、人間を貯金箱に変えてしまう道具。
しかも貯金箱になるのはお金を貯めたい本人ではなく、勝手に他人の体を貯金箱にして、その人の体内にお金を預けるのである。
本作にはセキュリティ性の高い未来の貯金箱がいくつも存在する。例えば
- ブロックをはずす順番を間違えるとお金を取り出せない「パズル貯金箱」
- 開けようとすると催眠術をかけられてしまう「さいみん貯金箱」
- 番犬ロボットが貯金箱になった「番犬貯金箱」
……にもかかわらずわざわざ生きている人間を貯金箱に変えてモノ扱いするという、なんとも失礼かつ人道的にも問題のありそうなひみつ道具だが、上記の各種貯金箱をもってしてもお金を使ってしまいどうしても貯金ができないのび太のために、ドラえもんが最終手段として出したのがこの「人間貯金箱製造機」である。
作中ではのび太の一番怖い人であるママを人間貯金箱にした。
使用方法と効果
人間貯金箱の作り方
1.人間貯金箱製造機本体に、数字4桁の暗証番号を設定する。
2.本体のアンテナから発せられる音波を、貯金箱にしたい人間に浴びせる。
これだけで、その人間を素体とした「人間貯金箱」が完成する。
音波を浴びせられた瞬間、その人間は「カチーン」という擬音とともに全身がプラスチックか陶器のような材質に変化し、その場で固まって動かなくなる。同時に体の中身はなくなり、空洞となった体内にお金を貯められるようになる。代わりに生体としての機能は失われ、貯金箱になった人間にもう意思はない。
本人は自分の体に何をされたのか分からないので、貯金箱にされる本人の同意は一切不要。
5分間(アニメ第2作第2期では1分間)経過すればまた元の生きている人間に戻るが、一度でもこの道具の効果を受けて人間貯金箱にされた人は製造時に設定された暗証番号を聞くだけで自動的に貯金箱に変化する体質になる。つまり、以降はこの道具がなくても暗証番号さえあればいつでも何度でもその人を貯金箱にして使うことができる。
お金の入れ方
貯金箱になった人の口の中にお金を入れる。
絵面的には身動きできない人間の口に貨幣や紙幣を直接ぶち込んで飲み込ませることになる。
これには作中でのび太も「えーっ、この中にお金入れるの!?」とドン引きし、アニメ版では「ゴメンよ」と謝りながらお金を入れていた。(もっとも、意思のない貯金箱となった相手は何をされても分からないし、声も聞こえていないのだが)
5分間経過すると元の人間に戻ってしまうので、その前に躊躇せずお金を入れなければならない。
お金を入れる穴として口を使用する都合上、貯金箱になる瞬間の表情に関わらずその人は強制的に開口させられる。さらに口の構造も作り変えられ、大きく開かれた口は長方形の穴に変化したうえ、唇はまるで直角に切り抜かれた加工面のように平らな縁になり、見た目も機能も貯金箱の投入口そのものになる。舌や歯といった口腔内の器官すら残っていないようで、口の中を覗き込むことでその人の体内に入れたお金を確認できるようになっている。外から力を加えれば口をさらに大きくこじ開けることも可能。
人間に戻れば口も元通りになるが、戻った直後は口があんぐりと開いたままになる。そのため本人は口に違和感を覚えることがある。
過度に口をこじ開けられた状態で人間に戻った場合は、戻った瞬間に顎が外れてしまう恐れがある。
お金の取り出し方
人間貯金箱が元の人間に戻っている状態で、製造時に設定した暗証番号を聞かせると、その人間がまた貯金箱になり口からお金が吐き出される。こちらもなかなかショッキングな光景だが、吐き出されたお金が唾液でベトベト……なんてことにはならない。
お金を吐き出し終えればまた元の生きている人間に戻る。ただし、体内のお金がすべて取り出され貯金箱としての役目を終えた後でも、暗証番号を聞くだけで貯金箱に変化するようになった体質は元に戻らない。
この暗証番号は語呂合わせでも効果があるほか、人間貯金箱にされた本人が言っても効果がある。
設定された番号によっては日常生活でも何らかの拍子に暗証番号と認識される言葉を耳にする可能性があり、人間貯金箱にされた人は普通に生活しているだけでも不意に貯金箱に変わってしまうことがある。アニメ版ではこの体質になったママが料理中に発した独り言が暗証番号と認識され、その場で貯金箱になってしまった。
意図せず貯金箱になってしまったとしても、体内にお金が入っていた場合は中のお金が勝手に出てきてしまう。お金が入っていなければ空の貯金箱になるだけで何も起こらないが、その場合は5分経過するまで元に戻れないため、意思のない貯金箱となったまま5分間を無為に過ごす破目になる。
いずれにしても本人は暗証番号を耳にする度に問答無用で「カチーン」と固められ、何かをしている最中でもお構いなしにあらゆる活動を中断させられてしまうため、状況次第では大変なことになるかもしれない。