本業では正直無名の、少なくともここで独立記事を立てるまでもなかった人物である。
しかし、2017年に実名・顔出しで行った告発で一躍時の人となったことが特筆される。
その内容は
- 2015年4月3日、同業の山口敬之(メイン画像右側)に何らかの薬物を盛られて準強姦被害を受けた。
- その被害を警察に届け出、逮捕状が発行される所まで至ったものの、何らかの理由により予定日当日になって逮捕は中止された。
- 山口敬之は自他共に認める安倍総理と近しい存在である。
といったもので、このような告発自体も異例ながら、当時はいわゆる「モリカケ」問題の真っ只中であり、それらに次ぐ「忖度」の一環ではないかとして大論争を巻き起こしたのである。
伊藤は山口を刑事・民事両面で訴えているが、それについては先方の記事で一括して解説する。
当然のことながら伊藤の評価も「モリカケ」同様に真っ二つとなった。
擁護派(≒「モリカケ」批判派)からは、権力に屈しないジャーナリストの鑑と称えられ、また、日本にMeTooを広めひいては性犯罪厳罰化の遠因を築いたフェミニズム中興の祖のようにも崇められた。
批判派(≒「モリカケ」擁護派)からは、胡乱な陰謀論で権力を貶める売国奴と罵られ、あるいはハニートラップ一つ満足に出来ない負け犬の遠吠えと嘲笑された。
告発の場が「日本外国特派員協会」であったということもあり、海外のメディアからも注目度が高く、伊藤の肩を持って前者と同じような論調で報道した例が多い。しかしそれは、批判派の神経を一層逆撫でし、売国奴説をより強固にさせるものでもあった。
ところで山口敬之は犯行当時TBSの社員であり、社の管理責任を問われてもおかしくないのだが、伊藤がその辺りを追及する様子は見られない。
告発の時点では退職していたためか、各種報道も「元記者」とのみ表記してTBSとの関係を濁す傾向がある。ちなみに退職までに1年以上の間があり、山口曰く責任を取った形でもないという。
また、本件には直接関係しないが、「日本外国特派員協会」とはいわゆる「記者クラブ」の一種であり、日本の報道の自由度を低止まりさせている一因とされるものである。
そのあたりに踏み込めなかったことが、彼女達の限界であるとする批判も一部で上がっている。