概要
反跳爆撃とは、第二次世界大戦期に用いられた爆撃方法の一つ。「水切り石」の要領で水面にぶつけて跳ね飛んでいった爆弾で目標を撃破する爆撃方法である。スキップボミングとも言う。
通常型の爆弾を用いる対艦攻撃用のイタリア・アメリカの方法と、回転機構付きの特殊な投下装置と専用爆弾を使うダム攻撃用のイギリスの方法があり、それぞれほぼ別個に編み出された。
日本ではアメリカのものを模倣し、日本陸軍では跳飛爆撃と呼んだ。
イタリアやアメリカの方式は、雷撃時のように、海面上を這うような超低空を、時速300㎞以上で突進し雷撃時以上に敵艦船に肉薄し、敵艦船の側面を狙うもので、通常の爆弾をごく浅い角度で海面に直撃させて、跳ねさせてぶつけた。
この時投下された爆弾は着水後一度水中を進んでから水上に飛び出し、また着水して水中を進んでは水上に飛び出し…を繰り返すという挙動で進む。
このため喫水線下に命中した場合浸水させられるので効果的で、やり方も単純なので命中率は高いものの、敵艦の間近まで突進して投弾する必要があった。
敵艦船から遠すぎるうちに投弾すると爆弾の運動エネルギーが途中で失われて沈んでしまうので、敵艦に肉薄するのだがこの時に激しい対空砲火を返される事も多かったため、攻撃者はかなりの度胸を要した。
投弾後そのまま直進すると浮き上がってきた爆弾が自機に当たる場合もあるため、投弾直後に左右どちらかに横滑りして回避する必要があった。
前述のように激しい対空砲火を返される場合も多かったので、反跳爆撃を行う爆撃機の機首の装甲を強化したり、前方機銃を増設して爆撃時に多量の機銃掃射も行い対抗したり、事前に重戦闘機などで制圧射撃を行うなどの工夫が行われた。
急降下爆撃機などの特殊な機体を用いずとも行える方法であるため、Ju87、B-25、B-26、ボーファイターなど多くの機種が投入されている。時にはB-24などの四発機も用いられた。
ちなみに初めて実戦投入したのはイタリアの「ジューゼッペイ・チェインニ」(ジュゼッピーナ・チュインニの元ネタとなった人物)である。
イギリスの方式はドラム型の専用爆弾を爆撃機に搭載した専用のプーリーで進行方向と逆に高速回転させてから投下し、水面上をバックスピンで跳ねさせて目標にぶつけ、そのままある程度沈んだところで爆発させるというものだった。
こちらはその性質上固定目標相手に用いられ、ドイツのダム攻撃に用いられた(防雷網で魚雷を防がれるので、代わりの方法として編み出された)。
専用爆弾の不発弾を回収したドイツ空軍もこの爆撃方法を模倣しようとしたが、爆弾にバックスピンをかける必要があるとわからなかったらしく、代わりにロケットブースターを爆弾に付けるなどしたものの結局模倣に失敗している。
日本でもイタリア・アメリカの方式を研究していたが、大戦後半は護衛戦闘機も不足していた事や爆弾の強度不足が懸念された事、米海軍の苛烈な迎撃砲火などから大きな戦果を挙げる事はできなかった。