概要
古代中国の地理書『山海経』の「海外西経」に記述される、「三身国」「一臂国」の北にある奇肱国に住む異民族で、中国語ではシィゴォンレン(Qigōngrén)と呼ぶ。
奇肱人は三つ目で、腕が一本しかないという姿をしており、器用に馬に乗って移動するとされる。
『三才図会』においては殷の湯王の時代に、「飛車」と呼ばれる風の力で動く乗り物を発明し、それに乗って移動したとされるが、その形状や仕組みなどについては伝わっておらず、後代に描かれた羽根を持つチャリオットのようなものは想像図である。
この異民族についてはホルヘ・ルイス・ボルヘスによって『幻獣辞典』で紹介されたので西欧社会にも知られており、「飛車」を造ったという記述からオーバーテクノロジーを持つ種族と想像されることもある。
創作での扱い
現代に蘇った摩圖崇(パズス)教団の勢力の一つ、それぞれが山海経の幻獣の名(彊良・山揮・鳴蛇・鶚)を持つ奇肱国の「殷の四騎士」が登場。
この作品では普通の人間の国家で、周に殷が滅ぼされた際に残虐な手段で処刑されたため、復讐のために魔に堕ちていた。