中世日本のお伽草子など古典文学のなかで現れる、各説話を超えて体系化された架空の経蔵。平等院の阿弥陀堂南西にあったと推定される。
概要
経蔵の鍵は藤氏長者が代々受け継ぎ、一切経会の日にのみ開扉される。藤原頼通は死後に龍神へと姿を変え、宇治川に棲んだとされ、丑の刻になると川から姿を現して経蔵を見回ったという。
ただし宇治の宝蔵は各説話に登場し、共有された空想世界の経蔵であり、現実世界の経蔵に納物が収蔵されたという記録はない。
主な納物
- 玄奘三蔵、戒日王、婆羅門僧正、行基菩薩の袈裟
- 紫式部『源氏物語』「幻」と「匂宮」の間にあるとされる「雲隠」の巻
- 山上憶良が編纂したとされる幻の歌集『類聚歌林』
- 鈴鹿山の大嶽丸、大江山の酒呑童子の首や那須野の妖狐玉藻前(白面金毛九尾の狐)の遺骸
- 鉢かづきの宝物
- 水龍、葉二という高名な笛