概要
『EVE burst error』のキャラクター。
主人公の一人・法条まりな編における中心人物で、実質的なヒロインとも言える。
人物
中東の小国「エルディア共和国」の駐日大使ロス=御堂の一人娘とされている美少女で、「エール外国人学校」に通う女子高生。
基本的には控えめで内向的な性格の持ち主であるが、政治家の娘という立場上からか、目立たない振る舞いをする事を心掛けている。中東出身故に謙虚なイスラム教信者でもある。
親の仕事の都合故に様々な場所を転々として生きてきた為か、まともな人間関係を築く事が出来ず、その事への諦感からなのか、他者と関りを持つ事自体を頑なに嫌っている。
父の御堂以外の他人に心を閉ざしてしまう傾向が強いが、エルディア王国の女性首相であるアクア・スティル・ロイドの事だけは姉の様に慕っていた。
箱入り育ちのお嬢様であるが、意外にも家事全般は得意としているらしく、料理等もこなす事が出来、当初は外国人学校の近くに存在する学生寮で一人暮らしをしていた。
先天性の糖尿病を患っているらしく、定期的にインシュリンを注射しなければならない体質となっており、この体質もコンプレックスの一つとなっている模様。
御堂とは実の親子関係では無く、その出自はエルディア共和国の改革前の最高指導者であった前国王と妾の間に生まれた非摘出子。
妾であった母親は前国王から堕胎を言い渡されていたが、それを拒否する形で御堂と結婚した後に自身を出産。しかしその後、王族の血を引く自身の存在を疎んでいた前国王の謀略によって母親は爆弾テロに見せかける形で殺害されてしまう。
既に元凶となる前国王は暗殺される形で死亡しているが、父の御堂の教育もあって、王族の信奉者である王権派への激しい憎悪から、改革派である御堂やアクアに半ば利用される形で、王族の血を引く自らが新たなエルディアの女王となる形で王権派への復讐を望む様になってしまった。
この経緯故なのか、か弱い少女ながらもテロに屈したくないという想いは強く、「政治家の娘である自身がテロリスト達に利用されるくらいなら、自殺した方がマシ」だという危うい考え方も胸に秘めている。
初登場は『Burst Error』からであるが、その後もEVEシリーズにおいて重要なキーパーソンとなっていく事になる。
劇中の様相
駐日大使である御堂の娘として日本に滞在し、寮住まいでの生活を送りつつ、エール外国人学校に高校生として通っていたのだが、ある日父親の命令で、内閣情報調査室に所属するエージェントであるまりなが自身の身辺警護につく事になる。
その性格故に、当初はまりなの存在を鬱陶しく思い頑なに心を閉ざしていたが、あけすけな性格をした彼女から親身に接してもらい、インシュリンの注射をドラッグに手を染めていると勘違いされていた際は本気で叱られ、桂木弥生も加えた3人での飲み会も経た結果、どんなに苦しい時でも自身を励ましてくれるまりなの優しさと強さに徐々に心を開いていく。
そんな中、エール外国人学校のアラビア語女性教師で、自身に親身に接してくれていたシリア・フラットに理由も分からず狙われる事態となり、自身の周辺で前国王の暗殺に関わったとされる暗殺者「テラー」による物と思われる猟奇的な殺人事件までもが発生。更には、自身を狙うテロリスト達の襲撃も収まらない所か激しくなる一方となっていった結果、精神的に追い詰められていった事で、王権派に対する憎しみも強くなり、復讐の為に女王の座に就こうとする想いも強くなっていくのだが…。
関連タグ
EVEシリーズ 法条まりな 天城小次郎 プリシア・レム・クライム
ここから先はネタバレの為、注意
セントラル・アベニューのプリンセス・ホテルでの襲撃後、次期女王を決める戴冠式が行われるエルディアの所有する豪華客船である「トリスタン号」で生活を送る事になる。
だが、まりなと過ごした日々や彼女から自身も幸せになる権利があるという言葉もあってか、母の復讐に傾倒していた自身の生き方への疑問を抱く様になり、そんな中でエール外国人学校での襲撃事件で自身を守ってくれた男性である天城小次郎と再会。無自覚の内に彼に異性として惹かれていた事や「幸せになりたい」という本当の気持ちを自覚していった結果、花火の上がる甲板にて彼に結婚を申し込む。
そして、戴冠式にて御堂から手渡されていた女王就任に必要となるエルディアの国璽を、もう一人の女王候補であるプリシア・レム・クライムに手渡し、小次郎との結婚をその場で宣言する事になる。
しかしその直後、アクアがこれまで起きたテラーによる殺人事件と同じ手口で殺害されてしまい、更には御堂までもが殺害されてしまった直後、船体の爆発によってトリスタン号は沈没してしまう事態となり、まりな、小次郎、プリシアの三人と共に船倉に取り残されてしまう形で海底に沈んでしまう事になる。
浸水が進んでいき打つ手が無くなった結果、残された酸素ボンベを使って脱出する事になるが、自らはそれを拒否。最後は沈没するトリスタン号と運命を共にする道を選んだ。
その時、沈みゆく彼女の姿はプリシアと同じ外見をしていた…。
ここから先は更なるネタバレの為、注意
衝撃の真実
実はその正体は、前国王と妾であった御堂の妻の間に生まれた娘などでは無く、改革派によって解体された組織である旧エルディア情報部と科学局の主導によって開発された有機ヒューマノイド「μ-101」。
現代用語で分かりやすく言うならば、一種のクローン人間であり、後の「EVEシリーズ」では「EVE(イヴ)」の通称で呼ばれる事になる人工生命体の始祖的存在である。
表向きの年齢は「18歳」と言う事になっているのだが、実年齢はまだ「1歳」であり、前国王の暗殺される1年前に、培養液の中で急速に成長する形で誕生している。当然、真弥子の中にある記憶も真っ赤な嘘。
現在の記憶は実際に前国王と妾の間に生まれた娘であったアクアの過去をベースにした物であり、また真弥子本人が記憶との差異に気付く事がないよう、小さい頃に階段から転げ落ちた際に付けた痣やハイスクールの時に突き指して太くなった中指等、身体的特徴に関してもアクアの記憶に沿ったものが設定されていた模様。
その頭脳には、表向きはテラーによって暗殺されたとされているエルディアの前国王本人の記憶が数値化される形で眠っており、真弥子の人格は不安定な前国王の人格が眠っている時に現出する為の物であった。前国王の人格が現出している際、真弥子には意識が無く、気絶したも同然の状態になるのだが、主導権を握っている前国王の人格の方は、真弥子の記憶から一方的に情報を読み取る事が可能になっている。常時注射していたインシュリンも、表向きは内調が調査を行っても分からない様になっているが、実は国王の記憶を固定させる為の特殊な細胞安定剤を含有しており、これを摂取しなくなると脳細胞が破壊された上で死んでしまう事になる。
C計画
正式名称は「Neo Cerebral Project」で、英語で「新たなる頭脳の計画」を意味する。
計画の中心人物となったのは、『Burst Error』で最初に殺害されてしまった人物であるストールマン・孔の実父で、エルディア科学局の最高責任者であったドールマン・孔。また、『Burst Error』の過去となる『ZERO』に登場するシャサ・ノバルティスや、『Burst Error』の直接的続編となる『Rebirth Terror』に登場する橘公彦も、過去にエルディア科学局に所属し、C計画に携わっていたとされている。
また、このC計画と並行する形で「D計画」と呼ばれる別の計画も進められていた事が『Rebirth Terror』で発覚している。
計画の発案者は、旧エルディア情報部の3人の東洋人幹部であり、上層部の暗殺実行部隊隊長でもあった桂木源三郎で、その具体的な内容とは、「人工的に生み出されたクローン生命体に特定の人物の記憶を数値化させる形で移植する事で、記憶の持ち主を『疑似的な不老不死』とする事」にある。
無論、あくまでも「記憶を移植させた」に過ぎない為、本来の記憶の持ち主が本当に生き永らえている訳では無いのだが、この計画に有用性を見た様々な人間(おそらく、「自身の記憶を受け継いだ後継者」を欲した世界各国の権力者等)から莫大な出資を受ける形で計画は順調に進んでいた。
しかし、クローン人間の製造のみならず、生物兵器や麻薬紛いな薬品の開発といった父のあまりにも非人道的で倫理を無視した所業に反発した息子のストールマンにより、ドールマンが暗殺に見せかけて殺害されてしまった結果、計画は破綻。もはやこれ以上の研究は進められない事から、証拠隠滅も兼ねて旧情報部と科学局は解体される事になった(旧情報部はあくまでも「表向き」で、実際は存続し活動も続けている)が、その時には既に研究がほぼ完成を迎えており、それによって生み出されていたのが真弥子であった。
前国王の妄執
エルディアの絶対王政時代にて、アクアの実父となる前国王は国民達の知的水準が低いのを良い事に、愛国心と憂国心を強制し「奉仕」という名の「搾取」を行う等、まさに暴政の限りを尽くしていた。
当然このやり方は、後に改革派となる反王権派から激しい反感を買う事になっていたが、それでもやり方を変えようとしない度が過ぎる恐怖政治は、自身の派閥であったはずの王権派の大多数をも敵に回す事態となり、その頃にはもはやクーデター寸前の状態にまでなっていた。
反王権派だけでなく王権派にまで命を狙われる様になり、精神の失調によって躁鬱状態に陥る中、C計画の存在を知った前国王は、自身の狂信的な崇拝者である御堂に計画の具体的な内容を調べさせ、この計画を利用する事で自身が半永久的に生き永らえる事が出来ると判断。更に「前国王と妾の間に生まれた娘」という真弥子の偽りの立場を利用すれば、王位継承権を持つ者として再び王位に就けるという結論を導き出すに至っている。
しかし、既にその時に計画の中心人物であったドールマンは死亡し、プリシアを女王に擁立させようと目論む王権派の存在や、何らかの要因で真弥子が王位に就けなくなってしまう可能性からも、思惑通りに進むかどうかさえ分からない問題点が多々あった(実際、後に表向きの人格である真弥子自らの意志で王位継承は破棄されてしまう)のだが、あくまでも「現実的問題より前国王の意志こそが重要」と考える忠臣の御堂は、残された研究データやサンプルを利用して前国王の記憶を後に「御堂真弥子」となる肉体に移植。そして前国王は、「反王権派の陰謀による暗殺」と見せかける形で、記憶を受け継いだ彼女に自身を殺害させるのだった。
その後も、真弥子は前国王の記憶に乗っ取られていた際に、前国王にとって邪魔となるエルディア共和国の重鎮達を次々と殺害しており、つまりは前国王の記憶が主導権を握っている際の真弥子こそが、「暗殺者テラー」の正体であったのである。
なお、真弥子の遺伝子情報はプリシアの遺伝子をベースとしたものとなっており、普段の茶髪と色白な肌の外見は人為的に変えられた物で、本来はプリシアと同じく金髪と褐色の肌で、両目もオリジナルである彼女と同じオッドアイである。ただし、培養液内での育成期間が短い為なのか、プリシアに比べると肉体はやや幼い(プリシアの身長が155cmであるのに対し、真弥子は149cm)。プリシアの遺伝子を使ったクローンとして生み出された理由は、おそらく「万が一真弥子が女王就任に失敗した際は、女王に就任したプリシアを暗殺して真弥子に成り代わらせる」という意図があったからと思われる。
また、自身の記憶を「表向きの人格」として提供していたアクアだが、それはあくまでも王権派の筆頭(実際は逆であったが)と見なしていた王位継承権を持つプリシアへの対抗馬を生み出す為に御堂に協力していたに過ぎず、「裏の人格」として前国王の記憶が眠っていた真実についてはプリシア本人に聞かされるまでアクアは知らなかった模様(ただし、真弥子を反王権派筆頭として王位に就かせる為とはいえ、手段を選ばな過ぎる義父の御堂のやり方への反発は強くなっていった様で、『Burst Error』の中盤では彼と対立する様子や桂木源三郎に接触して御堂と手を切りたい意志を示す様子を見せている)。
こうして王権派と反王権派の双方を欺き続けながら前国王の復権を望む御堂は、真弥子の中に眠る前国王の意志に忠実に従い続け、当の真弥子本人は何も真実を知らないまま、物語は『Burst Error』本編へと進んでいく。
謀略と暗躍
事の真実について何一つ知らない真弥子は、自身の中に眠る前国王と御堂の思惑の操り人形として、無意識下で様々な犯行を重ねていく事になる。
『Burst Error』の物語が開始となる直前、前国王はエルディア旧情報部の局長であった御堂を通して、同じく旧情報部の次長であったディーブにプリシアの捜索を命令。真弥子を次期女王へと確実に即位させるべくプリシアの暗殺を目論んでいたのだが、ストールマンの手引きで日本へ渡った彼女の行方は掴めずに終わる。
そこで、今度は王位継承に必須となる「国璽」の捜索を命令。ストールマンを捕縛したディーブは彼に拷問を行って吐かせようとするも、聞き出す事は叶わず、そこでストールマンに成り済ます形で私立探偵である小次郎や弥生を雇い、国璽の詳細を伝えないまま探させようとする。しかし、国璽と一緒にあった絵画を見つけ出す事には成功したものの、肝心の国璽は見つからず終いとなってしまい、再度拷問を掛けた後に国璽がまだ見つかっていない事に勘付いたスト―ルマンは脱走。国璽を隠していた自宅へ向かったが、追いかけて来たディーブによってストールマンは殺害される事になった。
実はストールマンの自宅に隠されていた国璽の片割れは、弥生に同行していた二階堂進が持ち出しており、御堂と秘密裏に二重契約していた彼は、国璽の詳細についてこそ知らないながらも、彼らにとって重要な品であると踏んだこれを利用して御堂から莫大な報酬を得ようとしていたが、その日の夜に何らかの理由でストールマンの自宅に向かった結果、自らの不注意でストールマン殺しの容疑を掛けられる事態となっている。
ストールマン殺害の翌日、前国王の人格に支配されていた真弥子は、御堂に同行する形でセントラル・アベニューのホテルに潜んでいた二階堂と対面するのだが、二階堂が国璽の片割れを簡単に渡す意思がないと見なした結果、殺害。彼の所有していたバックを持ち出して去っているが、国璽の片割れは二階堂と結託していた柴田茜が所有していた為に、手に入らずに終わった。
その後、真弥子の中で前国王の人格が眠っている中、プリンセス・ホテルで御堂が仕組んだ襲撃によって、真弥子が王権派側のテロリスト達に命を狙われているよう偽装され、翌日には「保護」と言う名目で御堂の元に戻されるのだが、御堂が二階堂と結託していた事実を知ったディーブとプリンセス・ホテルで会談する事になった際、再び真弥子は前国王の人格に乗っ取られ、ディーブの護衛であった二人の男を殺害。更に翌日には、まりなを人質に戴冠式が行われる予定となっているトリスタン号へと逃げ込んだディーブを追い詰め、彼をも殺害。ここで、ようやく国璽の片割れの一つを入手する事に成功している。
それからは戴冠式の日まで真弥子の中で眠り続けていたのだが、偶然遭遇した小次郎が残る国璽の片割れを所有している事実に気付いた事で、前国王の人格に乗っ取られた真弥子はそれを奪い、これによって遂に自らの手元に二つの国璽が渡る事になった。
しかし、御堂と協力関係にあったアクアが、プリシアと秘密裏に接触して彼女の真意や御堂の暗躍を知った事で和解する道を選び、更には真弥子の人格に対し彼女の記憶が本来はアクアの物であった事実を明かした結果、アイデンティティの危機に晒され不安定となった真弥子の意識をまたしても乗っ取った前国王は、戴冠式の直前にてアクアを「裏切り者」と見なして殺害(この時、アクアの指で「p」という文字が書かれていたが、前国王の人格に乗っ取られた真弥子によってプリシアの犯行に見せかける形で書かされた物と思われる)。だが、度重なる細胞安定剤の投与による副作用なのか、それとも「他者の記憶を移植する」というC計画の研究成果自体が不完全であった為なのか、あるいはまりなを始めとする様々な人間との関わりによって真弥子の人格の方が強い自我を持った為なのか、いずれにせよアクアを殺害した前後からの真弥子の精神は一層不安定な状態となっていく。
この時には、真弥子自身も自分が普通の人間では無く御堂やアクアに利用されていた存在である事に薄々と気付き始めていた様で、これによって生きる意味そのものを見失ってしまう。そんな中で花火の上がる夜にトリスタン号の甲板にて再会した小次郎に結婚を申し込み、そして戴冠式にて、真弥子自身も切望していたはずの女王への就任を自らの意志で辞退して衆目の前で国璽をプリシアへと手渡してしまった結果、前国王の即位どころか、御堂の立場までもが危うくなる事態となってしまう。
真実を知った時
真弥子の女王就任の失敗によって、プリシアを人質に国外逃亡を図ろうとした御堂の前に真弥子が現れ、プリシアを気絶させて御堂に真実を問い正す。
答えなければ自殺する事を仄めかされた御堂は、真弥子の正体は死んだ前国王の記憶が移植された人造生命体である事、前国王が別人に成り代わって生き永らえ再びエルディアの王位を手に入れようとしていた事、そして真弥子が前国王の人格に乗っ取られながら邪魔となる存在を次々と殺害していた事実を明かす事になる。
だが、その直後に真弥子の自律神経は遂に崩壊を始めてしまう事になり、意識が現出した前国王は狂乱の末に御堂を殺害。そして再び意識が戻った真弥子は、父と信じていたのに自身を利用していただけだった男の物言わぬ屍を前に、全ての真実を受け入れるしかなかった。
「私…最後まで笑っていたい…。笑って幸せになりたい」
「私、ちっとも不幸じゃないわ。ねぇ、みんなも笑って」
「そうしたら、私、もっと幸せになれる…」
「私を覚えていて…。ここにいたの。いたわ!」
「もう、よく目が見えないの…。みんな、いる?」
「耳も、聴こえないの…。だけど、聞いて」
「みんな必ず助かって…、いつか…私の事、笑いながら思い出して」
「そうしたら、私…。多分、私…」
船底の爆発によってトリスタン号が海底に沈み、自らの身体も生命活動を停止させる中、目も見えず耳も聞こえなくなりながらも全てを受け入れていた真弥子は、まりな、小次郎、そしてもう一人の自分であるプリシアの三人に対し、哀しみも絶望も憎しみも感じさせない笑顔を見せていた。
自身は醜い権力争いを行う大人達にとって都合の良い「道具」で、過去の記憶も他者によって与えられた「偽り」だった。
しかし、まりなや小次郎と過ごし、親に逆らい、最後の最後で触れ合う事のできたもう一人の自分との短い時間の記憶は、他の誰の物でもない自分自身の「真実」であった。
だからこそ、偽りの記憶から解放され本当の自分自身を取り戻す事の出来た真弥子は、最期を迎える瞬間も笑顔でいられた。
「好き…。みんな、大好きよ…。笑ってよ…ねぇ」
「そうしたら、私、幸せになれる…」
「生まれて来た意味がある…ね?」
「みんなと、幸せになりたい…」
「何だか気持ちいい…」
「大好き…。みんな、大好き…。」
自身が出会った人達と共に幸せになりたい…。その純粋な願いと共に、真弥子は海底に沈んでいった。
まるで夢の中で自分がなっていた人魚姫の様に…。
全てが終わった後、正式にエルディアの女王に就任したプリシアは、真弥子の遺した日記を見て、その想いに心を痛めていた。
そしてトリスタン号と共に沈んだ海底で生命活動を停止させていた真弥子の身体を回収させた彼女は、化学陣営を総動員させ、永い眠りについた彼女をいつか必ず目覚めさせる事を決意する。
まりなと小次郎も元の生活へと戻り、真弥子を失った哀しみを抱えながらも、それでも前へと進んでいく。
いつの日か、目覚めた真弥子と再会し、共に笑い合える日が来ると信じて…。
真の関連タグ
イノベイド:「EVE」としての設定が、ほぼこれに近い物となっている。