概要
| 所属国 | 日本 |
|---|---|
| 出生日 | 1709（宝永6）年7月3日 |
| 死亡日 | 1716（正徳6）年4月30日（6歳） |
| 出生地 | 江戸城西ノ丸 |
| 死亡地 | |
| 一家 | 徳川将軍家 |
| 将軍（在任期間） | 1713年4月 - 1716年4月 |
| 配偶者 | 無し（ただし八十宮という婚約者が居た。） |
| 子女 | 無し |
徳川家継（とくがわいえつぐ、幼名：鍋松、1709年7月3日 – 1716年4月30日、グレゴリオ暦：1709年8月8日 – 1716年6月19日）は、江戸時代に於ける歴史上の人物。第7代江戸幕府将軍。先代の将軍であった徳川家宣の子女として誕生し、史上最年少となる4歳で7代目の将軍に任官され、死去した年齢も最年少の人物として知られている。
生涯
初期
1709年8月8日に江戸城にて、徳川家宣と近衛熙子の第3子として誕生した。家宣には鍋松の他にも3人の男子が居たが、いずれも早くに死去するという憂き目を見ており、1712年11月に家宣が病死した時点で存命している子女は鍋松のみであった。家宣は薨去する直前に側用人の間部詮房と侍講の新井白石に対し、遺言で「次期将軍に徳川吉通（尾張徳川家当主）を立てて彼に鍋松の処遇を任せよ。」・「鍋松を次期将軍とし、吉通をその世子に迎えて政務を代行させよ。」と残した。
家宣が薨去した後
白石は吉通を将軍に立てる事で「家臣が尾張からやって来る。」・「旧来の幕臣たちの間で対立が生じる。」という懸念から、幕閣の反対を押し切って幼少だった鍋松を将軍に擁立する事を強く推進した。その結果として同年12月に鍋松は「家継」の諱を付与されると同時に正二位権大納言に任官され、1713年4月に将軍の宣下を受けて第7代将軍に就任した。家継はこの時点で4歳と幼少であり、史上最年少で任官された将軍となった。
将軍に就任した後
幼少である家継に将軍としての満足な執務ができる訳も無く、その治世は必然的に先代からの側近であった間部・新井と月光院（生母）が主導し、家宣の治世で推進していた正徳の治をそのまま継続する格好となった。しかしこの頃には幕閣老中たちの巻き返しなどもあって、間部らによる政局運営がままならない状況に陥る有り様と化した。1714年2月に大奥の綱紀が乱れる状況に端を発した江島生島事件が発生し、これも前述した状況に拍車をかける格好となったと見られている。
最期
幕政では多少の停滞・混乱も見られる状態ではあったが、家継自身は白石による帝王学を受けてその利発さを評価されており、1715年11月に家継の名付け親となった霊元法皇の皇女である八十宮と婚約するなど、周囲からは順調な成長が期待されていた。しかしその期待も空しく、1716年3月に風邪をこじらせて快復しないまま同年6月19日に薨去し、その享年は僅か8歳であった。
死後の動き
家継が薨去して家宣の血筋は断絶したものの、この時点で家光（第3代将軍・家継の曽祖父）の男系子孫として、館林藩主の松平清武（家宣の弟にして家継の叔父）が未だ健在であった。しかし家継とは逆に高齢（家継が薨去した時点で54歳）であった事に加え、一度別家の家督を継いでいたという経歴上の問題もあり、最終的に後継候補からは外れている。結局次期将軍候補は御三家の当主で間部らの推す尾張家の徳川継友（吉通の弟）と紀州家の徳川吉宗の2名に絞られ、大奥・幕閣の支持を得た吉宗が8代目の将軍となり、享保の改革による幕府の立て直しが進められる事となる。
経緯
なお吉通は1713年7月・その嫡男である五郎太も同年12月に相次いで急逝した為、その「お控え」であった継友が尾張家当主の座に収まったという経緯がある。
逸話
間部詮房との繋がり
側用人として仕えている間部詮房（まなべあきふさ）を父のように慕っており、詮房を官職名である「越前守（えちぜんのかみ）」から取って「えち」と呼び、諸用がある時以外は常に行動を共にしていた。ある時詮房が諸用で外出している時に帰りが遅くなると、「えちを迎えに出よう。」と言って自らその帰りを玄関先で待ち、帰宅すると喜んで抱き付いたほどだったと言われる。詮房は家継に対して優しくも厳格に教育していたとされ、不在の時に家継が不機嫌になっても家臣が「詮房様が戻られます。」と言うと、変な姿を見られまいと即座に大人しくなったそうである。
人柄
江戸幕府の公式史書である徳川実紀（とくがわじっき）には、人柄について「生来聡明で、父の徳川家宣に似て情けがあり、立ち居振る舞いも優雅である。」と記録されている。公家の1人が家継に謁見した際に公家が大きく頭を下げてお辞儀したのに対し、家継は軽く会釈をするだけに留めた。幼少ながらも将軍としての立場を理解したその自然な振る舞いが周囲の幕閣を驚かせ、「徳川家も安泰である。」と涙させたと言う逸話が残されている。
関連タグ
足利義勝：第7代室町幕府将軍。幼くして将軍職に就きながら僅か数年で薨去するなど、家継とは複数の共通項を有している。
