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必要悪(実在人物・その他)

ひつようあく

実社会において悪を成したと批判されたものや、本質的に悪であるものの、存在しないことでより大きな悪を招くため一定の合理性が認められると言われることもあるものについての具体例
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必要悪」の定義については親記事を参照のこと。


実在する必要悪的な人物・団体・その他

  • 山縣有朋(メイン画像):自由民権運動や労働運動の弾圧のため検閲などの思想弾圧を行い生前には悪評が高かった。軍備拡張を進め徴兵令を出したことで「日本軍閥の祖」という悪いイメージが定着してしまった。しかし近年、軍事専門家としての見地から対外協調の重要性を認識しており、朝鮮・台湾以外の対外侵出には消極的で大隈重信が中国に突きつけた対華21ヶ条要求のような無謀な外交方針を批判していた一面が知られるようになった。国民の政治参加を嫌っていたのも、大衆が対外侵略を進めるタカ派的政治家を好みがちなためであった。こうしたことから『近代日本の必要悪』と呼ばれるようになった。
  • ヤクザマフィア:治安の悪化や犯罪行為の誘発を招く犯罪組織ではあるものの、裏社会に秩序をもたらし統制組織の側から扱いやすくするという効果もある。警察も彼らの撲滅を掲げる一方で、彼らの持つ圧力や組織力を警戒しつつ一目置くなど、渋々ながら利用しているところはある。暴排条例などによって公然活動を厳しく規制した結果組織が地下化したり凶悪化するなど副次的問題が生まれたため、規制の是非が問われることもある。ただし、政治家や有力者による脅迫・恫喝など便利屋的に扱われ、政府が公然とできない民権弾圧の片棒を担ぐことは一般市民にとっては不利益でしかなく、ヤクザが必要悪であるのは飼い慣らす特権者にとってだけで普通の人にはただの凶悪団体である。このためそもそも必要悪というものすら本当にはなくすべてはただの悪に過ぎないという批判へと繋がっている。
  • 警察軍隊:国家を代表する暴力装置である。本来こうした強硬措置にすぐさま打って出ることは慎むべきであるが、これらの組織がなければ法律は意味をなさないし、外敵への対処ができない。批判もあるが国というまとまりを守るためにはいずれも必要である。
  • 独裁者独裁政権権威主義:腐敗や人権弾圧などの負の面が多く、現代の国際社会においては否定的な目で見られやすいが、良くも悪くも迅速な意思決定・政策実行をしやすい。また、国内に多くの民族・宗教間の対立を抱えている国や、周辺諸国と激しく対立している国などにおいては、国内をまとめ上げる為の必要悪とみなされている場合も少なくない。
  • 風俗ポルノ産業:風紀上望ましくないとされ、古代より取り締まりの対象となってきた。一方で、人間の根本的な本能に関わることであるため、完全に排除することもできない。取り締まりの難しい私娼よりも、公認或いは事実上の合法化で公娼とすることで性病や風紀などを国家側が管理することも行われた。女性のセーフティネットという側面もある。ただし、ポルノも風俗もそもそも悪ですらないという立場からすればこれを必要悪とし悪に含むこと自体が差別・迫害に他ならない。
  • 転売屋:本来なら定価で手に入るものを中に入って高値で売って利益を貪る者のことが、同人・アニメグッズに関しては、地方在住の人にとっては必要悪な側面がある。入手するためには大都市に行かねばならず、そのための交通費が転売屋から購入したものの値段よりもかかることはざらだからである。

政策・システム・行為

  • 国家政府/暴力装置:必要悪とされるものの最大にして最高の存在である。ホッブズは秩序のためには人民の権利を国家に預けなければならないとして暴力装置を積極的に肯定した。21世紀の現代で政治的主流である革新派・保守派ともに国家を肯定している。一方で、コチャバンバ水紛争のように資本主義と結びついて市民を迫害し災禍を成す場合や、侵略戦争などの軍事的悪事の主体となっており、常に暴走の危険性を抱えている。国家を妄信する国家主義・国粋主義が過激化して戦争を招くリスクもある。現代国家は程度の差こそあれ中央集権的な作りとなっていて、地方のありようを無視してしまったり、市民にとっては暴力そのもの、搾取の根源ともなりうる。政治が悪意のあるものに影響されれば市民や福祉に有害な法制度も作られてしまう。国家の存在は自明視・当然視されるものではなく、あくまでも歴史的経緯から成立した一時的なシステムのありように過ぎない。中道右派・左派共に国家・政府不要論を過激主義と中傷するが政府の害悪もまた明白であり、理想的には暴力装置は不在の方が望ましい。
  • 生類憐れみの令:蚊であっても動物を殺したら死刑に処されてしまうことから後世では悪法と扱われているが、実際には戦国時代から続いた命を軽視する時代を終わらせるために作ったというように評価が変わってきて、過激ながらも当時の世相にとって必要性があったとされるようになった。
  • 人工妊娠中絶:原理的に言えば殺人に他ならない。キリスト教保守派などは特殊な宗教的見地から反対しているが、倫理的観点からも胎児の個としての意志を無視して無抵抗をいいことに一方的にヒトの生死を決定してしまうことになり問題がある。しかし、母体の保護や育児に責任が持てない場合、強姦などの被害者を救済するためにはやむを得ないこともある。人間一人が成人までにかかる経済的負担や、肉体的・時間的拘束も甚大である。強姦で意図せず妊娠してしまい犯罪者の子供を産むという境遇になった被害女性の救済を優先するか、それとも胎児の生命を優先するかに絶対的な正解はない。
  • 尊厳死安楽死:これも殺人に他ならない。だが、スパゲッティ症候群になって強制的に生かされたり、自力で動けなくなって他者に甚大な負担をかけて生きていくことを悲惨・生き恥と捉えたり、病気などで耐えがたい苦痛を抱いて治療の見込みも全くなく緩和されるだけならばいっそ自発的に死にたいと考える人たちも存在する。しかし、安楽死を口実に政府が都合の悪い人間を暗殺してしまうことに使われる危険性もある。
  • ドラッグ:依存症、引いては健康や生活の破綻を引き起こす物質。代表的なのはアルコールである。人間が幻覚物質を求める衝動はとても強く、また文化的にも手が届きやすい環境にあるため、消し去ってしまうことは不可能である。政府が一意的な決断で完全に規制してしまうと反社会団体の資金源になってしまうため、制度として流通を認められている。しかし、度を越した強度のドラッグは世界的に有無を言わさず規制対象になっている。厳格派のイスラーム国家では酒類の摂取が禁じられているため、アメリカなど文化的に酒を摂取する国家でのみ問題が起こる相対的側面がある。
  • ギャンブル:風紀上の問題があり、また、胴元が儲けるためのシステムがギャンブルなのでそもそも参加する時点で期待値的には負けの詐欺的な商法である。依存症を引き起こし人生を破滅させたり、借金まみれにしたり、周辺人物に被害が及ぶ。しかし、人間が進化過程で狩猟への適応などから身に着けた本能が射幸心に結びついているため、ヒトからギャンブルの衝動を抜き取ることは不可能である。このため国家が管理すべく規制内で公的に認められている。
  • 核兵器:一歩間違えれば国ひとつを滅ぼしかねないほどの大量の破壊と殺戮をもたらす非人道的な兵器であるが、だからこそ保有する大国同士の全面衝突を回避させ平和を維持してきた(核抑止力)という側面もあり、核兵器廃絶が実現しないのは核兵器自体が必要悪になっているからといえる。

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