概要
2013年6月27日に講談社ノベルスにより刊行された、西尾維新による小説。
小説内には挿絵は無い為、pixivにある悲惨伝の絵はイメージイラストとなっている。
伝説シリーズ三番手にして、前作に続く四国での脱出ゲームを描いていく物語。
本シリーズは第二巻以降のストーリーが『四国編』に位置付けられており、今回は二県目『徳島県』にて戦いが始まる事となる。
主な登場人物
どんな悲劇に見舞われようときみの人生は続く。
残念なことに。
空々空(そらから・くう)
13才の主人公。地球に対抗する武装組織『地球撲滅軍』第九機動室室長。
前作で香川県の魔法少女チーム『サマー』が壊滅状態に陥ったため、『サマー』の生き残りである鋼矢と正式に同盟を締結。事態究明のため、徳島まで移動してきた。
今回はスカイダイビングを経験したり、地濃に振り回されてツッコんだり、唖然騒然の展開になったりと今まで以上にハードな目に遭う。
これまで彼と接触した人物は血縁友人縁者問わずほぼ全員が死亡してきたが、本作では初めてそのジンクスを打ち破る者が現れた。
なお、序盤で鋼矢の生足を揉んだ。
変わらないものが多すぎる。
変わっても元に戻りたがる。
杵槻鋼矢(きねつき・こうや)
最年長の魔法少女『パンプキン』。17才だがかなり大人びており、「そらからくん」という呼び方を使う数少ない人物。
前作にて空々との同盟を締結する事に成功し、内通者との合流地点がある徳島を目指していたが、自身も存在を把握していなかった黒衣の魔法少女が出現し、その妨害で彼と分断されてしまう。
本作で明らかになった固有魔法は『自然体』。曰く「己を自然に見せる魔法」であり、言ってしまえばポーカーフェイスが作れるだけ。しかし彼女は最年長故の経験と修練により、西尾作品で大きな比重を占める心理戦の駆け引きなどで見事に応用している。
また固有魔法が見劣りするためか、魔法少女の共通能力である『飛行』を誰よりも磨き上げており、固有魔法等の補正無しなら全魔法少女中最速で飛行できる。
魔法少女たちに存在する「優れた素養や心的強靱さを持つ者ほど、破壊力が低かったり単体では役に立たないような魔法が与えられる」というバイアスを象徴する少女。
才能にあふれることは、罪ではない。
酒々井かんづめ(しすい・かんづめ)
ほぼ全住民が消えたはずの徳島で一人暮らしていた少女。
小学校就学前の女児でありながら非常に聡い性格をしており、どことなく人を導くような言動をとる事がある。しかし空々が魔法少女のコスチュームを着ていたため、彼を「おねえちゃん」と呼んでいる年相応らしき面も持つ。会話の文もすべてひらがな表記のため、はっきり言って読みづらい。
自分の家に墜落してきた空々の保護を受け、共に四国ゲームを生き延びるために行動を起こす。
愚かさは武器だ。
危険で、しかも安価な。
地濃鑿(ちのう・のみ)
最悪の魔法少女『ジャイアントインパクト』。徳島の魔法少女チーム『ウインター』ただ一人の生き残りであり、鋼矢が合流しようとしていた内通者の正体でもある。
一応会話こそ成立するものの、感情の無い空々を戸惑わせるほどに回りくどい口調をしており、考えを読ませない異様かつ独特な雰囲気を持つ。なんとドラえもんを知らないらしい。
だが使用する魔法は極めて強力であり、その名は『不死』。マルチステッキ『リビングデッド』で対象の心臓部分を強打することにより、死んだ生物を生き返らせることができる。本人によれば「体の半分が吹っ飛んだ人でも、直後に死んでしまうが生き返らせられる」らしい。おまけにどこぞのボールのような個人の回数制限や使用者への反動も一切ない、生命倫理や森羅万象の法則をことごとく蔑ろにしたありえないほどにぶっ飛んだ能力。
前作の手袋鵬喜と双璧を成す「人格に問題がある者ほど強力な魔法を与えられる」というもう一つのバイアスの実例。
『天才の苦悩』ほど、どうでもいいものはない。
我々が望むのは悩まない天才だ。
長く組織に在籍している鋼矢も存在すら知らなかった、謎の魔法少女。黒一色のコスチュームに身を包んでおり、マルチステッキも黒色。本名は不明。
四国内四つの魔法少女チームのいずれにも所属していないらしく、四国ゲームの根幹に繋がる存在と推測されている。
ゲームをドロップアウトしようとする参加者を妨害する使命を負い、鳴門市から四国脱出を目論んだ空々達を空中で追い抜いて通せんぼした。
なぜか空々は、特に明確な理由もなく、頑なに彼女を信用できないとしている。
固有魔法は『風使い』。これまで登場した魔法とは明確に次元が異なっており、暴風のブーストをかけ超スピードでの飛行を可能にする。
必要な失敗が、この世にあるとでも?
『スペース」と同じ漆黒のコスチュームに身を包んだ魔法少女。
彼女の意向に従い、彼女と同じく敵として徳島県大歩危峡で空々達へ奇襲をかけた。
酒々井かんづめを「魔女」と呼び、確保もしくは始末する使命を負っているようである。
固有魔法は『水使い』。『スペース』のものと同じく魔法としてのレベルが段違いであり、作中では徳島の一級河川吉野川を氾濫、逆流させたポロロッカを発生させ、地形を書きかえるレベルの激流で空々達をなすすべなく押し流した。
しかし・・・・・・。
天は人を造らず。
『地球撲滅軍』「不明室」室長左右左危(ひだり・うさぎ)が作った新兵器。
その実態は人造人間であり、本来いくつかの段階を踏んで起動するはずだった。しかし「不明室」内部で発生したクーデターによりステップをすっ飛ばして機動。四国を丸ごと破壊するべく行動を開始する。
お前なりにご多忙の中大変恐縮ですが・・・・・・。