放浪のドッペル
ほうろうのどっぺる
月出里「ふむむ……むんむむ……」
放浪のドッペル
その姿は、クッキー。
この感情の主は、微塵の迷いもなく無邪気に遊ぶドッペルが、自分にとって自由の象徴でありながら罪の象徴でもある気がして、苦悶している。
このドッペルはフワフワと自由に漂いながら、本能の従うままに行動している。大きな声を出すのも、食事をするのも、賑やかな色彩に包まれるのも、全ては楽しいからしているだけで、誰を悲しみ苦しめようとも、この世の罪の懸念は適合されない。
襲われた時は、一見穢れのない子どものように見えるばかりか成長できない哀れな存在のように思えるため、大人であるほど恐怖よりも悲しみが先に立つ。
(『マギアレコード』内アーカイブ「ドッペル一覧」より)
まるで本人を模したクッキー人形。頭部は月出里と同じ形の耳が生え、三つの眼を持ち首に巻いたスカーフから腕が伸びる。そして翼のような腕も持ち、さながらクリオネのようにも見える。
放浪のドッペル。その姿は、クッキー。
この感情の主は、鳴き声だけで他者に愛されようとするドッペルが、自分の甘さを象徴しているようで嫌悪している。
そのドッペルは、己の本能に従って自分が楽でいられることだけを意識して行動しており、常に努力することなく誰かに助けてもらう。
それに対して恩返しを求めるのは無駄で、どれだけ助けて愛しても、ドッペルはフワフワ漂うだけである。
人と人とを繋ぐために努力する主は、ただ着飾って愛らしい鳴き声を上げるだけで人を集めるドッペルを見ては、さらに複雑な気持ちになっている。
(『マギアレコード』内アーカイブ「ドッペル一覧」より)
プロフィール
レアリティ | 効果 | ||
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★5 | レアリティ | 効果 | |
★5 | 敵全体にダメージ[Ⅸ]& バリア(12000)を付与(味全/5T)& 被ダメージ時MPUP(味全/1T)& HP回復(味全)& 必ず挑発(自/2T) |
ピュエラケアのドッペルの中では唯一、劇団イヌカレーがデザインの担当をしていない。
名前の由来はクッキー人形の「ジンジャーブレッドマン(gingerbreadman)」から。
実はこのジンジャーブレッドマンにも昔からの民話が存在し、人によっては解釈が微妙に異なるがその内容はざっくり言うと「おやつとして作られたことで自我を得たクッキー人形が自分を作ってくれた老夫婦から逃げてしまい、その後も自身を食べられまいといろんな人物や家畜からも逃げ延びるも、最期は狐に捕まり食べられてしまう」というもので、宿主である月出里の魔法少女ストーリーと合わせながら詳しく調べてみると彼女の因果と如何に紐付いているのかがよく解る。
また、このドッペルを発動する際に、月出里が元気よく叫ぶような仕草をすると同時に第三の目らしき部分が開き、スカーフの腕に持ったメガホンから真名が現れるという演出が見られる。
そのせいなのか第三の目をよく見るとまるで声帯のようにも見える。
残酷な運命をたどって「声を出せなくなった」彼女なりの皮肉なのだろうか。