概要
銀座線車両は丸ノ内線車両とは違って小形なため、改修工事に合わせた新形機器が搭載できないという問題点、そして銀座線の昇圧計画などがあり、既存の01系では対応できないと判断されたため、その代替として2012年に登場した。2013年の鉄道友の会ブルーリボン賞受賞車両。
外観は銀座線が「東洋初の地下鉄路線」として開業した時の「東京地下鉄道1000形」(以下、旧1000形)と、戦後1959年から平成の世の1993年まで長く銀座線の「顔」を務めた「営団2000形」(以下旧2000形※)をベースにアレンジしたものが採用された。アルミニウムのダブルスキン構体の上から、側面と屋根部にカラーシートでラッピングが施されている(妻面は無塗装)。そして窓下にラインカラーであるオレンジの帯を配してアクセントとした。
ヘッドライト(前照灯)はLEDだが、腰部左右端装着の流行に反して、旧2000形の最終時の姿を模した前面中央上部の箱型2連となっている。
一方、10000系や16000系1次車のデザインとは異なる、前面の非常扉を右側(向かって左側)にオフセットしたシンプルな丸切妻の前面は01系と共通し、事実上銀座線の3世代の主役のイメージを4世代目としてすべて継承した形になる。
- ※:東京メトロ新2000系は丸ノ内線用。
2017年3月12日に最終編成(第40編成)が運用を開始し、同日に01系の運用が終了したことで銀座線の車種は本系列に統一された。
機器関係
最大の特徴として、ボキー角連動自己操舵台車を初採用したことが挙げられる。
台車の回転によって回転しない枕梁との相対変位が生じることを利用し、枕梁と接続された各台車の車両中央寄り車軸の案内リンクが左右それぞれで伸縮することで、軌道と車軸の位置関係を直角に保つように変位する。これにより車輪フランジの当たりが少なくなり、急曲線でのきしり音を大幅に抑制している。
中央寄り車軸のみを操舵可能とする事で、構造の簡素化によるコストダウンを図っている。
同じ機構は後に13000系・2000系、他社においても東武70000系・福岡市交通局4000系で採用されている。
変位の大きい操舵軸にはユニット踏面ブレーキや主電動機が装備できないため、全てディスクブレーキを搭載する付随軸としている。
このため、駆動力確保の必要性から両先頭車の先頭寄り台車を除いた全台車の固定軸に主電動機を搭載しており、編成は全電動車で2.5M3.5T相当となっている。
走行機器は02系機器更新車をベースとしており、2in1形パワーユニット搭載の個別制御VVVFインバータ+永久磁石同期電動機(PMSM)の構成で、制作も変わらず東芝が担当。
VVVFインバータは2・5号車に2台ずつ、3号車に1台搭載しており、先述した特殊な軸配置の都合から隣接車にまたがるように配線されている。
1台車内に動力軸と付随軸が混在することから、空気ブレーキは各軸個別制御とされており、各種弁装置と制御ユニットが一体化された小型のブレーキ制御装置を各台車近傍に配置している。
また、車両情報管理システム(TIS)との連動により、必要制動力と回生制動力の差分を全付随軸に均等に負担を割り振る編成統括ブレンディング制御にも対応する。
その後の変化
- 2016年落成の第34編成以降から、案内表示装置をそれ以前の編成の2画面から3画面に変更。それ以前に製造された編成も順次3画面化が行われた。後にこの3画面LCDは丸ノ内線2000系・日比谷線13000系にも採用された。
- 浅草寄りの先頭車は「1600形」として登場したが、2015年に「1000形」へ形式変更。
- 行先表示器は前面・側面共に「行先」のみの表示であったが、2016年に「駅ナンバリング・行先」表示に変更している。
- 丸ノ内線でのCBTC(無線式列車制御システム)導入に伴い、回送時に同線を走行する1000系も順次対応改造が施工されている。
特別仕様車(第39・40編成)
01系は最大38編成が在籍していたが、ホームドア導入による運用増加のため、2編成多く製造されることになった。第39・40編成については、イベント対応車(特別仕様車)としてこれまでの38編成よりも旧1000形のイメージに近づけたデザインになっている。前照灯の形態変更や車体前面・側面の窓周りのカラーの変更をはじめ、車内に関しては木目調の内装、シートや手すり、荷棚などの配色も変更。吊り手は扉付近など一部を除き、旧1000形の「リコ式」を模擬した形状となった。イベント用の予備灯も車内に設置されている。