概要
『桃の園』とは、阿諏訪泰義の原案による、ころころ大五郎の漫画作品。
電子コミックアプリ「comipo」と電子コミックストア「DLsite comipo」で配信されている。
制作経緯など
株式会社ゲオホールディングスの子会社「株式会社viviON」による電子コミック専用レーベル「comipo comics」主催の漫画制作応援企画「設定さん。~漫画の原案、芸人が考えておきます!~」を発祥とする。
YouTube番組内で芸人たちが大喜利を行い、提示された設定を元に漫画を公募するという企画。
その番組中で提示された「世界で唯一の特殊な学校 どんな生徒を育てるのが目的?」というお題に対しての阿諏訪の解答が「ヒーローものの女性枠ピンクの座を争ってピンクの座を勝ち取る『桃の園』」である。
この設定を元に公募を行い大賞に選ばれたのが、ころころ大五郎による読切版『桃の園』であった。
2024年8月6日から連載版『桃の園』が前記サイトで配信されている。
読書方法
上述の通り、comipoアプリとDLsiteで読めるが大きな違いがある。
comipoアプリの方は基本無料である。
4話有料事件のせいで有料であるとデマが広がっているが基本無料である。大事なことなので2回言いました。一気に無料で読むことは不可能だが、毎日1話ずつ読もう。
Dlsiteの方は4話以降有料であるが、最新話は2週間無料である。だがキャプ画が欲しい方は買っても良いかもしれない。
あらすじ
読切版
※DLsite comipoの本作紹介ページの引用
その町には主人公がいた。
ヒーローに憧れる少女花岡さくら。レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク……その中での唯一の女性枠、『ピンク』の後継者となるためヒーロー育成学校に入学する。しかし学校には手ごわいライバルが…!女の子だって戦える痛快学園アクション!
連載版
※DLsite comipoの本作紹介ページの引用
ヒーロー『ゴクレンジャー』に憧れる少女・花岡さくらは
『ピンク』の育成学校『桃の園』へ入学する。
幼い頃に怪人から守ってくれた『レッド』のように、
率先して人を助けられるヒーローになりたいさくらだったが、
そこには大きな壁があった。
女は『ピンク』にしかなれず、ピンクに許されるのは戦闘のサポートだけだったのだ。
これは、夢見る少女・花岡さくらが『レッド』を超える『ピンク』を目指す、反抗の物語
登場人物
・花岡さくら
この作品の主人公、些細な悪事も見逃さない正義感の強い性格。幼少期怪人に襲われている所をゴクレンジャーのレッドに救われたため、レッドを超えるピンクを目指している。
幼少期に親or親の立場の人間から女の子らしく生きろ言われたため、目標がが上述した様な歪な方向性に変わってしまったのかもしれない。一部ファンから肉体派おじゃる丸と呼ばれている。
・シエル・フローレス
さくらの養成学校同期。ヒーローのあるべき姿を後世に伝えるべく入学した。不文律を破ろうとするさくらが気に食わないのか、彼女に対しては攻撃的な態度を取っている。
ツッコミ枠を担当しているお陰かは不明だが編集者的には作中で一番キャラが安定している
・ベビー・キャロル
さくらの養成学校同期。さくらの席の隣。怪人と戦っているさくらをかっこいいと思うなど常識にとらわれない価値観が窺える。
・マゼンタ
6話より本格登場した俺っ子。何色でもなりたかったが間をとってピンクを選んだ異色の背景を持つ。
・現レッド(桃の園)
ゴクレンジャーに所属している。十年前、怪人に襲われていたさくらを救った。人間に襲われても、全ての人間を救いたいと言える度量の深い人物。
・現ピンク(桃の園)
レッドと同様ゴクレンジャーに所属。笑顔を絶やさない人物。ピンクの不条理を最も受けている立場だが長年在籍or離脱後も再び戻ってきた辺り並ならぬ忍耐力が窺える。
・現ブルー(桃の園)
現状台詞無し。マッシュヘアが特徴的。キャロルの反応からするとこの世界ではイケメンらしい。特徴的な風貌のせいで一部読者から肉体派おじゃる丸と呼ばれている。
用語
・ゴクレンジャー
作中に存在するヒーロー組織。弱きを助け強きを挫く常に人々の憧れであり続ける存在(1話)。怪人が出現したら即出動していることから、怪人から人々を守るための仕事がメインだと思われる。通常は個別任務をしており、集結するならトップニュースになるとのこと(2話)
後継者を育てるためのレッド以外の色ごとに養成学校が存在しており、(ピンクだと桃の園、青は藍の波止)毎年入学者の中から後継者が一人選ばれる(1話)。しかし現在のレッドとピンクが少なくとも十年以上活動しているため(3話)、基準が厳しく後継者が諦めてしまうのな、現在のレッドやピンクが一度離脱して再び戻ってきたのかは不明。
レッドの採用方法は公にされていない。
槍などの近接武器は使用可能だが、銃や弓などの飛び道具は一般人に当たることを考慮して禁止されている。
そのためか養成学校の訓練も運動がメインとなっている。
また銃弾や爆発でダメージを受ける描写があるが、ヒーロースーツを着てないことが原因だと思われる。
・ピンク枠
唯一、女性がゴクレンジャーになれるが、他の色が来るまで助けを待て、怪人を殺してはならないといったルールが存在している。怪人を殺す(作中ではトドメを刺す又は倒す表現)のが禁止されているのであって、怪人を瀕死状態にする(作中では弱らせると表現)のは問題ない。当初は怪人を倒すを瀕死状態であると定義していたが、学会以外ではニュアンスが分かりにくかったためか7話にて設定が更新された。
その一方で男装などをすれば他の色の学校にも入学自体は可能である模様。
作中でもトドメを刺さないならどう倒せばいいのかとマゼンタが疑問を呈している。
仮に使い分けが存在していなかった場合、現ピンクは怪人を殺して昇級していたことになるが果たして・・・?
・桃の園
主人公が在籍している学校。ピンク枠を育成している。お世辞にも授業内容の質が低いことがツッコまれていたが9話で本当に低いことが判明した。
・藍の波止
ブルーを育成する学校、教えている内容は桃の園より高度。怪人の研究を行なっている。その一方で生徒は主人公一向にヤリモクで近づいたり、授業中寝ているなど態度は良くない。
・怪人(ゴクレンジャー)
作中に存在する人々を脅かす敵。作中では単に怪人と呼ばれるため「桃の園」内での正式名称だと考えられる。レッドの見立てによれば感情が存在しない(4話)。作中ではポケモンのように固有名が存在しており、種類ごとに区別できるものと思われる。どういう目的で人間を襲っているのかは不明。S,A〜Dのランクが存在しており、人間の肩書きによって対応できるランクの怪人が決まっている。概要は以下の通り。
ランク | 対応できる肩書 | 判明している種族名 | 特記事項 |
---|---|---|---|
S | ゴクレンジャー | エレボス | Sランクの怪人はエレボスしか存在しない。怪人の生みの親、怪人を操っているなど諸説あり。 |
A | ゴクレンジャー | ウィドー | 滅多に出現しない |
B | 教員、国家保安部隊 | 不明 | |
C | 特待生 | 不明 | |
D | 見習い | シーカー |
・悪党(ゴクレンジャー)
3話で登場した人間の組織。レッドはさくらに秘められた力を狙っていると推測している。4、5人でさくらを抱えた状態のレッドとはいえ火器を使用し負傷させた。負傷した傷は6話現在でも残っているなど平和の象徴に深いイメージダウンになったことは想像に難くない。
・秘められた力(ゴクレンジャー)
花岡さくらに秘められた特殊な能力。レッドの推測によれば悪党(ゴクレンジャー)がさくらを狙う理由らしい。
連載後の反応
2024年8月6日に連載版第1話が公開された直後、複数のニュースサイトにて「戦隊ヒーローのピンク育成学校が舞台」を謳い文句に宣伝記事が載せられ、『スーパー戦隊シリーズ』のファンを中心に注目を集めた。
しかし、「女はピンクにしかなれず、ピンクに許されるのは戦闘のサポートだけ」「怪人へのトドメはレッドに譲る」「敵につかまったら助けられるまでおとなしくしてる」という男尊女卑の設定が、読者の反感を買って炎上してしまう。
というのも、『スーパー戦隊』の実情と今作の世界観が乖離しており、戦隊に詳しい読者ほど違和感を覚えてしまう内容だったためである。
- 「戦隊ヒロインはピンク担当が圧倒的に多い」までは事実だが、イエローやホワイトなどもう1人のヒロインがいる戦隊、ピンクが不在の戦隊もあり、総合的にはピンクの割合は約半数。追加戦士を含むとピンク以外の色が半数を超えてしまう。
- イレギュラーな変身を含めると、女性がレッドやブラックになったケースもある。
- 戦隊の女性リーダーの先例として1994年の『忍者戦隊カクレンジャー』のホワイト、2000年の『未来戦隊タイムレンジャー』のピンクがいる。
- 2022年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』には初の男性ピンクレギュラーが登場した。
- そもそも「怪人へのトドメ」はメンバー揃っての合体技や各メンバーの合体武器が基本だが、回によってはヒロインがトドメを刺す展開も普通にある。
- と言うか、初代ピンクであるモモレンジャー・ペギー松山ですら、優れた化学分析能力を持つ爆発物のスペシャリストである。
この炎上を受けて、作者はTwitterで「全員女子の戦隊ものも知っている私がこの時代にこの作品を描いている理由、早くお伝えしたくてドキドキしております」と発言するも、シリーズに「全員女子の戦隊」は存在せず(※)、これにより「戦隊に詳しい作者があえて定番を外して描いている」のではなく、「戦隊に詳しくない作者が手探りで描いている」という悪印象を強めてしまう結果となってしまった。
- ※『スーパー戦隊シリーズ』の番組タイトルになっている戦隊ヒーローの場合。ヒーロー以外を含めても『カクレンジャー』に登場した「花のくノ一組」しか該当しない。そのため作者が言及しているのは『スーパー戦隊』ではなく、パロディなども含めた広義の「戦隊もの」と思われる。全員女子の戦隊(広義)については「ヒロインチーム」の項目を参照。
4話有料事件
9月3日に4話が更新されたが、無料で読めるはずが有料になっており、一時期サイトでコインを払わなければ読めない状況になってしまった。その後の対応で5話更新が行われるまで4話が無料になったが、そのミスが原因で読者が離れたことは否定できない。
現在
現在では戦隊関連の炎上が落ち着いた、上述の4話有料事件で読者が離れたこともありネット上で話題になることは少なくなった。
その他の原因の一つとして内容が行き辺りばっかりで作品のテーマが見えてこないなど単純にシナリオの質が低いことが挙げられる。(例:4話の最後でさくらは生半可な覚悟ではいけないと考えを改めたが、以後の話ではその経緯が反映されていないように見える。7話でD級怪人を救う際、1話でA級怪人を殺したことに関する描写がない、など)
その辺は矯正すれば問題はないが改善される兆しが見えないことから、編集は作品のハンドルを握れていないのではないかという新たな問題点まで浮上することになっていたが、話数が経つごとに構成力の向上するなど作者の成長を感じる部分も多い。
その一方で熱心な読者が中心となって桃の園を盛り上げている。更新の度に明かされる設定や展開について議論が行われており、この記事に書かれてある6話までの定説であった「倒す」と「トドメ」の違いについても有志の考察によりまとめられたものである。桃の園学会は更新日の月曜深夜に大きく活動している。興味のある方は参加してもいかがだろうか。桃の園学会の門はいつでも開かれているのだから。
余談
本作に登場する戦隊の名称は、読切版では「スカイジャー」、連載版では「ゴクレンジャー」と異なり、いずれも戦隊名の前に来る「○○戦隊」を含まない。