森山卓
すぐるちゃん
演:高嶋政伸
主人公 相良浩介が勤務する『堂上総合病院』の院長 堂上たまきの甥で、同院の次期院長(シーズン1~シーズン3)→院長(2018SP以降)。
年齢は初登場時で44歳。
クセが強い登場人物で占められる本作においてもトップクラスに強烈にぶっ飛んだ濃いキャラクターと、本作のヒール、コメディリリーフ、トリックスター、狂言回しと様々な役回りを兼ねたその立ち位置から、主人公の相良を差し置いて、このドラマの“顔”とも呼ぶべき名(迷)キャラクターである。
プライベートにおいては叔母の堂上院長や、母親(院長の妹)の森山日美子から「すぐるちゃん」と呼ばれており、それはいつしか本作ファンの間でも愛称として定着している。
その外科医としての技量は自他共に認める程で、幾多の難手術もそつなくこなし、自らが最も得意とする腹腔鏡手術の腕前は、器具で折り紙を折れるだけの技量を誇り、医者としての手腕だけ見れば相良と肩を並べる程のスーパードクターである。
しかし問題はその人格であり、病的にプライドが高く、非常に傲岸不遜且つ見栄っ張りでワガママ。そのくせ、自分に自信がなく自分と同等以上の才能を持った医師に対しては強い劣等感や嫉妬心、敵愾心を懐きやすい。
また、自分の非を素直に認める事はほぼ皆無で、自身の執刀にミスがあっても決して患者に謝罪しなかったり、自分の無茶苦茶な経営方針で堂上病院が廃業寸前に追い込まれる事態になっても開き直って不貞腐れる始末。
切羽詰まったり、自分の思い通りにいかない事があったりすると、メインイラストのように大げさなくらいに口を歪ませた顔芸と共に「んんんんん!」と奇怪な唸り声を上げる癖があり、最早彼を代表とする持ちギャグといえる。
また、極度のマザコンであり、母親の事は「ママ」と呼び(流石に公の場では「母さん」と呼ぼうとしているが、時折癖で「ママ」と呼んでしまい、病院の職員達には殆どバレている)、彼女の前では普段の傍若無人ぶりは鳴りを潜め、頭が上がらない。
有り体に言えば“身体(と知識、技術)だけ大人になった聞き分けのない子供”と言うべき性格であり、彼に辟易している内科医の皆川和枝曰く「褒めれば付け上がる、叱れば拗ねる、煽てればすぐ調子に乗る」「根本的に『自分を省みる』ことができない」。
院内では主要な外科医達を取り巻き(通称『チーム森山』)にしながら我が物顔で君臨し、看護師や患者に対しても基本的に尊大な態度で接する事から、チーム森山以外の病院職員(特に皆川や看護師達)からは疎ましく思われ、常に冷ややかな目で見られている。更には一部の患者や、他の病院の医師達や融資元の銀行、取引先の製薬会社などにもその器の小ささはある程度知れ渡っている様で、かつての恩師でもある西都大学病院教授 仙石大吾や医療法人「満潤会」会長 満堂潤三郎、「関東病院長会」会長 伴財日出彦などの日本の医学界の重鎮達からそれぞれ「堂上(病院)のウィークポイント」「ボンクラ」だのと散々な言われ方をされるなど、基本的に人望は非常に薄い。
都内の高級マンションに暮らし、自家用の高級車(ベンツ)で通勤し、昼食には大好物の特上天丼を頼み、夜は定時で仕事を切り上げてチーム森山との飲み会や、行きつけの高級クラブでホステスのナナを相手に日頃の愚痴を零すなど、贅沢な暮らしにすっかり染まってしまっているため、(森山が原因で)経営が大きく傾いた事で大規模な改革が挙行され、マイカー通勤を禁止され、バス通勤をせざるを得なくなった時には、乗るべきバスがわからずに人に尋ねざるをえなくなったり、行き先や降りる停留所を間違える(ちなみに間違えて降りてしまった停留所は『堂上美容院前』であった)など、人並みの生活に非常に四苦八苦する様が描かれた。
突如現れた自分と同等以上の腕を誇る名医の相良に嫉妬とライバル心を燃やしまくり、事ある毎に相良と衝突。
すぐに自らの権限を乱用したり、取り巻きの外科医達を味方につけたりして、序盤こそ相良を圧倒するも、一見従順なふりをしながら水面下で自分の思惑通りに事を進めてくる相良の策に引っかかり、最後には一杯食わされたり、美味しいところを持っていかれるのがお約束となっている。
人間的な面では相良の足元にも及ばないものの、前述した通り、医者としての才能は相良も認める程に確かなものを持ち、利害の一致や、相良の遠回しな裏工作から、相良とタッグを組んで手術に挑めば、普段の性格が嘘のようなスーパードクターぶりを発揮し、まさに敵なしとなる。
相良からも時折その性格を呆れられたり、ややシニカルに見られる事はあれど、「面白い人」とそれなりに好意的に評されており、森山が少しでもその技量に相応しい人間性を持てるよう、彼なりに案じている様子。
また、一応森山自身も「もっと素直になりたい」と思う節もあるようで、時折、思い出したかのように「良いドクター・良い院長」になろうと、彼なりに奮起・奮闘する事もあるが、日頃の慢心した思考や人間的な面では極めて不器用である事も祟って、必ずといっていい程に変な方向に進んでしまい、更なるトラブルを招いては相良の手を煩わせるのがお約束となっている。
次期院長時代は、代理院長になるもその傍若無人な経営方針で迷走を極め、結果、病院に患者が全く来なくなってしまうという前代未聞の事態を起こしてしまった。
2018SPで堂上院長が個人の診療所を開業する為にブータンに移住(これは堂上院長役の野際陽子氏の逝去に伴ってできた設定)した為に正式に院長を継いだ後は、流石に懲りたのか先述の二の舞になるような無茶苦茶な病院経営はしていないが、胡散臭い雰囲気の経営コンサルタントや広告代理店を雇ったり、周囲の反対を押し切って温泉を掘ろうとして失敗して赤字を出してしまうなど、相変わらずどこかズレた方向に舵を切って、事務長の桃井正一や副院長兼看護師長の田村戸紀子から呆れられたり、叱咤されている。
演者の高嶋政伸氏は元々、トレンディドラマなどで爽やかな好人物(本作で言えば、相良のような人物)を演じる事が多かったが、今作で見せたそのクセの強いキャラクターが強烈なインパクトとなった事で、その後の彼の俳優としての方向性も大きく転換される事となり、以降は森山の様な怪演じみたアクの強いキャラを演じる事が多くなっていった。