楽勝!ハイパードール
らくしょうはいぱーどーる
伊藤伸平による漫画作品。通称はパードル。
正式な表記は『楽勝!ハイパー♥ドール』だが「♥」部が環境依存文字であるため、大抵はこの部分が黒点による代替あるいは省略表記される。
『少年キャプテン』(徳間書店)にて1994年から雑誌休刊(1997年)まで連載された作品。
雑誌内および伊藤にとっては当初『少年キャプテン』で持っていた連載作品である『モルダイバー』(原作:北爪宏幸)の後を受けてスタートさせた後継連載作品であるため、その『モルダイバー』とジャンルを同じくするバトルヒロイン作品として執筆された。
作者の伊藤が問答無用なガチのヲタクであるため、前作の『モルダイバー』以上に東映特撮・東宝特撮・円谷プロなどを元ネタにパロのネタ振りがガッツリ振り切っている作品である。
ちなみに最終回は雑誌の緊急休刊に伴う打ち切りであり長らく未完。
のちに『トラウママンガマガジン』(インフォレスト)などにも地続きの続編が執筆されるが、これもまた雑誌そのものが長くもたずに再び打ち切り。
現状としては作者の出している同人誌において細々と続きが描かれている状況と言える。
宇宙の治安と利権調整を図る銀河中央評議会。
その治安部より銀河の辺境にある惑星、地球の文明を保護・観察するため、地球文明の構成員にその姿を合わせた戦闘用合成人間(ハイパー・レプリカント・ドール)であるミュウとマイカが派遣される事となった。
しかし、ミュウとマイカは派遣途中、鉄を主食とする機械動物と交戦する羽目になり、よりにもよって交戦のあげく、機械動物を地球に落としてしまう。
なんとか機械動物は破壊したものの、ミュウとマイカはその姿を、現地の少年である赤井秀夫に見られてしまった。二人はなんだかんだと言いながらも地球に潜入し赤井に接触。「正体をバラしたら首をひっこぬく」と脅し、その監視を兼ねて赤井の通う高校に文月美憂(ミュウ)水無月舞佳(マイカ)として在籍し女子高生として本来の任務に就く。
しかし二人が潜入し住み着いた街は、国際的企業群トラックス社の企業城下町だった。そして一方で謎の組織カオスが社会の混乱を狙って改造人間による人狼部隊(ヴェアヴォルフ・トルッペ)を組織。混乱の先にある人類社会の掌握を狙って部隊員を暴れさせていた。
これがただの地球人同士による純然たる諍いであるならば、ミュウとマイカには全く関係の無い話なのだが、しかし彼女らはカオスの存在の裏に銀河中央と同クラスのオーバーテクノロジーの気配を感じ取り、その謎を追うためにカオスと敵対する事となった。
しかし、ミュウとマイカは時に気まぐれで大味という、ガチで現代っ子な女子高生メンタルの持ち主だった。カオスの改造人間たちを撃退こそするものの、二人の立てる杜撰で大味な作戦は逆に街の被害を大きくしていく。
この騒動に動き出したのが内閣情報調査室のエージェント小暮静江。小暮はミュウとマイカが通う高校に教師として赴任し騒動の核心へ迫らんとする。そして彼女は、トラックス社にナチスの亡霊とも言える生き残りが潜んでおり「人狼部隊」は、その妄念が形を成したものとあたりをつける。
一方でミュウとマイカもトラックス社とカオスが表裏の存在であり、彼らが秘密裏に銀河中央評議会の規約を違反した勢力と繋がっている可能性を掴むが、銀河中央の「政治の壁」に阻まれていた。
そして業を煮やしたミュウとマイカはトラックス社を締め上げるため「人狼部隊」が起こす騒動を利用した強引な賭けに出る。
1995年にパイオニアLDCからOVAが出された。企画はパイオニアの真木太郎。
制作はトライアングルスタッフ。
こちらもネタ振りがすさまじく、オープニングのナレーションが新造人間キャシャーンのパロディだったりする。(しかも取りようによっては元ネタをガッツリと茶化している演出になっている)
キャラデザ・作監は中村悟。
ちなみにこのOVA、映像特典として短編の実写パートがある。