CV:東地宏樹
概要
主人公・榊遊矢の父親でプロデュエリスト。
妻は榊洋子。遊矢が通う「遊勝塾」の塾長・柊修造は後輩にあたる。
人を笑顔にすることをモットーにした「エンタメデュエル」の先駆者でもあり、その華麗なデュエルで多くの人々を魅了したらしい。しかし物語開始の3年前、プロデュエリスト・ストロング石島との対戦直前に突如失踪し、以来行方不明となる。「敵前逃亡したデュエリスト」という汚名を着せられ、彼の息子である遊矢は「臆病者の息子」として周囲からいじめられる事になる。
しかし、赤馬零児を初め多くのファンの間では今でも偉大なデュエリストとして尊敬されている。
これは息子の遊矢も例外ではなく、今でも父のようなエンタメデュエリストになることを夢見ている。
作中では主に遊矢の回想シーンに登場しており、遊矢は彼の教えをヒントに勝利への活路を見出すこともしばしば。
しかし、エクシーズ次元篇にてタイトルマッチと同時期に次元戦争を止めるためにエクシーズ次元に渡っていたことが判明した。エクシーズ次元ではデュエルアカデミアが侵攻してくる前に現れ、アカデミアの侵攻を予期していたかの様に、ハートランド・デュエル・スクールの生徒達に様々なデュエルの戦略や「どんな時でも笑顔でいる事を忘れない事」を教えていた。また、同じ頃にエクシーズ次元に潜入していたデニス・マックフィールドも弟子入りしている。
その後、アカデミア軍の総司令官であるエド・フェニックスに勝利したが、アカデミアの理念との矛盾に苛まれて激昂したエドの手により、融合次元に飛ばされてしまう。それを知らぬまま姿を消してしまったために、スタンダード次元と同様にクローバー校の生徒であった神月アレンからは「怖気づき逃げ出した臆病者」と嫌悪されている。
その後、帰還する手段を持たなかった遊勝は融合次元で他次元への侵攻に賛同出来ず脱走したデュエルアカデミアの生徒達を匿い、スタンダードと同じく「遊勝塾」を開いてデュエルを教え、プロフェッサーの説得及びアカデミアの打倒を想定してアークエリアプロジェクトの阻止のために動いている。天上院明日香はちょうどそのタイミングで出会った協力者の一人である。融合次元に飛ばされ、明日香に保護された柊柚子と再会する。
融合次元での「遊勝塾」がユーリやデニスの襲撃を受けるものの、ユーゴの登場でユーリは飛ばされ、デニスの方は自身が囮となって生徒たちを避難させた。そして、自身はアカデミアに乗りこむ決意を固める。
そして・・・
アカデミアに突入した遊勝の前に現れるユーリ。明日香と素良に背中を押される形で対峙する事はなかったが、ユーゴに続いて遊矢に似た少年を見た事で少々困惑していた。
アカデミアの兵士に客人といった形で零王の元に送られた際には零王の説得を試みる遊勝であったが、言葉は全く届かず、逆に自分が零王に説得される形となってしまう。
その最中で遊矢と再会するも、零王から「彼は君の息子であって、君の息子では無い」と言われ、その後の零王の会話を聞き続けた遊勝はある事を思い出す。
息子が生まれた時の喜びの言葉を、その瞬間を、その時自分は何をしていたかを・・・その疑問は後輩の柊修造が娘・柚子の世話をしている時から抱いていたが、修造にも娘を世話している事を気にとめないように言われた為、詮索するのを止めていた。
しかし、零王の話を聞くたびに疑念を募らせていき、自分の記憶を信じられなくなっていった。
更に零王とのデュエルに臨む遊矢にズァークの片鱗が見えだした事で「ズァークが再びデュエルの世界に戻る為に選ばれ、悪魔の復活に加担していたのでは?」とも思うようになってしまった。
零王とはリアルソリッドビジョンが実用化される以前からの付き合いであり、遊勝は零王を「リアルソリッドビジョンを発明した天才」「エンタメデュエリスト榊遊勝の生みの親」として尊敬していた。
しかし、前者に関しては零王から「既にあった技術の再現」と断言され、否定されてしまう。
ズァーク復活を阻止するべく行動するが、ユーゴはユーリに吸収された上に説得とズァーク復活を兼ねたユーリとのデュエルも善戦するものの敗れてしまう。そして、父がカードにされたショックが遊矢をズァークとして覚醒させる大きな刺激になってしまった。
漫画版
赤馬零王と共に「ワールドイリュージョン」を引き起こしたとされている。
零児の回想では零王と共にリアルソリッドビジョンの研究をしており、研究チームの責任者でもあった。しかし、研究がある程度の形になった時期に研究のリーダーを零王に譲ってデュエルの道へと舵を切った。零王には見抜かれてしまったが、遊勝は近い将来にリアルソリッドビジョンが軍事転用される事を想定しており、それよりも先に民衆の娯楽として定着させる事を決意していた。
エンタメデュエルについては、「どうしても勝ち負けが発生するからこそ、デュエルが楽しいものだということを忘れたくないし、忘れてほしくもない」という信念に根差すものであることを遊矢に語っている。
だがリアルソリッドビジョンの研究が進む中で、その本質が「別世界との接続による質量付与」だったことが発覚。これを通じて零王が闇のカード「G・O・D(ジェネシス・オメガ・ドラゴン)」に意志を取り込まれ、その赴くままに力を解放しようとする事件が発生。
並行世界を巻き込むこの大惨事をどうにか留めようとした遊勝は、引き出されるG・O・Dの力を利用することにより、現在の世界を破滅させる代償と引き換えに世界そのものを「改変された過去の時間軸」へ巻き戻すという荒業を実行した。これがワールドイリュージョンである。
これに際し、遊矢に「世界が破滅する代わりに時間が巻き戻る、そこでG・O・Dについて止めるすべを探れ」と後を託した。
本人はこれに伴い、崩壊する現在に巻き込まれ死亡したと思われる。
なお、実際には遊矢のみならずユートら息子4人に託していたのだが、遊矢だけは遊勝のもとへ移動する最中に崩壊の衝撃で気絶してしまい、さらに時間改変から隔離するためのカプセルが4つのうち3つ破損するというアクシデントが発生。
これにより、ユートたちは遊矢のみを送り出すことに決定したが、死亡した彼らの人格が過去跳躍へ巻き込まれ遊矢と同化してしまった。
その後、最終回の「改変された過去」において少年時代の遊勝が登場、柚子と出会っている。
デッキ
典型的なスタンダードのデュエリストで、融合、シンクロ、エクシーズを一切使わないアドバンス召喚軸のデッキ。遊矢同様に『EM』で構築されたデッキであり、エンタメデュエルも遊矢のように花火やコミカルなマスコットなど過度な演出はあまりなく、プレイング自体も一種の演出となるマジックショー寄り。そういう点では、遊矢、デニス、沢渡の派手さを抑え込んだ徳松寄りのスタイルで、デニスの派手さを気にしすぎるスタイルへの指摘も道理である。
余談
放送時から度々あったが、視聴者の間では赤馬零王と並んで事態を悪化させた元凶として否定的な見解が強い。
また、遊勝のエンタメデュエル自体もユーリから「最初は面白かったが、不愉快になって来た」と称されるなど、時折視聴者から煽りプレイと捉えられていた遊矢のスタイルへのアンチテーゼが成されるという描写が目立っていた。もっとも、ユーリの場合は勝ち負けへの執着が強いために、馬鹿にされている様に感じたのかも知れない。