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概要編集

海防戦艦とは、海岸線の防衛を主な任務とする軍艦の一種。名称に戦艦とついているものの、いわゆる「戦艦」とはまるで別物であり、小型の船体に大口径砲を少数搭載した、「大きな砲艦」「動ける強力な沿岸砲台」といった趣きの軍艦である。

主な目的は、沿岸に侵入してくる中型艦を撃滅すること。戦艦を保有する国力が無い小国などでは主力艦として運用されていた。


具体的にどんな艦?編集

排水量3000-10000トン程度と巡洋艦サイズの船体に、戦艦に準じる大口径の主砲を少数搭載している。主砲サイズは20cmから30.5cmくらいまでのものが多い。魚雷は持たない。

少数とはいえ大口径主砲搭載のため、軍艦としては幅広の船体を持つ。自国沿岸を守るため、大型の艦艇が侵入できない浅い沿岸域でも動けるように船体の喫水は浅い。

敵との撃ち合いを想定しているため、戦艦や重巡洋艦に準ずる装甲を持つが、洋上での艦隊決戦は考慮しておらず、外洋航行性能は度外視されているため速度は遅く、航続距離も短い。

遠洋航行を考慮していないため機関は貧弱でも良く、建造費も維持費も戦艦に比べれば安価である。

北欧など海が凍り付く地域では砕氷能力を持たされている海防戦艦もあった。



戦艦としては小さいと言っても本格的な戦艦を持てないような小国では最大級の軍艦であり、海軍力の中核とされていた。

そのため、1936年に行われたジョージ6世戴冠記念観艦式では、スウェーデンとフィンランドが海軍の総旗艦として海防戦艦を派遣している。

※なお、スウェーデン海防戦艦が外洋航行できないフィンランドの海防戦艦を曳航していったという俗説は正しくなく、そのような事実は無いとのこと。


第二次大戦前後に一部の海防戦艦は実戦に参加している。海上で敵艦と交戦したり、沿岸から敵の陸上兵力を艦砲射撃するなどの戦果を残している他、撃沈された海防戦艦もあった。

第二次世界大戦終了後、敵艦を撃破するのに必ずしも砲撃である必要が無くなったため、戦艦が主力艦としての地位を退いたのと同じく、海防戦艦も消滅した。


関連タグ編集

軍艦 大砲 装甲

トンブリ級/スリ・アユタヤ(タイ) デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン(オランダ)

戦艦 砲艦 モニター艦 魚雷艇 ミサイル艇

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