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潘濬

はんしゅん

後漢末から三国時代にかけての武将、政治家。劉表、劉備、孫権に仕えた。
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概要編集

字は承明。後漢末から三国時代にかけて活躍した武将、政治家。

数奇な運命により劉表劉備孫権の三人の君主に仕えた。

いずれの陣営からも高く評価された有能な人物。


劉表時代編集

若くして聡明との評判が高く、そのため荊州の劉表に招かれて江夏郡や湘郷の統治を任された。汚職が多かった江夏郡は、潘濬が厳格な法を用いて汚職官吏を処罰したため、汚職が一気に減ったという。


劉表の死後、荊州は曹操に攻め込まれ、劉表の子の劉琮は曹操に降伏。荊州は曹操のものとなる。この時、潘濬は、劉表の客将だった劉備の元に参じたとされる。


劉備時代編集

赤壁の戦いの後、荊州が劉備のものとなると、潘濬は州の事務を一任される事となる。劉備からは信頼されていたようだ。劉備が蜀を建国すると、荊州の長は関羽となったが、『季漢輔臣賛』によると、潘濬は糜芳士仁らと同様に、関羽からは疎まれていたらしい。


呂蒙の策によって関羽が殺され、荊州がのものとなると、潘濬は責任を強く感じたのか、自宅に引きこもり、孫権の使者に対しても寝台に入ったまま伏して泣くばかりで出頭を拒否した。そのため孫権は、潘濬を寝台に括り付けたまま自分の元に連行させ自ら説得にあたったという。


「古代のの賢者には一度は、捕虜になりながらも、後に抜擢され名臣となった者も多い」という孫権の言葉に説得され、潘濬は孫権の臣下となった。


孫権時代編集

呉に移ってからも法を遵守する姿勢は相変わらずで、なにか問題が起こると厳しい姿勢で人々に対している。そのため、民衆も孫権も、潘濬を強く信頼していた。陸遜からも信頼され、潘濬は陸遜と共に武昌の守備にあたった。


潘濬の妻は蒋琬の妹であったため、蒋琬がの実権を握ると、潘濬は蜀に寝返るのではと噂され、上奏文も書かれた。しかし、孫権はその上奏を一蹴し、上奏文を書いた者を免官とした。


潘濬が呉で最も活躍したのは、呂壱の事件の時である。呂壱は些細な過失や冤罪により他の役人達を次々に弾劾、さらに孫権から信頼されてしまったため、塩や鉄といった専売品の利益を独占して私腹を肥やすなどしていた。


孫権の長男孫登が讒言しても、聞く耳を持たないほど、孫権は呂壱を信頼しており、そのため呉は乱れた。陸遜と潘濬は、呂壱を除こうと行動を開始した。

孫登の讒言すら聞き入れられないと知った潘濬は、宮廷で真正面から呂壱を斬ろうと考えた。一方、呂壱は、潘濬には敵わないと見たのか、病気と称して自邸から出てこなくなった。この隙に、歩隲を始め、呉の臣下たちは一斉に呂壱を糾弾し、さすがの孫権も事態の重大さを悟り、呂壱を捕縛した。


こうして事件を解決し、武昌に戻った潘濬は力を使い果たしたのか病により死去した。


評価編集

蜀の出身である陳寿から見れば、潘濬はを裏切った者であるが、一方で呉での活躍は聞き及んでいたらしい。

そのため、三国志では伝を建てられており、その評価は「私利を求めず国家のために尽した。大胆に事を行なって節操を貫き通し、大丈夫として最高の仕事を成し遂げた」と、政治家と絶賛されている。


一方で、同じく蜀の出である楊戯が書いた季漢輔臣賛では、糜芳士仁郝普と並び、呉蜀二国において裏切り者・笑い者との評を得たとケチョンケチョンに貶されている。

ちなみに、この季漢輔臣賛は、三国志の蜀書第15巻「楊戯伝」に収録されている。わざわざ陳寿が季漢輔臣賛を挿入したのは、蜀の出身者の潘濬に対する複雑な思いがあったのかもしれない。

(季漢輔臣賛において、潘濬たちに触れている箇所はわずかであるので、考えすぎかもしれないが)


三国志演義編集

史実と同じく、関羽の部下として登場している。しかし、ほとんど出番がない。

かろうじて、王甫が「潘濬は酒飲みの小人物で信用できない」と述べているのと、関羽が討たれた時に呉に降ったとの記述があるだけである。呉に下った後のことは一切触れられていない。

いくら関羽の死に関わっているとはいえ、流石の羅貫中も降伏後に呉で大活躍する潘濬を必要以上に貶める描写は入れにくかったものと思われる。


このように、潘濬は三国志を題材にした小説や漫画でも、影がとにかく薄い。


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