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炎の料理人クッキングファイター好

ほのおのりょうりにんくっきんぐふぁいたーはお

『炎の料理人 クッキングファイター好』とは日本一ソフトウェアから発売されたプレイステーション専用ゲームである。
目次 [非表示]

行くぞォッ!いざ、概要ォッ!

マール王国の人形姫』『魔界戦記ディスガイア』等で有名な「日本一ソフトウェア」がまだ自社の路線を模索していた頃に作った、バカに徹底的に振り切ったゲーム。

主人公であるクッキングファイター好(ハオ)の料理による(!?)戦いを描く。

物語に沿って進めるストーリーモード。

CPUや他プレイヤーを相手に戦うフリー対戦モード。

作中の料理やその解説を鑑賞したり自慢するアルバムモードで構成される。


ストーリーモードはフルボイスのオートイベントで進行し、各章につき1人ずつと料理対決をするのだが、このストーリーと料理対決の双方がパロディ、突っ込み所満載であり、本作をバカゲーとして強烈に印象付けている。

端的に説明すると、原作クラッシャーとして知られるアニメ監督・今川泰宏の作品『ミスター味っ子』と『機動武闘伝Gガンダム』のパロディネタ満載のバカゲーである。


俺がストーリーを教えてやるぜェッ!!

料理の道を志す若き獅子たちに告ぐ。

汝、真の料理人を目指すならば、

味道求心の教えを忘れることなかれ。

料理とは己との戦い。

味とは己を映し出す鏡。

常に研鑽を怠らねば、汝、超龍厨士の資格あり。


料理の道は険しきもの。

味の真理は深遠の彼方。

この道、極めんとする者、汝、一切の望みを捨てよ。

されど、あえて修羅の道を選ぶ者あり。

汝の名はハオ。

料理は心と信ずる者。

料理は力と悟りし者。

両者相対する時、天地を揺るがす嵐を呼ぶものなり。

されば、今こそ我らは叫ばん・・・


炎の料理人 クッキングファイター好ッッッ!!!


…よく分からない人は↓こちらを


中華料理4000年の歴史の頂点に立つ男、味魔王。

その味魔王を追う一人の若き料理人がいた・・・

その男の名はハオ!

料理人の誇りをかけて、

今、命懸けのクッキングバトルが始まるッッ!!


(ゲームオープニング、及び公式サイト参照)


ゲェェーーームの流れッ!

各話は基本的に

タイトル表示→ストーリーパート→アイキャッチ&セーブ→料理対決→料理解説→ストーリーパート→次回予告→セーブ

上記の流れで進む。


料理対決のシーンでは、フィールドをうろつく食材である鶏、豚、鯛、馬などを攻撃して倒し、調理する。

  • 野菜なども配置されているが、これは敵(食材)にぶつける以外に使い道は無い。
  • 食材も反撃してくる。HPがゼロになるとダウンするだけですぐに復帰するが、せっかく作った料理を1つ失う。
  • 食材もHPは尽きると気絶する。その間に必殺技を発動させて調理する。そんなバカな…。
  • 食材がフィールド上から無くなると終了。作った料理の総ポイントに応じて勝敗が来まる。

必殺技は複数あり、技によって異なった料理が完成する。無論、食材によって作られる料理も違う。つまり食材×必殺技分の料理が存在し、しかも全ての料理に『味っ子』ばりの解説が用意されている。


パッと見ると、アクションと駆け引きの要素を合わせた面白いバトルのようにも思えるが、

このバトルにはとんでもない仕様があり、それが対戦ツールとしての価値を著しく下げている。


未熟者めが!これが問題点だ!

料理人のくせに料理で勝負する気が無いのか!

上記のようにユニークなシステムを盛り込んでいるのだが、実は対戦相手を攻撃してダウンさせると作った料理を奪えるためそちらの方が効率が良いという無茶苦茶っぷり。

  • しかもこのゲーム、「食材を倒した側に調理の優先権が発生する」という仕様ではない。つまり、相手が倒した食材を横取り調理することができてしまう。
  • のんきに必殺仕上げ技を繰り出せる状況は少ないため、料理と解説のコンプリートの高難易度化に拍車を掛けている。
  • ぶっちゃけ、まともにポイント勝負をするなら相手の料理を奪った方が効率が良いため、そこまでやりこむプレイヤーはほとんど居なかったが。

敵料理人は負けると主人公の料理を食べて、上記の『味っ子』を彷彿とさせる解説をするが、それはお前から奪った料理だってのはよくあることである。

  • ストーリーモードでは、敵の面々は「料理とは力だ!」と事あるごとに主張し、主人公は「違う!料理は心だ!」と叫ぶのだが、敵の料理を奪った方が良いのだからやっぱり「料理は力」である。
  • 挙げ句、勝利時の主人公の台詞は「心の料理、調理完了!」である。どの口が言うか。
  • こんなシステムでありながら、本編のセリフは「おたまは人を殴る道具じゃない*3」「料理人なら料理でケリをつけたらどうだ?」「所詮、料理人は料理でしか語れない」。…え?

作画にやる気が感じられんぞ!

ストーリーパートは1枚絵+フルボイスの紙芝居で、たまにアニメーションする。PCエンジン時代のムービーに近い。しかしこのストーリーモードの作画がハッキリ言ってヘタである。

  • キャラの顔は不安定な上にデッサンが常に狂っており、胴体とのパースもおかしく、いやに漫画チックでありゲームの絵に向いていない。
  • アンチエイリアスが無く、まるで昔のペイントで色を塗ったような絵もある。
  • その不安定さや下手さたるや……80~90年代の少年漫画雑誌の期待されてもいない新人漫画家の初連載の絵のような状態であるといえば少しは伝わるだろうか?

そもそも料理がテーマなのに、肝心の料理の絵が全くと言っていいほど出てこない。


ゲームとしても問題だらけだ馬鹿者!

そもそもストーリーモードはプレイするシーンは少なく、プレイ時間の大半はイベントシーンを見せられる。

バトルパートでも頻繁にイベントが挟まる。それもアクションゲームやRPGのような挟まり方ではなく、いちいちバトルパートを中断してイベント画面に切り替わるので、テンポが損なわれるどころの話ではない。最初から最後までの一貫した勝負と言うのがなかなか出来ないのはどういう事か…。


つまるところ、バトルに関しては対戦モードで存分に楽しんでね、と言う事らしい。


一番盛り上がるクライマックスも、ゲームとしては問題。

ネタバレになるが、最後の対戦相手は主人公の父親・味魔王。決着後、ラスボスである巨大な怪物が出現し、最後の戦いが始まる。

兄やライバル達と共に最凶の敵に立ち向かい、死闘の末にヒロインを救い出し、勝利する。クライマックスらしく盛り上がるシーンである。

……が、なんとその一連の流れは全てイベントで済まされる。

要するに前哨戦だけ操作して、最終決戦は見てるだけなのである。

ご丁寧にラスボスを前にして主人公は「これが最後の、クッキングバトルゥゥゥッッ!!」と叫ぶのだが、実際はただ見るだけなのでは拍子抜けもいい所である。


料理の熱い解説はストーリーモードでしか見る事が出来ない。

アルバムモードでは普通の解説を読む事しか出来ないので、熱く解説してもらいたければいちいちストーリーを見なければならない。料理の数も多い為、熱い解説を見て回るのは非常に面倒であるし、また同じ解説を観賞したい場合でもまたストーリーモードのバトルで料理の調整をする必要がある。


違う!このゲームはバカゲーだッ!!

パロディ、突っ込み所で塗れているッ!!

冒頭で触れた通り、本作は今川監督の作品『ミスター味っ子』『機動武闘伝Gガンダム』のパロディに塗れている。以下はその一例。

  • 主人公ハオは『Gガン』の主人公ドモン・カッシュに、その父親の味魔王はドモンの師匠のマスターアジアにそっくり。
  • ハオのCVは檜山修之。ドモン役の関智一に負けないほど熱い叫びに定評のある声優だけあり、登場当初のクールな振る舞いから、全編を通して上げ続ける熱い叫びまで見事に演じ切っている。本作の熱苦しさは檜山氏の熱演による所が大きい。そして味魔王のCVは『味っ子』の味皇を演じた藤本譲である。料理解説のシーンは正に味皇そのもの。
  • 見た目だけではなく設定や立ち振る舞いも相当似通っている。挙句、ハオとドモンは年齢まで同じ。
  • 主人公が本気を出すと金色のオーラを発する*7。
  • 父親と主人公が会うと、いきなり殴り合いを始める*8。
  • 上記のストーリー的な意味でのラスボスにヒロインが取り込まれる。そしてラスボスは最期は主人公とヒロインの「愛の力」で消し飛ばされる*9。
  • スタッフロールの最後に表示される一枚絵は『Gガン』の後期EDアニメ殆どそのまま。最後までパロディを忘れない。
  • 主人公の兄は敵側の人間でありながら忍者に変装し、正体を隠して主人公を導く。
  • 主人公のライバル的ポジションのキャラが登場早々「アタシの料理が美味いだって?そんな事は当たり前!当たり前!当たり前ーっ!!」と自画自賛する。

尚、これらの元ネタ作品はプロデューサー曰く「バイブルのようなもの」らしく、これらもあくまでオマージュとの事である。


物語の構造も悪いことはない。

謎めいた主人公が颯爽と活躍する冒頭を始め、ライバルとの出会い、ヒロインとの交流、トラウマを克服してのパワーアップ、激闘を経ての敵との和解など、この手の作品のツボは押さえており、ストーリーの骨組みはしっかりしている。その中でツッコミ所満載の暑苦しいやりとりが絶え間なく続く訳なので、波長が合う人は大いに燃えながら笑える事だろう。


ボイス周りも無駄に豪華だァッ!!

上述の檜山・藤本両氏の他、ヒロイン・クミン役の田村ゆかりをはじめ、三石琴乃や先述した鈴置洋孝二又一成長嶝高士などやたら豪華な声優陣が声を当てている。今川監督作品の常連だった石森達幸も参加している。

しかもストーリー・料理バトルパート共にフルボイスという大盤振る舞い。キャラボイスがないシーンは1つもない。

声優陣の演技は非常に良く、モブキャラにすら棒読みは一切無い。よってストーリーモードの変な作画と合わさって絵はおかしいのに声は一流というカオスなことになっている。後年、プロデューサーに「声だけは誰が何と言おうと超一流」と言わしめたほど。

ストーリーは勿論、料理解説も声優の熱演が光り輝く。無心で料理を貪る鈴置氏の声が聞ける作品は本作位のものではないだろうか。


セーブ&ロード時には檜山氏の「セェーブッ中ッッ!!」「ロォードッ中ッッ!!」という熱いボイスが入る。うるせぇ。


まだまだ評価点はあるぜッ!!

  • 料理シーンはグラフィック、演出などがよく作られており、システムもユニークで光るものがあった。
  • 一話のモブキャラ「オヤジ」と一話の雑魚キャラ「ザコ」が、フリー対戦モードでプレイアブルキャラとして操作できるのも爆笑物。
  • BGMは熱い曲が揃っており、暑苦しい物語を更に熱く盛り上げている。…ギャグなのかシリアスなのかは別にして。

これがッ!!このゲームの総評だァァッッ!!!

ゲームとしては操作する機会が少ない、システムに難がある、ビジュアルが悪いなど、問題点だらけではあるが、それすらネタの一環とすら思える日本一ソフトウェア渾身のバカゲーである。

むしろ、ゲーム性よりもバカゲーっぷりを楽しむことの方にあえて主眼を置いてるといっても過言ではない程である。

失笑・爆笑・腰砕け・どん引きのパロディネタてんこもりの作風は同メーカーの魔界戦記ディスガイアシリーズに受け継がれていくこととなる。


しかしこの無駄な熱さと、おバカなやり取りに大真面目にぶつかっていく恥も外聞も捨てた思い切りの良さはディスガイアにさえも受け継がれておらず、

20年も経った今も尚、数ある日本一ソフトウェア作品の中でも本作は異彩を放ち続けている。受け継がれなくて正解だが。

ゲームアーカイブス版が配信されている今、この熱量無限大のおバカさに胸を滾らせてみたくなった奇特な方は、

暑苦しいクッキングバトルの世界に身を投じてみるのもいいかもしれない。色んな意味でお腹一杯になる事請け合いである。但し、お腹を壊しても自己責任で。


実は本作の脚本、及び料理解説は『久遠の絆』を生み出した加藤直樹小林且典の両名によるものだったりする。何やってんですか。


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日本一ソフトウェア プレイステーション バカゲー 料理 パロディ

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