私はいろ/\だめなのです‥‥。
――「哀しき父」
概要
1887年、現在の弘前市出身。最終学歴は(今の)東洋大学除名。
自身のダメさ(病気・貧困・生活力のなさ、酒に呑まれまくりな人生、他人と問題起こしまくりな困った性格、家族をも容赦なく犠牲にする人でなしっぷり等)を赤裸々に曝け出し書き綴った作品群で知られる、別名「私小説の神様」。
代表作は『哀しき父』『子をつれて』『酔狂者の独白』など。
1928年、結核のため死去。享年41。
人物、評価ほか
とにかく筋金入りのダメ人間。今ではあまり顧みられないため例の文豪三大クズ(石川啄木・中原中也・太宰治)に比べて知名度では劣るが、その酷さは充分タメを張れるか下手すりゃ凌駕するレベル。その作品を読んで「何だコイツ?」とムカッ腹が立ったらあなたは全く正常です、と言い切ってもいい。
ただしその身勝手極まりない破天荒さ・破滅性を突き抜けた先にある(といわれる)文学に対する評価は一様に高く、その臨終や葬儀の席にはこれまで散々迷惑をかけ怒らせてきた文学仲間や知友たちが多数つめかけたり、「善蔵の死で日本純文学(私小説)は滅びた!」と嘆き節を吐いた者もいた程。あの芥川龍之介でさえも「葛西善蔵の芸術にはちょっといいところがあるな。いまいましいが」と評したという(佐藤春夫の回想による)。