蒼穹紅蓮隊
そうきゅうぐれんたい
俺たち危険代行部隊。敵迎撃が会社の業務さ!
1996年9月に業務用作品としてライジング(現:エイティング)から発売された、全6面で構成される横画面・縦スクロール方式のシューティングゲーム。セガサターン(以下:SS)と互換性のあるST-V基板が採用されている。
企画・プログラムはかつてコンパイルで多くのシューティング作品に携わり、ライジング移籍後も『魔法大作戦』シリーズを手がけた外山雄一、BGMは『伝説のオウガバトル』や『マジカルチェイス』等数々のゲームミュージックを手がけた崎元仁が担当。
地球環境の悪化が極まり、人類移住の地を求めて火星のテラフォーミング計画が進められる時代。大手宇宙開発企業尽星の私設自衛部隊JDFは、蒼穹を紅蓮の炎で染め上げるような荒くれた働きから蒼穹紅蓮隊と俗称されていた(愚連隊ではない。まぁ意識はしているだろうが)。隊所属のパイロットである主人公達は、各々の大義名分を掲げ尽星の施設へ侵攻する企業テログループや過激派環境保護団体等と応戦しつつ、その裏で糸を引く競合企業八福星間開発公司と火星開発の主導権をめぐる武力抗争へ身を投じてゆく。
各面開始時の状況説明やボス戦前の警告、果てはエンディングのスタッフ表記に至るまで、作中のメッセージはほぼ一貫して太文字の明朝体で行われる。発売前後の時期に社会現象化していたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の演出との類似性を指摘する声も挙がっていたが、外山氏の弁によれば同作品の模倣やオマージュ等ではなく偶然の一致との事である(発売タイミング的にもエヴァ放送前から開発が始まっていたうえ、そもそもこの演出の元祖はエヴァではなく市川崑監督の『犬神家の一族』(1976年)である。従って本作を「エヴァのパクリ」呼ばわりすること自体全くの無意味である。)。
また、外山氏は「開発中盤でエヴァの放送が始まり、『エヴァをパクった』と思われるのが嫌だったので、表現がなるべく似ないようにあれこれ気を使った。特にエヴァ語(やそれを想起させる言葉)とか例の文字の並びを折り曲げるレイアウトは絶対に禁止とした。」とインタビューでコメントしているように相当の気苦労があったことは想像に難くない。
アーケード版稼動開始から約半年後の1997年2月にはSS移植版がエレクトロニック・アーツ・ビクターより発売され、同年12月にSS版『バトルガレッガ』の体験版等が収録された廉価版の『蒼穹紅蓮隊 御徳用』が発売された。また、同じ月にプレイステーション(以下:PS)用移植版『蒼穹紅蓮隊 黄武出撃』がデータイーストより発売(後に廉価版がハムスターから発売されている。)。原作を再現したアーケードモードの他に、アレンジ版となるスペシャルモードが収録されており、こちらでは設定上のみの存在だった機体黄武が自機として使用可能な他、新たなステージとボスも追加されている。更に面クリア毎デモムービーが再生されたりゲーム中随所でオペレーター鴻巣千尋(コウノス チヒロ)のボイスが挿入される等、演出面の変化も確認できる。
海外では『Terra Diver』のタイトルで発売されており、パイロット名が若干変更されている他、自機の名称も魚介類をモチーフとしたものへ変更されている等、細部が日本版とは異なっている。
8方向レバーとボタン3つで操作する。ショットボタンは同高度へのショットを放ち、長押しする事で下記N.A.L.S.によるウェブを展開する。ボムボタンはボムの発射、ウェブボタンはウェブの切り替え。詳細は以下の通り。
N.A.L.S.
N.A.L.S.とはNo Blindspot All range Laser System(全方位照準固定システム)の略称。ショットボタンを押したままにすると、ワイヤーフレーム状のウェブ(ロックオンサイト)が自機を中心に展開される。ウェブの範囲内に敵を捉えるとロックオンし、ボタンを離すとロックオンした敵に対し各種誘導弾を発射して攻撃を行う。
N.A.L.S.の名が示す通りウェブは自機の全方位に指向可能で、ショットの届かない高高度や低高度の敵も攻撃可能。またウェブボタンで、ロックオン可能範囲を重視した拡散型とロックオン可能範囲が狭い代わりに威力を重視した集中型の2タイプに常時切り替える事ができる。
ただし、ショットボタンを押したままにするという性質上ウェブ展開時はショットを撃つ事が不可能になり、敵の誘導ミサイル(ショットで撃墜可能)が飛び交うような場面では無防備となってしまう。
N.A.L.S.で撃破した敵の数が4機以上であればスコアに倍率がかかるが、撃破した敵の数が2機以下だと獲得するスコアが1/2に減点されてしまう。
ボム
言わずと知れた有限武装。自機の前方に巨大な火球を発生させて範囲内の敵にダメージを与え、敵弾を消滅させる効果を持つ。ウェブを展開した状態で使用すると16発の小規模なボムに変化して射出され、敵をロックオンしている場合はロックした敵目掛けて小ボムが飛んで行き、ロックオンしていない場合は自機を取り囲むように周辺で炸裂する。
発射の瞬間から自機が短時間無敵になるので緊急回避性能も高いが、ボムで撃破した際に加算されるスコアは例外無く1/4にまで減点されてしまう。
尚、AC版とSS版にはボムストックに関するバグが有る。これはボムのストック数を最大(7個)まで保持し、以降もボムを使わずに重ね取りすると8個目が1000点、9個目が4000点、10個目が16000点・・・とボーナス点が入るのだが、11個目以降は65万5371点という通常ではまず得られることのないボーナス点がいきなり入る。(尚、PS版ではこのバグが修正された)
※パイロットの解説に関しては各リンク先を参照。
S.O.Q-004 屠龍(トリュウ)
拡散型ウェブ:半自立荷電曳導弾(EI-DOU)
集中型ウェブ:渦状磁界重粒子弾(PINPOINT)
最大ロックオン数:6
パイロット:八指多薫(ヤシダ カオル)
海外版名称:SWORDFISH
最大ロックオン可能数は各機中最も少なく突出した能力こそ無いが、クセが無く扱いやすい機体。
S.O.Q-010 紫電(シデン)
拡散型ウェブ:全天熱光留照射機(ALLRANGE)
集中型ウェブ:自己索識膨粒子弾(BOU-RYU)
最大ロックオン数:7
パイロット:朏良太(ミカヅキ リョウタ)
海外版名称:MACKEREL
移動スピードが速く、拡散型ウェブはとりわけ広範囲にロックオン可能だが、総合的な火力は他の2機よりも劣る為、その火力不足を補う為にマイクロミサイルポッドを追加搭載している(ショットと同時に発射されるサブウェポン扱い)。
尽星が本社を構える大田区の上空に所属不明機が現れ、八指多と朏が緊急出動した本社襲撃未遂事件。その騒ぎとほぼ同時刻に尽星のカタパルトビルから人知れず飛び立つ、謎の機影があった。定例報告の為、赴任先の月から戻っていた国村がそのイルカに似た機体と遭遇。見慣れない機体を照会する鵬牙のモニターに弓八幡と言う識別コードが浮かんだ後、N.A.L.S.に捕捉された事を示す振動が国村を襲った……
雑誌SEGA SATURN MAGAZINE誌上で小説化され、1997年9月19日号から翌年3月20日号にかけて連載された。作者は石田祐一、挿絵は木下ともたけ。全24回。設定上最後発となる機体S.O.Q-027 弓八幡(ユミヤワタ)とその開発者の存在を軸に、原作とはパラレルに物語は展開してゆく。
2016年1月14日に角川ゲームスより発売された『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』のDLCモードで使用可能なエイティングの歴代STG『魔法大作戦』と『バトルガレッガ』の自機と共に参戦(PlayStation Storeにて324円で発売、3種セットのエイティングパックは777円)。
使用できるのは屠龍(ゲーム中では「TO-RYU」と記載)のみだが、N.A.L.S.を使った攻撃はバッチリ再現されており、ロックオンで敵を倒した際にかかるスコアの倍率は5倍にまで増え、基本倍率と併せて最大80倍にまで達する。更にロックオンでの撃破数が少ない時の減点は無くなり、ウェブ展開中でもショットを撃つ事が可能になっている。
ボムは原作のようなストック方式ではなく敵にダメージを与えると増加するゲージが満タンになると使用可能になる方式に変更された。ボムで敵を撃破した際の減点も廃止されており、スコアに3倍の倍率がかかるようになった(最大で48倍)。
ちなみに『蒼穹紅蓮隊』専用ステージ選択時に限り、ボス戦突入時のWARNING!が原作と同様の明朝体による日本語表記に変わる演出がある。