見る猿、聞く猿、言う猿、
みるざるきくざるいうざる
見る猿、聞く猿、言う猿、とは、SEKIROに登場するボスの一つ。
金剛山仙峯寺の奥にある本堂で鐘を鳴らすことで行くことのできるエリア、幻廊にて戦うことになる。
複数体で一体のボスであり、いわゆるギミックボスの一つである。
基本的には強敵との死闘を目的としている本ゲームにおいては珍しい、明確に弱く設定された敵。
しかし、ギミックボスとしては少し捻った仕掛けが用意されており、その仕掛けが読み解けなければクリアは困難となっている。
基本的には戦闘能力はほぼ無く、幻廊中を逃げ回る三匹の猿を追い回して捕まえるだけである。
このとき、猿はその身軽さから幻廊の屋根上や天井裏などをとにかく逃げ回る為、プレイヤーは基本的には鉤縄を駆使して猿を追い回すことが本ステージにおけるギミックとなる。
とは言うものの、戦っていてプレイヤーが死なないということは無く、戦闘能力の高さに主眼を置かれた他のボスキャラとは違い、幻廊中を走り回っているうちに誤って転落するなどで死亡することが多い。
屏風の猿
狼が幻廊に到着して最初に見つけた物。
二枚の絵を繋げた屏風が二組あり、それぞれに後述する三匹の猿が描かれているが、一枚には何も描かれていない。
見る猿
紫色の着物を着た猿。眼鏡を掛けている。
目がよいため、遠くからでも姿を見られ逃げられてしまう。
聞く猿
緑色の着物を着た猿。編み笠をエリザベスカラーのように着けている。
耳がよいため、遠くからでも音に気付かれ逃げられてしまう。
言う猿
橙色の着物を着た猿。首に小さな銅鑼を掛けている。
目も耳も特別良くないが、こちらを見つけると銅鑼を鳴らして大騒ぎし、他の猿たちに存在を知らせてしまう。
これ以外にも、屏風の猿を捕まえるごとに、幻影の猿が出現するようになる。
幻影の猿は屏風の猿たちとは違い攻撃をしてくる上、ゲージが貯まると即死する怖気属性を付与してくるので、本ボスにおける攻撃要因と言える。
仙峯寺の本堂に置かれている幻廊の鈴を鳴らすことで行くことのできる建物。
基本的には、日本の寺における回廊をそのまま高層建築化したような建築物だが、回廊の中央に生えている楓の木や、回廊の一角に降り注ぐ空中から出現する滝など、葦名の国に登場する建築物の中では、源の宮に並ぶほど奇妙な要素でできている。
どうも幻廊そのものが作品世界における現実の世界とは切り離された場所であるらしく、フロムソフトウェアにおけるおなじみの要素である、ダークソウルシリーズにおける絵画世界や、Bloodborneにおける夢や悪夢に当たる。
幻廊の僧侶
幻廊に到着した当時は、楓の木の前で祈りを捧げている僧侶。
猿の名前とその特徴をプレイヤーに教えてくれる人であり、彼の言葉を元に猿たちに挑むことになる。
また、彼曰く、以前にも幻廊に入り猿たちに挑んだ者がいたと言うが、それが誰であるのかは不明。
小太郎
仙峯寺で初めて出会うNPC。
本作におけるエネミーの一種である太郎兵の一人と思われ、彼の頼みで義手忍具の一つである神隠しを使うと、彼はこの幻廊に移動する。
彼の言によると、元々小太郎は変若の御子の世話係であったらしく、幻廊に移動して以降は、亡くなってしまった変若の御子たちの魂が見えるようで、彼らに話しかけている。
見る猿、聞く猿、言う猿、を撃破することで、彼女のいる奥の院に行くことができる。
奥の院と幻廊は直接行き来することができ、フラグ次第では幻廊にいる彼女の姿を目撃することもできる。
彼女によると、猿たちはあくまでも変若の御子を守ろうとしただけとのこと。
見る猿、聞く猿、言う猿、
幻廊を護る、変若の御子の友たちであった
半竜プリシラ…エレーミアス絵画世界を守るボス。彼女も変若の御子同様、絵画世界の住民をフォローする言葉を言う。
悪夢の主、ミコラーシュ…Bloodborneにおけるボス。幻廊の猿達と同様に特殊な造りの建物の中を逃げ回るボスという共通点がある。
三猿…元ネタ。
ネタバレ
見え猿
四匹目の猿。ボス名を見ると、言う猿の後にも「、」があり、これがこの猿を示している。
この猿はメスなのか、尼頭巾、いわゆる尼さんが使う白い頭巾を被っている。
実は見え猿の初期位置は狼のすぐ後ろで、開幕からずっと狼の背後に付いてきているのである。
しかしその姿は完全な透明であるため、初見ではその存在に気づく者は少ない。プレイヤーの中には、ヘッドホンから流れてくる音声からその存在に気づいた者もいたようだが、基本的には先の三匹の猿を倒して初めて、最後の一匹がいることに気づくこととなる。
幻廊のギミックには、泥や風などの要素で足跡が目に付く場所がある為、そこを利用してどこにいるかが把握できるようになっている。
この猿も倒してステージをクリアすると、最初に見かけた屏風には見え猿を含めた四匹の猿の後姿が描かれることになる。
元ネタは言わずもがな、日光東照宮の彫刻で有名な「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿である。
そのダジャレめいた名前から日本発祥と思いがちだが、その起源はかなり古く、起源は孔子の論語とも、古代エジプトの猿に対する信仰とも言われている。
それ故に日本だけではなく世界中に伝承が伝わっており、英語圏でもSee no evil, hear no evil, speak no evil.ということわざが知られている。
一方で、この三猿にもう一匹加えて四猿とする国や地域も多く、最後の一匹に何を加えるかは国ごとに違うが、そのうちの一匹には「思わざる」すなわち、「悪いことはそもそも考えない」という教えを加えることがある。このあたりは何となく見え猿を思わせる要素である。
そして、この三猿に由来するのか、あるいは別の理由かは不明だが、SEKIROでは猿と仏は関連付けられて登場する節がある。
多少の例外はあるものの、寺や仏像の存在するエリアには、ほぼ必ずと言っていいほど敵エネミーとして猿が出現する、もしくは猿を連想させる何かがあることが多い。
この猿と仏の関係で特に印象深いのは、拠点となる荒れ寺に籠っている、かつて飛び猿や猩々の名前を持った荒れ寺の仏師と、巨大な仏像のあるエリアで戦うことになる本作のトラウマボスとして有名な獅子猿だろうか。
また、竜の帰郷エンドは、狼と変若の御子が西に向かうという内容となっているが、僧侶と共に西に向かって旅する猿の物語は日本でも古来から人気のファンタジー物語である。
幻廊の僧侶の言う「以前ここを訪れた者」は、一説には丈の従者であった巴のことであるとも言われているが、この僧侶自身のことを話しているとも言われている。
無論、上記の話は全てあくまでも考察の一つでしかない為、実際のところの意図はわからないし、例外もあるので絶対とは言い切れない。真実が分からないこそ、想像の余地があるのである。
幻廊は、生死の狭間にある
変若の御子たちの亡魂も、たゆたっており
屏風の猿たちに宿り、動かした
変若の御子が、友と呼ぶのもそれ故だ
初見殺し…初見殺しと言うより、初見騙し。そのギミック上、一度タネが割れてしまえば、ほぼ苦労することなく倒せるボスである。