概要
えんどう豆から発芽した若菜。
その歴史
食材としての起源は大昔の中国にまで遡る。
当時は若菜であるが故に収穫時期が大きく限定されており、尚且つ収穫量も豆と比べて少なった為、貴族等の上流階級や正月の時位しか食べる事の許されない高級食材であった。
尚、豆苗自体は紀元前の南西アジアで栽培されていた為に歴史はかなり古く、更にはツタンカーメンの副葬品として発見される等、太古より貴重な作物だった事が窺える。
日本における豆苗
日本での豆苗の歴史は意外と浅く、最初はえんどう豆を食べるだけだったが、1970年代に入ってから漸く食材としての価値が見出された。
1970年代に入り、日中の国交が回復して以降、中華料理が流入して来た事で豆苗は漸く日本でも食材としての価値を見出される様になる。
当時は高級料理に使用されていた事もあって一般家庭には程遠かったが1995年頃から、植物工場で豆を発芽させた状態の豆苗が栽培される様になった事で年間通して安定生産が可能となった。
その生産方法は工場内で発芽させ、10日前後まで成長させた物を出荷すると言う物で、これによって市場へ安定して流通する様になった事で一気に庶民的な食材になった。それでも基本的に地味で日の目を見る事が無かったが、2008年のリーマンショックを受けてその需要は急速に伸びている。
自家栽培と再収穫
豆苗最大のメリットと言えば再収穫だろう。
市販では根が付いた状態で販売される事が多い為、可食部である茎の部分を切り取って使っても、根を受け皿となる容器等に入れて水に浸し、日光に当てると再び脇芽が伸びて再収穫が出来る。
日毎に水を換えれば、季節にもよるが1~2週間程度で茎が20㎝まで再成長するので素人でも簡単に栽培が可能。
同時にこの水耕栽培こそが、豆苗を節約生活の友たらしめる所以なのだ。
収穫する際は、豆から近い所から生えた2本の脇芽が残るように切ると良い。
但し、成長するのは根の部分に残った脇芽である点と、そもそも豆自体の持つ養分も有限である点から、再収穫回数にも限度が有る。
成長を繰り返すと、回数に比例して脇芽や豆自体の養分が枯渇する為、細菌に対する抵抗力が弱まり、成長率も低くなってしまう。そうなれば当然、雑菌が繁殖する等のトラブルが生じ易くなる。
こうしたリスクから、再収穫は2回か良くて3回が限度である。
栽培の際の注意点として豆は窒息に弱い事が挙げられる。故に、豆が水を被らない程度に受け皿へ給水する点と、最低でも一日に一度は水を換える点が肝要。
尚、製品によってはパッケージに再収穫の方法が書かれているので、そちらも参考にするのが良いだろう。
しっかり栽培すれば豆苗どころかエンドウ豆の収穫が可能なまで育てられる為、チャレンジする価値は十分にある。
調理方法
1.サラダ
元がえんどう豆である為、それのほのかな香りと甘味が特徴で、食感もほうれん草の様に灰汁が無くてショキショキしていて嚙み心地は良い。その為、生でサラダに添えて使われる。
但し、2~3度目に再収穫した茎は本体の養分が少なくなっている可能性が高く、細菌の繁殖も予想される為に要注意。やはり生で食べるなら購入直後が理想的。
2.炒め物
サラダの添え物だけでなく、野菜炒め等の具材としてメインも張れるのが豆苗の特長。上記の通り灰汁が少ない為、下茹での必要が無い点が炒め物の具材としての強みとなっている。
3.スープ・鍋物
スープ等で玉子と一緒にすると、えんどう豆の甘い香りが良いエッセンスとなってとても美味しい。
4.デザート
何と、ペースト状にすればシフォンケーキや餅の餡の具材にもなる。
味もそれ程主張しない為、健康志向の方にはお勧めのスイーツとなるだろう。
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上京生活録イチジョウ:今作品の第3話で豆苗がネタになった。