賭博堕天録カイジ
とばくだてんろくかいじ
福本伸行によるギャンブル漫画『カイジ』シリーズ第4部「渇望の血編」を総称する作品名。講談社『週刊ヤングマガジン』にて2004年から連載開始され、2008年に完結した(全13巻)。休養期間を挟んで翌2009年からは「和也編」が3年間掲載され(全10巻)、また休止期間を挟み2013年からは「ワン・ポーカー編」が4年間掲載された。次号からは「24億脱出編」が掲載され、現在も連載中。
17歩編
『賭博破戒録カイジ』の「沼」での大勝利の末、遂に借金を完済したカイジだったが、坂崎家に居つき全く働かずにニート暮らしを続けていた。憤慨した坂崎孝太郎は「娘をたぶらかさないでくれ」と一方的に言い放ち、カイジに手切れ金300万円を渡そうとする(もっとも、娘の件はカイジにとって願ったり叶ったりだったのだが…)。そんな中、カイジはかつて地下カジノで一緒に戦った三好・前田と再会し、勤め先の上司がギャンブル狂で、給料を奪い取っていることを知らされる。彼らから上司・村岡隆とのギャンブル勝負に勝てば大金を得られると知ったカイジは、手切れ金の300万円を携え村岡との勝負に挑む。
思いかけず再び孤立無援の死闘となった「17歩」で、カイジは4時間に及ぶ乱戦の末に村岡を下し、4億8千万円の大金を得る。そして勝負の立会人となっていた帝愛グループ総帥である兵藤和尊の息子・兵藤和也に勝負を申し込まれ承諾する。カイジは帝愛グループ傘下のレストランへ案内され、小説家という和也の目標と、その「取材」のためにたびたび危険なギャンブルを企画し、多くの人命を奪ったその所業を知る。土壇場で裏切るのが人間の真実と言う和也を、カイジは全否定。その言い合いを契機に、友情確認ゲーム「救出」による人間性の実験、カイジと和也の勝負が始まった。
これまでと異なり、カイジ自身が危険なギャンブルそのものに参加せず観戦の立場にあるのが特徴。
和也編
「救出」に挑むのは日本人の光山、中国人のチャン、フィリピン人のマリオのアジア3人組。3人は幾度となくピンチを迎えながらも成功を重ねるが、疑念と保身、友愛と自己愛を巡る死闘の末、光山の裏切りによって「救出」は終了。カイジは敗者となったマリオ・チャンの7045万円の負債を肩代わりし二人を救命、さらに仲間に引き入れる。しかし和也は似非の友情と決めつけ激怒、カイジらを潰すため、新たなギャンブル「ワン・ポーカー」を提案。カイジVS和也の対決の火蓋が切られた。
ワン・ポーカー編
カイジは圧倒的に不利なスタートから混戦へ持ち込むものの、和也の強運により一旦は敗北。代わりに自らの命を賭けた延長戦でも敗北を喫するが、チャンとマリオの献身によって、3人の命を賭けた再延長戦へ突入する。カイジたちの命を顧みない狂気に翻弄され、追い込まれた和也は禁断のイカサマを発動。そして4人全員の命を賭ける乱戦へと発展した闘いは、24回戦に及ぶ死闘の末にカイジが勝利、24億円の大金を得た。
その後、カイジたちは敗者となった和也を処刑の危機から救出。無事に勝ち金を持ち帰るために、帝愛の目からの逃亡を開始した。
24億脱出編
ギャンブルで和也から24億円を勝ち取ったカイジたちだったが、帝愛がそれを認めるはずがなかった。
帝愛の黒服達は出口を封鎖しようとするがカイジたちはとっさの判断で建物から脱出。しかし帝愛はカイジと行動を共にしたこともある遠藤勇次を追跡のリーダーとし、カイジたち一行を捕らえるべく行動を開始する。カイジVS帝愛の日本全土を舞台とした逃走劇が幕を上げた。
今までは「ギャンブル」を漫画のメインとして取り扱ってきた本作だが、この章ではカイジたちがいかに帝愛の行動を読み逃げおおせるかという逃走劇が主題となっている。
その為「路線変更か?」という読者もいるが、実際の所は高度なゲーム理論が展開されており(下らないギャグも挟まれてはいるが)、ある意味これも生死を賭けたギャンブルといえなくもない。