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阿里山森林鐵路は、台湾中西部の阿里山に敷設された森林鉄道。

現在は観光客や登山客などを運ぶ観光路線として中華民国行政院農業委員会林務局(日本の林野庁に相当)によって運行されている。

概要

標高30mの嘉義駅から、途中渦巻き状のスパイラル線やスイッチバックを駆使して標高2400mを超える山岳地帯へと至る軌間762㎜の軽便鉄道である。発駅から終点までの標高差は実に2000mを超えており、車両は小さいながらも立派な登山鉄道でもあるともいえる。

もともとは、日本統治時代になどの材木の産出を目的として1906年から建設が開始された。本線に当たる嘉義~二萬平は1912年(大正元年)、その2年後に沼平まで開業。その周辺には何本もの林場線が敷かれた。

林業のための路線であったが、1980年代まで自動車道が整備されていなかったため、林業従事者のみならず山の上の集落の住民や登山客のかけがえのない足として活用された。

多数建設された支線のうち自忠線(廃止)は沼平から自忠を経て新高口へ至るもので、台湾(と大日本帝国)の最高峰である玉山(~1945:新高山)への登山客に重宝された。

現在は観光路線へと転換され、嘉義~沼平駅の本線(阿里山線)と数本の支線が残るが、このうち本線は台風による豪雨などで一部が崩落し不通区間があるほか、眠月線は1999年(民国88年)の台湾大地震によって線路が崩落したため休止中。

他方、1986年(民国75年)に開業した祝山線は、ご来光を拝む観光客のために建設され、その後もご来光のための列車のみが運行される世界でも珍しい観光路線である。終点の祝山駅には台湾最高所の駅(標高2451m)を示す碑が立っている。

車両

阿里山の名物は米国ライマ社製のシェイ式蒸気機関車である。

最初のシェイ式は1907年に導入された13t機で、その後18t機と3シリンダ式28t機が導入された。

現在でも、使用された18t/28t機のうち大多数が保存されており、このうち28t機の中の2両は石油燃焼式に改造されて動態保存されている。

内燃機関車の導入は1926年から始められた。現在の主力は日本車両製の28tディーゼル機関車である。

客車は林業に供されていた頃は赤色に塗られた木造の簡素な車両だったが、観光路線に転換後は冷房を備えた阿里山號や総檜造りの檜木車輌など意欲作が導入されている。列車の機関車は全て麓側(嘉義寄り)に繋がれるため、客車の先頭部分に保安掛が乗るスペースがある。

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