概要
世界で唯一の、首が撥ねられてなお一年半以上生きたニワトリ。顔がないので自力では餌や水を接種できず、喉に管を通して流動食や水をスポイトで与えられていたとか。
時は1945年、アメリカのコロラド州にある農場で1羽の雄鶏ニワトリが首を撥ねられた。
首を撥ねられた後もそのニワトリは動き回っていたが、これ自体は割とよくあることであり、大抵の場合は程なく死亡する。このニワトリもまた例外ではない…はずであった。
しかし、そのニワトリは一向に死ぬ気配を見せず、首が無いにも拘らず平然と生き続け、あまりの状況に農場の人々もこのニワトリを肉にするのを思いとどまった。
それから程なくして「マイク」と命名されたこのニワトリのうわさは瞬く間に広まり、見世物小屋で展示されたマイクは「奇跡の鶏」として新聞や雑誌に載るほどに有名となった。
首を撥ねられてなおも18か月も生きた鶏だったが、最期は餌を喉に詰まらせて窒息を起こし死亡した。首を撥ねられて死因が窒息死だったのはマイク以外にいないだろう。
なおマイクが飼われていた農場がある地域では、この世にも珍しい首なし鶏の記念日が設けられており、5月にはその生命力を称えるお祭りも行われている。
またやはりというか多くの人が第二のマイクを作ろうと試み、中には町にいた鶏全部を買い取ってまで再現しようとした人もいたらしいが、もちろんすべて失敗に終わった。そしてマイクが死ぬとブームも去り、再現を狙った「鶏首狩りチャレンジ」は行われなくなったという。
後述するように「生存できた条件」が判明しているマイクだが、だからといって狙って造れる存在ではないようだ。
ちなみに飼い主は「これは生への執念」と語っていた。
何故マイクは生きられたのか?
ユタ大学での検査の結果、このニワトリはこの状態でも生物学的に「生きていた」ことがちゃんと証明されている。
頸動脈が凝固した血液で塞がれ、なおかつ脳の大部分が残っていた為に生きられたと考えられている。
通常、首を撥ねられれば頸動脈から多量に出血するうえ、生命維持に必要不可欠な脳幹が失われる。なので即死するか、それを免れてもどのみちわずかな時間で死亡する。
だがマイクの場合、
撥ねられた時の切り口がたまたま脳幹を外れていたうえ、すぐに傷口の血が固まったため、頸動脈からの大出血が防がれた
という神憑り的な奇跡が起きていた。
しかも片方の耳が残っており、歩くのに必要な三半規管も残存。さらに首を撥ねられても羽繕いなどの動作や食べ物の消化が問題なく行われていたことから、脳の大半の機能も失われずに済んだものと思われる。
関連タグ
ゴキブリ:こちらも首が無くとも暫く生きられる。ただしこちらは脳以外に「第二の脳」というべき器官があることによる。
コケピー:おそらく首なし鶏マイクがモデルだと思われる、チェンソーマン第二部にて登場した首無し鶏。