概要
山形県山形市松波において、古くから伝承されてきたという怪鳥。
魔の力によって巨大になって(全長50mといわれる)「コレダモンナ」と鳴くようになった鳩に、人間の脳髄を埋め込んで誕生した魔界からの使いであるのだという。
人の脳を埋め込まれたことにより、人の意識と動物の凶暴性と混ざり合った怖ろしい存在となり、破壊衝動に支配されては羽ばたきで木造住宅を吹き飛ばし、怪光線を口から吐き出して、それにあたったものは爆発するか溶解してしまう。
しかし動物が好きな人や子供には、一切危害を加えなかったという。
実はこの怪鳥があらわれたのは山形県ではなく、九州の福岡県であり、このような話しが伝わっている。
江戸時代に夷隈梅之助という侍が、オランダ人医師に欺されて脳を鳩のものに入れ替えられてしまい、目覚めた夷隈は己の姿を見て怒り狂い大暴れしたので、福岡の町は灰燼に帰したといわれる。
この話しはちょうど山形藩の商人・武田毅麿が福岡にいたために、這々の体で逃げ帰った際に山形に伝わったとされるが、誰もそのような荒唐無稽な話しは信じず、不思議なことに江戸期の福岡がそのような状況になったという記録も残っていないのだという。
この怪鳥については、今まで知られていなかった奇妙な妖怪譚を次々と発表した高橋敏弘氏によって、地元の古老より聞いた話しとして、『山形民俗』第8号(平成6年)に掲載された「鳩人間と言う怪物」で紹介されたため、情報通の妖怪好きの間で話題となった。
余談
この特撮のシナリオ染みた怪談自体は武田毅麿か別の人物が福岡藩の怪談・人面鳩を元にして作った創作の可能性が濃厚であるが、そもそも怪談自体はオブラートに包まざるを得ない人物や事柄を元ネタにして、仮に追及されてもホラ話で済まそうとする仕様の話も存在する。
300年ほどの期間がある江戸時代のいつ時点で旧山形藩に鳩人間の怪談が伝わったかは不明であるが、第10代福岡藩主黒田斉清が蘭癖大名として知られ、鳥類関連の著作を複数執筆したり、オランダ商館付き医師だったシーボルトと本草学分野で対談しており、元ネタになりそうな人物自体は福岡藩にいたりする。
現代、人面鳩の怪談について言及している資料で知られているのは、上記の「鳩人間と言う怪物」であるために、この妖怪の起源については諸説ある。
関連タグ
武蔵野市:三鷹駅付近にある玉川上水緑地のGoogleストリートビュー(玉川上水緑道)に、頭部がハトの集団が映り込み話題となった。