CETME(西:Centro de Estudios Técnicos de Materiales Especiales/特殊材料技術研究センター)はスペイン政府が運営している研究機関の1つ。本拠地はマドリード。
セトメ・ライフル
1940年代から80年代にかけてCETMEで開発が行われた一連のアサルトライフル。
大まかに分けて試作型の他に7.62×51mm弾仕様のA~D型と5.56mmNATO弾仕様のL型が存在する。
沿革
1949年から開発が始められた。
最初に製作された試作型は、第二次大戦中にドイツのモーゼルに勤務していた技術者 ルートヴィヒ・フォルグリムラ-の指揮で開発されたもので、ドイツで開発された中間弾である7.92×33mm弾を使用するものであった。
作動機構は、大戦末期に試作までこぎ着けたものの量産されなかったStG45を基にしたローラー遅延式ブローバックで、その後の量産型にも引き継がれた。
一方で弾薬は、最初の量産型であるModell A より7.62mmNATO弾から装薬を減らした減装弾に変更された。
1958年に導入されたB型はH&K G3の開発の参考にされたほか、1965年導入のC型には逆にG3のノウハウが取り入れられ、NATO標準弾も使用可能とされた。
その後、小改良版のModell D/Eが開発されたが少数製造されるに留まり、1981年には標準弾薬を5.56mmNATO弾に切り替えると決定。
1985年には弾薬を5.56mmNATO弾に変更したModell L が開発された。
スペインでは一連のセトメ・ライフルは1999年まで主力だったが、現在ではG36に入れ替えられている。
ローラー遅延ブローバック
ボルトの左右にローラーが備わり、バレル側の凹みと噛み合う構造である。
ただしローラー遅延ブローバックの場合、このローラーにはバネによって圧力がかけられているだけで、ボルトとバレル(チャンバー)を完全に固定する構造ではない。つまりこのローラーはボルトの後退を一瞬だけ遅らせる役割しかない訳である。
- バネの圧力はロッキングピースと呼ばれる楔状の部品を介して掛けられる。セトメライフルやG3、HK33などのライフルの場合はバネの力だけでは抵抗力が弱いので、ダメ押しで強力なバネが組み込まれた小さなレバー(ロッキングレバー)でロッキングピースに抵抗力を与え、早期開放を防止している。
一方で、MG42やCz52に使われたローラーロッキングは、バレルとボルト(スライド)がローラーを介して完全に固定される。発砲の反動で双方が僅かに後退するとローラーの固定が解除され、ボルト(スライド)が開放される。(ショートリコイル式の1種である)
つまり、ローラー遅延ブローバックとローラーロッキングは似た構造でも決定的な違いがある訳だが、有名メーカーが自社製のローラー遅延ブローバックの銃をローラーロッキングと宣伝してしまい…