M10ブッカー
もでるてんぶっかー
メーカーによる公式動画
M10ブッカー( M10 Booker )は、アメリカ陸軍が2022年に採用した装甲戦闘車両。
オーストリアとスペインが共同開発したASCOD歩兵戦闘車をもとに、米国のジェネラル・ダイナミクス社が105mm戦車砲を搭載するなどの改良を施した軽戦車型である。
米陸軍が2018年から計画していたMPF計画(Mobile Protected Firepower:機動防護火力)に選定されており、BAEシステムズのM8AGS近代化型とともに最終候補に選定されて一騎打ちの状態となっていたが、M8AGSを打ち破って無事採用を獲得。2023年に型番「M10」と愛称「ブッカー」の名を授けられた。
米陸軍が現在用いているM1エイブラムス主力戦車は、120mm戦車砲による絶大な火力とあらゆる攻撃をはじき返す強靭な防護力を誇るが、それ故に重量は50~60トンであり、輸送に大変な労力と時間が掛かる。全世界に部隊を展開する米軍としてこれは由々しき問題である。
かといってM1戦車より軽量なM2ブラッドレー歩兵戦闘車やストライカー装甲車は火力面で戦車に及ばなかった(ストライカーに105mm砲を搭載したM1128ストライカーMGSはあったものの、不具合続出と旧式化により2022年退役した)。
そこで誕生したM10は、火力のある105mm戦車砲を搭載しつつ重量38トン(42ショートトン)と比較的軽量に抑えている。例えば米空軍のC-17輸送機はM1戦車だと1両しか載せられないが、M10なら2両が搭載可能になるなど、輸送性の向上に大きく貢献している。
重量低下に伴って、防護力はM1戦車と比較すると非常に弱くなっており、敵戦車と正面から戦闘することは困難。上記のように主砲が105mm戦車砲なので、火力もM1戦車と比べると抑えめ。そのため米陸軍では本車をCombat Vehicle(戦闘車)と呼称しており、Tank(戦車)とは呼称しない。
それでも105mm戦車砲を搭載することや、38トンに達する重量など、一部スペックだけ見れば旧世代戦車にも匹敵する(74式戦車など一部戦車に至っては凌駕している)。