MEMORIES(大友克洋の作品)
めもりーず
大友克洋が全体の監修を行なっており、全3作とも大友が関与している。配給は松竹、製作は「EPISODE 1」および「EPISODE 3」がSTUDIO4℃、「EPISODE 2」のみマッドハウスである。
彼女の想いで(Magnetic Rose)
「EPISODE 1」として登場。元々は大友克洋の短編漫画であったが、のちに「千年女優」や「パプリカ」を手掛ける今敏が映画用に脚本を書き上げ、森本晃司が監督として制作された。音楽は菅野よう子が手掛けており、声優は磯部勉、山寺宏一、飯塚昭三、千葉繁、高島雅羅などを起用している。
物語はスペースデフリの始末を行なっている4人組の作業員を乗せた探査機が救難信号を受信し、「宇宙の墓場」と呼ばれるサルガッソーへ向かう。そこで見たものは薔薇の外観をした宇宙船で、救難信号はそこから発信されていることを突き止める。2人が宇宙船へ乗り込むが、その主はかつてオペラ界で名を馳せながらも姿を消した女優であった。情報を知るうちに捜査を行っていた2人が幻覚とロボットの襲撃を受け、また探査機も宇宙船から発する電磁波によって吸い寄せられているのであった。
最臭兵器(Stink Bomb)
「EPISODE 2」として登場。大友がかつて手掛けたAKIRAのノリが随所にちりばめられている。中盤の戦闘シーンはAKIRAファンやミリオタを喜ばせるものであるが、諸般の事情により聖地紹介や都道府県別アニメ紹介で取り上げられていない。
→詳しくは最臭兵器を参照。
大砲の街(Cannon Fodder)
「EPISODE 3」として登場。大砲を撃つためだけに作られた移動都市の一日を主人公の少年とその家族を中心に描かれている。街の中は太平洋戦争中の大日本帝国や冷戦時代のソ連をはじめとした東欧に近く、プロパカンダのもと少年は砲撃に関する授業を、母親は砲弾の製造を、父親は大砲の装填手として活動する。特に中盤の大砲発射シーン(装填、与圧、位置調整と非常に手間がかかっているが、ビスマルクの恰好をした砲撃手が悠長に現れて儀式のごとく引き金を引く間に相手から攻撃されないかというのは気にしてはいけない。)は見どころである。
主人公である少年を若き日の林勇が演じている。
大友が自ら監督を手掛け、使用されたデジタル技術はのちに公開される『スチームボーイ』に生かされることになる。