概要
アイテム番号:SCP-2741
オブジェクトクラス:Safe → Neutralised
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「左巻きな装置」。
荒削りの木箱の上に人間の頭蓋骨を模したプラスチック製のオブジェを乗せた、なかなか前衛的なデザインの装置。
木箱の両側面には一つずつ穴が空いており、それぞれに「LEFT」「RIGHT」と書かれたラベルが貼ってある。内部には一対のゴム手袋が固定されており、その中に手を入れると指先にボタンらしきものがある事がわかる。頭蓋骨の中にはスピーカーが内蔵されており、後頭部にあるスイッチを入れると起動して喋り出す。なお、後頭部には単三電池が1本挿入できるスペースもある。どうやら電池式の模様。
ところで「左巻き」とは何ぞや?とお思いの方も多いだろう。
どうやらこの装置の言う「左巻き」とは「左利き」の事らしい。前述のスイッチで起動させると、
『フハハハハ! ソナタニハ…ヒダリマキニナルカクゴガアルカァ??』
……と、高笑いの後に妙なテンションで「左巻きになる覚悟」を問いかけてくる。その音声を聞いた上で両側面の穴に手を入れてボタンを押すと、
『ヨイ…ヨイゾ! ワガツトメハハタサレタ。ソナタハ…ヒダリマキトナリツツアルゾヨ!!』
……との音声の後にスイッチを切るように指示される。そしてその後、当該人物は数時間後には左利きになっている。ボタンを押した瞬間に左利きになるのではなく、僅かな触覚性の錯覚を覚えながら徐々に左利きになっていく(完全に左利きになると違和感や錯覚症状も消失する)。
実験2741-06
では、元々左利きの人物がこのオブジェクトを利用するとどうなるのだろうか?
財団は左利きのDクラス職員で実験を試みた。すると、
『コレハシタリ! ソナタハスデニジュウブンニ…ヒダリマキデアルゾヨ!!』
装置は対象のDクラス職員が穴に手を入れた瞬間に既に左利きである事を見抜き、特に異常な影響を及ぼさなかった。ただ機械的に利き手を操作しているわけではなく、使用者の利き手をしっかり判断した上で影響を与えていることが確認された。
実験2741-12
ならば両利きならどうなるのだろうか?
改めて両利きのDクラス職員を用意して再度実験を行った……が、
『コレハシタリ-シタリ-シタリ-シタリ-ヨイゾ-ヨイゾ-ヨイゾ-ヨ-アアアアアア-』
バグった。どうやら動作対象外だった模様。
しかし、20秒以上も意味不明に叫び続けることに焦ったのか、実験担当のJ███博士は思わずSCP-2741を殴りつけてしまう。これによってSCP-2741は完全に沈黙し、以来スイッチを入れても一切起動しなくなってしまった。あろう事かSCP財団所属の博士がうっかりSCPオブジェクトを壊すという事案である。ちなみに実験対象のDクラス職員には何の影響も確認されなかった。
財団はSCP-2741の異常性は今や完全に失われてしまったと判断してクラス:Neutralisedに指定、現在は財団の標準的収容ロッカーに放り込まれている。
余談
このSCPの英語でのタイトルは"A Sinister Device"。"Sinister"には日本語タイトルのとおり「左の」という意味もあるが、一般的には「不吉な、邪悪な」といった意味で使われる。
つまり英語圏の人間がタイトルを見て「不吉な装置?どんな恐ろしいものなんだ」と記事を開けば、上記の通りの『ヒダリマキデアルゾヨ!』が目に飛び込んでくるという一種のジョークである。