八卦炉(はっけろ)とは、中国の伝奇小説「西遊記」に登場する炉である。よみがなは「はっけろ」としたが「はっかろ」と読む場合もある。
後述の「ミニ八卦炉」の方のはずなのにこちらの八卦炉でタグ付けする人も多く、注意が必要である。
概要
道教の神である太上老君が鉛を煉して仙丹を作るのに使用する炉。「八卦」とは古代中国の易における8つの基本図像、すなわち「乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌」をあらわし、八卦炉の内部もこの8つの方向に分かれている。
斉天大聖孫悟空は天帝に仕えることになったものの、西王母の蟠桃や太上老君の金丹などを勝手に平らげたことにより捕えられた。しかしこれを罰しようと刀や斧で切りつけても、炎で焼いても、雷を落としてみても、蟠桃・御酒・仙丹を飲んで猛火で鍛えた鋼鉄のような身体となった孫悟空にはかすり傷ひとつつけられない(そもそも孫悟空は不死身である)。そこで太上老君が、丹を煉るついでに孫悟空をも炉の中へ入れて焼き殺す事にした。上手く煉ることができれば、肉体は灰燼に化すという。
かくして八卦炉に入れられた孫悟空だが、前述の8つの方向のうち「風」をあらわす巽(東南)の方向に身を隠し、火を避けることに成功した。しかし風は立ち上る煙を巻き上げ、孫悟空の眼を燻して赤くしてしまった。
孫悟空が八卦炉に入れられてから49日、出来上がった丹を取り出そうと老君が炉の蓋を開けた隙に、孫悟空は八卦炉から脱出する。怒り狂った孫悟空は暴れに暴れ、天界には悟空の相手になる者は無かった。そこへ偶然通りかかった釈迦如来に天帝が助けを求めた事により、有名な「釈迦如来の掌から抜け出せるか」という賭けをもちかけられるのである。
ちなみに、悟空は八卦炉から脱出した際に炉を叩き壊してしまい、この時に飛び散った煉瓦が地上に落ちて火焔山を作った。これは後に、取経の旅の障害となり、悟空自身を悩ませることになる。
さらに、炉の管理人も責任を問われて左遷を食らい、火焔山の山神に身を落とすことになった。
創作作品における八卦炉
同人ゲーム、東方Projectで霧雨魔理沙が「ミニ八卦炉」を使用する。そちらを参照。また、なるべくミニ八卦炉の方を描く場合はこの「八卦炉」というタグは使わないでいただきたい。
アニメ『ドラゴンボール』(初代)第152話「いそげ悟空!五行山のなぞ」に登場。あの世とこの世を繋ぐ五行山に八卦炉があり、太上老君ことアンニンが管理していた。炉の火は一度消すとこの世の火に関する源(溶岩や太陽の光)は消え失せ、再点火には数百年~数千年は掛かる。
八卦炉の釜底が長年の煮こぼれで穴が開き、真裏にあったフライパン平野の牛魔王の城が火事になったものの、悟空とチチが芭蕉扇探しで修繕に必要な八掛蜂の蜂蜜と火食い鳥の殼を手に入れており、舞空術を駆使することで炉の底は補修され、火事は治まる。
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