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2015-08-21 13:15:12 バージョン

まんじ

『卍』とは、主に東洋で用いられる代表的な宗教紋章の一種。

概要

ヒンドゥー教仏教で用いられる吉祥印(神仏の体に発現する神聖な印)であり、特に仏教の伝播と共に東アジアに広まった宗教紋章の1つ。


英語圏で卍を表す名詞「swastika」(スワスチカ)は、インド宗教において最高の権威を持つ古代言語『サンスクリット』での呼称に由来する。


余談だが、NPBの審判敷田直人氏が見逃し三振のコール時にするポーズが、これに見えることで野球ファンなどからおなじみになっている。

かっこいい審判

歴史

発生

紋章自体の発生は非常に古く、最古とされるものがインドで発見された新石器時代の遺跡で確認されている。この頃から儀式や信仰に関わる重要な紋章として機能しており、後のインドで発展したバラモン教、ヒンドゥー教、仏教などは宗派を越えてこれを前述の吉祥印として重く用いている。


また、紀元前3世紀頃からスリランカを中心とする南方地域、紀元前1世紀頃から中国を中心とする東方地域への仏教伝播によってこの紋章も仏教の象徴、または仏教における神聖な印として広まる。

派生

中国を経由して仏教を修めた日本では、時代を下るにつれて神仏の加護を得るために武士商人家紋として用いる、弾圧を逃れる隠れキリシタンが十字架の代用として祈りを捧げるなど形状や用法を変えて利用される場合が多くなり、最も身近な所では仏教寺院を表す地図記号としての採用が顕著な例である。

種類

卍は多様な形状を持つ意匠であり、大別すると左右の別で2系統、日本に限っては印字線の太さによってさらに3種類に分類される。


1.系統

名称読み備考
ひだりまんじ鈎が左に向かって突き出ているもので仏教圏に多い
みぎまんじ鈎が右に向かって突き出ているものでヒンドゥー教圏に多い

2.種類

名称読み備考
まんじ印字内部の四角形に対して印字線が細いもの
平卍ひらまんじ印字内部の四角形に対して印字線が太いもの
五つ割り卍いつつわりまんじ印字内部の四角形と印字線の太さが同一のもの

※ただし、平卍については大半が卍に分類されている例が多い。

誤解

鉤十字とハーケンクロイツ

形状の関係から『鉤十字』や『ハーケンクロイツ』と混同、あるいは同一視される場合が極めて多いが、前者は西洋の宗教紋章『十字』を、後者はルーン文字の1つ『シゲル』(ソウェイル)を交差させたバインドルーンを起源としており、卍と共通の意匠ではありながら発生や成立の過程にある源流を異する全くの別物である。


ちなみに、日本で発展した家紋の規則を組み合わせるとハーケンクロイツを用いたナチスドイツ第三帝国国旗と同様の意匠が出来上がり、その際の名称は『石持ち地抜き隅立て五つ割り右卍』(こくもちじぬきすみたていつつわりみぎまんじ)となる。

欧米での反応

NSDAP(国家社会主義ドイツ労働者党)および第三帝国の象徴となったハーケンクロイツが原因となり、第二次世界大戦後のドイツを始めとする大半の欧州国家、またはアメリカの一部の州では意匠そのものを「ナチスおよびナチズムを連想させる危険因子」として忌避し、学術利用などでの特別な許可を取得しない限りは厳密に規制、あるいは全面的に禁止する法律が施行されている。


特に、ドイツでは刑法典86条『違憲団体のプロパガンダの普及』、同86a条『違憲組織のシンボルの使用』、同130条『民衆扇動罪』に直結しかねない重大な問題であり、周辺諸国に浸透した忌避感の高さもあって以下のような問題の湧出と対応を迫られた事例が存在する。

輸出メディアにおける表現問題

作品表現としてナチスやハーケンクロイツに加え、卍が登場する漫画アニメ映画などのメディア作品に対する取り扱いが非常に厳しく、現在でもそれらを規制対象に列する方面へ輸出する場合には原則として該当部分の修正や加筆差し替え、削除を必要とする。


<修正事例>

など

少林寺拳法のロゴマーク問題

少林寺拳法グループは独自のロゴマークとして『盾卍』と『流れ卍』の2つを長年に渡って使用し、ハーケンクロイツを忌避する一部の国外支部では卍を『拳』の一字に置き換えたもので代用していた。しかし、『世界で一つの少林寺拳法』宣言を発した2005年4月を機に卍を『双円』(ソーエン)に置き換えた新しいロゴマークを統一デザインとした。


ただし、この双円は「円は卍の究極形」「白円の表卍と黒円の裏卍は表裏一体」「重なった2つの円は調和・統一の象徴」とする独自の解釈を含んでおり、あくまで卍に基づいたものである姿勢を一貫している。

ドイツでの阿波踊りイベント問題

2006年にドイツで開催されるFIFAワールドカップに際し、国際交流の一環として日本側は阿波踊りを披露する運びとなったが、ドイツの国内事情を考慮して浴衣印籠などに卍をあしらっていない衣装を新調してイベントに臨んだ。


そもそも、阿波踊りにおける卍は永らく阿波国(現在の徳島県)を治めた蜂須賀氏の家紋『丸に卍』(蜂須賀卍)に由来するものであり、協会に所属する有名連(阿波踊りのプログループ)の半数近くが用いている。しかし、2006年以前に他国のイベントに参加した際に「ナチスと関係があるのか?」と説明を迫られた経緯があったため、「ハーケンクロイツとの結び付けによる無用の誤解と摩擦を避けたい」とする協会の結論から衣装の新調に踏み切った。

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